12月8日は真珠湾攻撃の日。ちょうど70年前のこの日、日米開戦の発端となり、日本にとっては米国に“永久”占領されることになる、第一歩を踏み出した出来事といっていいでしょう。
旧日本軍による真珠湾攻撃により、それまで戦争に消極的だった、米国の世論が一気に、主戦論に傾くわけですが、2001年の米中枢同時テロ同様、いかにも絶妙なタイミングで事は起きました。「米国の挑発に乗って日本は戦争に引き込まれた」という説がありますが、大筋で当たっているでしょうね。
そして、真珠湾攻撃についてもあらかじめ当時のフランクリン・ルーズベルト大統領ほか、米政府首脳は予見していたというのは真実でしょう。米国は「戦争がしたくて仕方がなかった」のです。
だからと言って、“無理やり”戦争に引きずりこまれた日本に理があるかというと、必ずしもそういうわけでもありません。日本国内でも世論は好戦的だったし、陸軍を中心に戦線拡大をもくろむ動きがありました。
日本国内の世論が日米開戦に好戦的だった伏線として、日露戦争に(一応)勝利したにもかかわらず、大した対価(賠償)を得ることができず、国民のフラストレーションがたまっていたことがあります。また当時、日本が保有していた中国大陸の権益に対して、米国が執拗に放棄を求め、厳しい要求を日本に突き付けており、米国に対する不信、不満が高まっていました。
また、黒船が来て、“尊王攘夷”を旗印に江戸幕府倒しに動いたわけですが、明治維新は現実路線を選択し(真実は英国にあやつられて)、尊王は維持したものの、“攘夷”は捨てて、近代国家建設に走り、国民が不条理な思いを抱えたままであったこともあり、欧米の世界支配に対する抵抗という側面もあったと考えられます。
だから、太平洋戦争は、むしろ日本人が望んだ戦争(もちろん反対姿勢を貫いた人も少なからぬいますが)であって、一般の米国人の方が消極的だったと言えると思います。
日本人は日清戦争、日露戦争、第1次世界大戦と勝ち進んで、自信過剰になっていた面もあるでしょうね。向う見ずに太平洋の向こうの大国を相手に戦争を仕掛けて、自業自得の側面は大きいでしょう。
ただ、米国としても、当時の新興国で勢いがあった、日本、ドイツを叩き世界での主導権を確立しておく必要があり(そのように米国のエリートたちは考えており)、参戦の口実がほしかったのです。
日本側に米国との内通者がいて、戦争を煽ったたことも忘れてはいけません。戦後、「海軍善玉論」なるものが広がりましたが、まったくの嘘っぱちです。陸軍や国民世論をたきつけたのはほかならぬ海軍です。真珠湾攻撃で日本軍が深く攻め込まなかったという点は最も不可解な点であるし、太平洋戦争に先立つ日中戦争で、中国の都市を空爆したのは、ほかならぬ海軍が主導で行われていますね。
黒幕は海軍大臣であり総理大臣も務めた、米内光政だったという説を私は強く支持します。これほど戦争に深くかかわったキャリアがあるにもかかわらず、戦争責任はまったくとわれませんでした。
終戦の日、阿南惟幾陸軍大臣は「米内を斬れ」と言い残して自害しました。米内ら海軍一派が米国に日本を売り渡し、戦争をたきつけたという事実に最後の最後に気づいたということでしょう。しかし、その時はすでに遅し、広島、長崎への原爆投下で日本は徹底的に叩きのめされており、米国に命乞いをしなければならないような取り返しのつかない状況に陥っていました。
太平洋戦争の総括は、日本人自身でもう一度やらなければならないと思いますが、米国の世界支配の“正統性”の根拠ともなっているため、米国が倒れない限り、難しいでしょう。確実に妨害してくるはずです。ただ、米国の国家破綻が迫っている今、歴史を再度評価し、未来につなげる努力は早急にやらなければなりません。まあ、今の日本人にそれができるのかどうか?
それと、私たちは米国がイスラエルとともに新たな戦争に乗り出そうとしていることにも警戒しておく必要がありますね。日本では不思議なほどニュースになりませんが、イランをめぐる情勢がかなり緊迫しています。駐テヘランの英国大使館を襲撃したというニュースは衝撃的でした。
現在のアハマディネジャドという大統領は表向き反欧米、イスラエル色を鮮明にしており、欧米から「おたずね者」としてみられていますが、使い勝手のいいコマですね。アハマディネジャドを使って、戦争を起こし、油田を乗っ取ろうという思惑が見え隠れします。米内光政みたいなものですね。米国と内通していると思います。
それと、欧米が金融、経済面でいよいよ立ち行かなくなり、後ろ盾を失うことになるイスラエルがかなりあせっていますね。欧米諸国自体も何とか事態を打開したいと考えているフシがあります。戦争で景気を浮揚するという、伝統的かつ野蛮な手法をとらざるを得ないということでしょう。
このところ、中国が欧米をけん制するような動きを見せていますが、果たしてどうなることか? 単なるポーズである可能性もありますが、「お前らいいかげんにしろよ」という思いもあるでしょう。
少なくとも今の日本はイランに対する攻撃に必要以上に深入りしないことと、東アジアの平和を維持する姿勢を堅持することです。
先日も紹介しましたが、内閣府の調査で「米国に親しみを感じる」という日本人が約8割。このタイミングでこういう調査結果を発表するのは単なる偶然か? 背筋がぞくっとするような気味の悪さを感じます。
自虐史観がいけないとかどうのこうのいいますが、太平洋戦争、それに先立つ日中戦争は日本にとって、反省すべき点は多いと思います。なぜ、日本がこんな状況になってしまったのかも含めて、いろいろ示唆することは多いですね。