さまざまなイベントが相次ぎ、長かった9月相場がようやく終わり、来週からはいよいよ10月に入ります。日米欧の金融政策が出そろうことで、相場は緩むのかなとばかり思っていましたが、米国株だけは不自然に吊り上ったままですが、ドルの軟調傾向に歯止めはかからず、日本株も軟調に推移しています。
テクニカル的に、いい形になっていたので、秋以降、大相場になるのかと思っていたら、日銀金融政策決定会合後に、ちょっと噴き上げただけで終わってしまい、シビアな現実を見せつけられました。
金融緩和で何がしたかったのかというと、米国にせよ欧州にせよ、市場に資金をじゃぶじゃぶと投入することで、株式や不動産価格を下支えし、市場の安定や、回復を図ろうとしたわけです。裏にはいろいろとドロドロとした思惑はあるでしょうが、一応、きちんと正当化できる大義名分はしっかりしているわけです。
ただ、金融バクチと不動産ころがしで積み上がった不良債権は、米国なんかは、よく言われるように得体のしれない金融商品を組成するために、細切れにされ、もはや詳細を捕捉し、責任の所在を明確化するのは困難だし、レバレッジがかけられていて、天文学的数字に上っています。
だから、金融緩和で、お金を投入しても、焼け石に水の状態で、そもそも、借金を返そうと、価値の裏付けのないお金を刷りまくるわけですから、発想からして間違っているわけです。
金融市場をコントロールしている、当事者たちも、自分たちが何をやっているのか、もはや分からなくなっているし、本人たちは大真面目にやっているんでしょうけど、バクチでつくった借金をバクチで取り返そうとする人生転落の典型のような破滅的な行為に突き進んでいるのに、その認識がないものだから喜劇のような状況ですね。
今後の焦点は、どのタイミングで、「退場宣告」を突き付けていくかということです。いわゆるPIGSと呼ばれる国々はアウトです。フランスあたりもボーダーラインでしょう。アジアでは韓国が日本の金融支援がなければ退場でしょう。そして、最終的な目的地は、やはり米国の国家破綻です。
旧ブログで何度も指摘してきましたが、欧米人は金融と資源を握ることで、世界を支配してきましたが、国力を高めるための何の努力もしないで何十年も徒過し、ここまで来てしまったので、いよいよ特権的な地位から引きずりおろされる時が来たのです。
これはお金の量を増やしたところで解決できる問題ではありません。新興国が猛烈な勢いで、発展する中で、自分たちも切磋琢磨して向上しなければならなかったのですが、何の努力もしてこなかったので、あっけなく数百年に及ぶ世界支配は終わろうとしています。これが今、世界で起こりつつあることです。
代わって世界で大きな地位を占めるようになる、中国もロシアもインドもブラジルも、それぞれ問題を抱えています。おそらく、欧米が支配していた時のような、上品なやり方(陰ではものすごく陰湿でしたが)での世界秩序の形成は、あまり期待できないでしょうね。
それでも、世間が「もう中国は終わった」「所詮は資源だのみ」みたいなことを言うのとは裏腹に、これらの国々はなんだかんだ言って、世界の中で、一番元気だし、欧米の相次ぐ国家破綻を横目に、少しずつでも着実に前に進んでいくことでしょう。
どんな宝石も磨かなければ、輝きを維持できず、価値が落ちてしまうのと同様、努力を続けなければ、あっという間にひっくり返されてしまうのです。欧米人はまだ平和ボケ、豊かさボケから抜けきれず、じゃぶじゃぶとお金をすることで、形勢逆転を狙っているようですが。
金融緩和を行えば、厳しい状況が緩和され、1年か1年半くらいは、荒波がおさまるのかとばかり思っていましたが、世の中、そんなに甘くないようです。
じりじりと後退し、市場全体に疑心暗鬼が広がった時点で、加速度的に崩壊へと動いていくことでしょう。そうなると、皆さんのお仕事、ビジネスも深刻な打撃をうけることは必至です。比較的健全な経済状況を保っている日本も、無事ではいられないでしょう。
ただ、そんな中でも、多くの人に喜ばれる物やサービスを生み出していく努力を積み重ねること、それが苦境を脱出する正攻法であることは間違いありません。ダメ人間が没落する、そのとばっちりを受けることはあっても、私たち自身がダメ人間に足を引っ張られて、落ちぶれてはいけないのです。
生き残っていくのさえ、大変な時代になりますが、それぞれのキャリア、技能、特技、強みを磨く努力を怠らず、お互いに助け合いながら、大恐慌の嵐をやり過ごすことが大切です。