75日線

  基本的には移動平均線をあてにしていない(だましが多い)ので、話半分に聞いてほしいのですが、75日線というのは移動平均線の中でも、割と注目度が高く、それを意識した攻防が行われやすいです。あと25日線、200日線も同様ですね。
  先物とドル・円の日足チャート(できるだけ長期間たどれるものが望ましい)を見ていただくと非常に興味深いですね。総体で見ると2007年をピークになだらかな下落トレンドを形成していて、75日線をまともに上抜けた攻防がほとんどないのです。一瞬上抜けたにしても、長続きせず、すぐに下落トレンドに頭を押さえ込まれています。
  果たして今回はどうなるか? いつものパターンなら期待感をあおっておいて、高値圏でうろうろした後、つれなくたたき落とされるというケースが多いです。ユーロ圏の事情を考えると、十分あり得るでしょう。
  その一方で、そろそろ「長期にわたって75日線をしっかりと抜けてもいいんじゃないの?」という気がしなくもありません。ファンダメンタルを見る限りは、リスクを積極的に取るべき状況からは程遠いのですが、そろそろ、売り疲れみたいなものや、日経平均にせよ、ドルにせよ、相対的な安値感(値頃感)も出ています。
  何より、日経平均8500円近辺、1ドル=76円50銭近辺はなかなか底割れせず、目先はしっかりと値を固めています。だから、この辺で「下に行かないのなら戻してみようか」という局面でもあります。
  あとは、これは日頃、ファンダメンタル面からも指摘していることですが、欧米の人たちが「本気で何とかしなければ」と感じているフシがあります。あれだけの借金をつくっておいて、今更、慌てても仕方ないし、破綻して中国に乗っ取られるのは時間の問題だと思いますが、生存本能が残っていたみたいですね。
  それと、中国が春節(旧正月)で長期休暇という、派手に値動きさせにくい時期でもあります。方向感をつけられないんだけれども、あえてやるなら上を目指そうという感じは強いですね。ますますプレゼンスが高まる中国を怒らせたくないという意図も働くでしょう。
  先週は「IMFが資金拡充へ」なんていうニュースが出て、中国や日本が資金を拠出するみたいな憶測が流れていましたが、おそらくは中国としても、ここで金融恐慌を起こすのは望ましくないというサインだと思われます。
  また、それと前後して、中国がイランへの制裁に反対する意向を、温家宝首相が明言しましたね。ここへ来て、世界情勢にやや変化の兆しがみられます。基本的には欧米没落の見方に変化はありませんが、これから3カ月、半年の間は、様子見あるいは休戦ということなのかもしれません。これは春節後の中国の動向などから慎重に読み解いていくしかありませんが。
  移動平均線は売買のタイミングをみるというよりは、日柄を把握するのに使いやすいです。要は、移動平均なので、いったん勢いよく上抜けたり、下抜けたら、「75日間」はその線から乖離する可能性が高いです。だから、約2カ月ほどトレンドが継続するかもしれないということです。
  今回も、もし完全に抜けきれるのならば、春先ぐらいまでは75日線より上の攻防をするのかどうか、そこに注目したいと思います。そして日足に移動平均線近づいてきたときにあらためて次の一手を考える必要がありますが、ここはだましが多そうなので、あまり気にしない方がいいですね。
  今注目すべきなのは、何より、久しぶりに75日線をしっかりと上抜けて、これが持続するのか? 2カ月とは言わずとも、1カ月ぐらいは75日線より上の攻防を続けるのかどうか? というところです。
  75日線は単独では売買を判断する根拠にはしづらいのですが、補強する材料があれば、それなりに有用であることもあるということです。まだどうなるか分かりませんが。ドル・円が特に注目ですね。