インターネットが普及し、情報のやり取りが容易になったことで、普通に暮らしていれば見えなかったこと、分からなかったこと、知ることができなかったことが瞬時に把握できるようになり、世の中の真実、楽屋裏、実態は簡単にわかるようになりました。だから“その気にさえあれば”何だってできるんですよね。
医者になりたければ医学部で勉強すればなれるし(もちろん医大や医学部の入試に合格するとか、高額の学費をどうやって賄うかとか、超えるべきハードルはたくさんあるのですけど)、弁護士になりたければ司法試験を突破すればなれるのと同様、基本的にはどんな職業でも選択できるようになりました。
にわかに信じられないかもしれませんが、よーく考えてみてください。例えば女子アナ。もちろんキー局や地方局なんかは、ミスコンで1位になれるぐらいの要旨とそれなりの要領の良さが必要なわけですが、UHF局やケーブルテレビなんかだと、かなりハードルは下がるし、それでもなれなければ、自分でインターネット放送やなんかを始めて、“女子アナ”と称すればいいわけです。たとえ男性であっても女装するなり性転換すればいいだけの話です。
社長とか個人事業主なんてもっと簡単ですよね。例えば、会社を設立してネットで何か商売を始めればいい。どこかで物を仕入れて、それを売り出すとか、サービスを提供すれば、それだけで立派な経営者です。
以前に書評で「中国モノマネ工場」(日経BP社)という本を紹介しましたが、中小企業や個人が電子部品を仕入れて、テレビやスマートフォンを作って売り出すことも可能だし、自動車だって生産、販売できるでしょう。おそらく航空機機だって。ネットで調べればあらゆる部品、部材に関する情報は入手できるだろうし、交渉すれば売ってもらえるでしょう。
代表的な例を挙げてみましたが、世の中のありとあらゆる職業は、よほど特殊でハードルの高い条件がない限り、なりたいものにはなれると思います。条件が厳しい職業だって、それになりたいという強い思いや、やる意思がありさえすれば、困難は克服できると思います。
要は、なんだって、本人のやる気次第なんですよね。何がしたいか? 何になりたいか? 強い思いがあれば、実現します。なりたい、やりたい職業があるのに、「そんなものにはなれない」「そんなことはできない」と思うのは、勝手に自分でそう思い込んでいたり、社会が勝手に規制や制限をかけているだけの話で、本当になりたい、やりたいという気持ちがあれば、それを貫き通せばいいのです。
私たちは、こんなに恵まれた時代に生きているのですよ。自分自身や社会が課した、枠や足かせなど取り払って、本当にやりたいこと、なりたいものを実現するために、突き進めばいい。職業選択の自由は、憲法でも保障されていて、世界標準になりつつあります。
北朝鮮やイランなんかが異常なのは、そういうところですよね。これだって国を脱出すればいいわけで(かなり難しいのは事実ですが)、そもそもこういう“ならずもの国家”だって、米国が世界システム勝手につくり上げたにすぎず、時間はかかるでしょうが、いずれはたちゆかなくなって世界標準に近づくことでしょう。
もう一度強調しますが、今の時代、なりたいものになれるし、やりたいことは何だってできます。ただ、一番の問題は、なりたいものになって、やりたいことをやって、それで経済的に回るかというところでしょうね。そこは最大のネックでしょう。
さすがにどうやって、なりたいものになって、やりたいことをやって飯を食べていくか、誰もが直面する課題ですが、そこで挫折するようなら、所詮は、その程度のものだったということです。野球の独立リーグの人たちのようにアルバイトなりパートをしつつ、好きなことを追求するとか、不本意でも会社勤めをしつつ、寸暇を惜しんで没頭するとか、やり方はあるはずです。
試行錯誤していくうちに自分の才能や才覚の限界を知ることもあり、当初思っていたなりたいもの、やりたいこととは違うことに気付くこともあるでしょうし、ほかになりたいもの、やりたいことが見つかって、別の道に進んだり、思わぬ才能、才覚に気付いて自然とそれを生かすような進路に進むということもあるかもしれません。
人それぞれ性格もあるでしょうから、その道一筋に打ち込む人や、熱しやすく冷めやすい人もいるでしょう。最初になりたいと思っていたもの、やりたかったことだって、いつまでもそう感じるかどうか分かりません。そうなればまた、別の方向に進めばいい。だって、その気があれば何にだってなれるのですから。
さすがに財務省の役人になりたい、トヨタ自動車に就職したい、フジテレビで働きたいみたいなことはいくら熱意があっても容易にかなわないですが、財務省とかトヨタ自動車とかフジテレビでやっているような仕事は、その気になればできると思います。
例えば、国家予算を組む仕事だって、自分で勉強して組んでみればいい。ネットで調べれば毎年度の国家予算に関する資料は簡単に引っ張れるし、細かい費目については、それぞれの当該部署に問い合わせればいい。それぐらいの熱意、頑張りがあればできるし、素晴らしい予算が組めたのなら、財務省に直接売り込むとか、政党に提言すればいい。あるいは自ら選挙に立候補するという手もある。
で、間違いなく、最初は世間からは見向きもされないでしょうけど、本気で通したいならば、それなりの努力の方法があるでしょう。世の中簡単にはいきませんが、一生懸命頑張っている人、優れた商品、サービス、アイデアに対しては、思い通りの形ではないにしても、しかるべき評価はされるはずです。
トヨタ自動車やフジテレビにしても同様。トヨタ自動車やフジテレビに直接就職できなくても、一緒に仕事をする方法はたくさんあるはずです。振り向いてもらえる努力をすればいい。ただ、そこまでしてこれらの会社に就職したいか? 単にブランドにだまされているだけではないか? 大企業に飼われるのがそんなに幸せか? などなどの疑問も生じますし、そこまでできる人なら、別の道にたくさん活路はあるはずです。
今の時代、やる気、意欲さえあれば、何だってできます。だから妙な自己規制をかけたり、既成概念にとらわれたり、偏見を持たない方がいいと思います。なりたいものになれる、やりたいことができる、素晴らしい時代に生きているのですから。