相場状況は常に変化します。3カ月前、6カ月前、1年前に通用していたことが、現在通用するとは限りません。もし金融市場と長期にわたって付き合いたいと思うならば、日々、相場の細かい値動きを研究し、そこから動きを読み解いていく必要があります。
とは言うものの、多くの人がうんざりしていると思いますが、この頃は、日中の値幅が40円、50円ということもざらで、1日に100円も動けば大判振る舞いです。リーマン・ショック前までは大手の先物トレーダーのノルマが1日100円幅という噂もあったくらいで、そのノルマに合わせて、1日200円とか300円とかのゆったりとした値幅で動いていました。
さすがに1日数十円の値幅だと、チャート分析は苦しいですね。もちろん日足、週足、月足と中長期のスパンで分析するならば、なんとなく見えてきますが、思い通りの方向に動くには時間がかかり、逆を突かれると読みを誤ったような感覚を植えつけられるので、たちが悪いです。
先物だけでなく、ドル、ユーロ相場もこのまま放置したら暴落しかないのですが、政策対応で暴落をけん制するものの、資金不足から買いあがる動きは乏しく、レンジ相場で横ばいの時間帯が長いので、なかなか、先の動きを読むのは難しくなっているのですが、最近の相場を見ていて、特徴的なのが板の枚数の大きさです。
先物市場に流入する資金はリーマン前と比べると、格段に細っているのですが、板だけは売り板、買い板ともに1000枚を超え、値動きに乏しい中、馬鹿にしたような感じがします。
リーマン前は板は多くてせいぜい300~500枚で、たまに700枚とか800枚の板が一瞬出てくると、仕掛けの合図になっていました。実に素朴で、一部の人たちの談合、価格操作が見えやすい状況でした。
最近も価格操作は行われているのですが、手口が変わっています。ただ、よくよく分析すると、今のしょぼい相場状況を反映して、本当にせこいことをやっています。
結論から言うと、1000枚板をずらりと並べる理由は、「売り仕掛け、買い仕掛けを防ぐ」「値動きをコントロールする」ということにあるでしょうね。
日々の大手金融機関の手口を見ると、ほとんどの社は2000~3000枚、多くて5000~6000枚です。リーマン前は1万枚を超える取引をする金融機関が数社ありました。
1000枚板を置いておけば、仮に1万枚の仕掛けをしても(あり得ないことですが1万枚の成り行き売買をしても)、せいぜい100円程度しか動かすことができません。リーマン前なら大きな売買がきっかけになって、提灯を付ける筋もあったので、200~300円動いたこともありました。
要は、必要以上に動かれては困るということです。買い仕掛ける分にはいいのでしょうけれど、売られたら、パニック売りを巻き込むので、収拾がつかなくなります。
昨年3月11日の東日本大震災直後に、日経先物は7800円まで下げましたが、まさに典型的なパニック売りでしたね。先物だけが突出して下げましたが、現物の日経平均株価指数の方はついていけずに300円くらい上で推移していました。絶好の買い場だったわけですが、先物取引から遠ざかっていたし、どこまで下げるかわからず、気味が悪いので触れませんでしたけど。
とにかく、派手に動き回られると、大手金融機関も手持ち資金が限られているので、手が付けられなくなってしまうということです。リーマン前までは、相場操縦しつつも、ガチで売買して値動きを修正できたのですが、今ではそんなことをする余裕がなくなってしまいました。
4桁の板が当たり前になり、見た目だけは豪勢なのですが、実にしょぼい理由で、1000枚板を置いているということです。
板が大き過ぎて、読みづらい面もあるのですが、基本的には、しつこく買われるなら上昇、売られるなら下落とシンプルに考えていいと思います。一時的に下がったとしても、ある価格帯でしつこく買われていればいずれは上昇するし、逆も同様です。
日中の値幅が小さいので、なかなか細かい値動きや売買動向には目が行き届かないし、べったり相場に張り付いていると、ストレスがたまり、目にもよくないのですが、イベント前などは特に細かい動きをウォッチしておいた方がいいかもしれません。
私自身、思い通りに値が動いてくれず、年初来、テンション、モチベーションともに下がりまくりで、分析がおろそかになっているのですが、あらためて気を引き締めていきましょう。