書評 マッチポンプ売りの少女

マッチポンプ売りの少女 ~童話が教える本当に怖いお金のこと~
マッチポンプ売りの少女 ~童話が教える本当に怖いお金のこと~
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  先日、民事再生法の適用が決まり、事実上倒産した、安愚楽牧場。社名からしても、事業内容からしても、胡散臭さ全開でしたが、だまされる人っているんですね。被害者の会みたいなのができて、おそらく、出資金を返せという、裁判沙汰になるんでしょうけど、全然同情心が湧かないですね。
  情報があまり伝わらなかった時代ならまだしも、インターネットが普及して、これだけいろんな情報にアクセスできる時代に、大金を投資する前に、よく調査しようという考えは起きなかったのでしょうか?
  おいしい儲け話を目の前にぶら下げられると、合理的な判断はできなくなるというのも、また人情なんでしょうけれども、いくらなんでも、こんなものに引っかかるとはねぇ。
  しかし、世の中、多かれ少なかれ、インチキで成り立っているんですよね。公共事業なんてその典型的な例だし、証券会社も手数料だけでは食っていけないので、怪しげな投資信託やら金融商品を売りつけて、客に損をさせるのが商売になっている。銀行屋さんもそうですね。経済の縁の下の力持ちみたいなことをいいながら、国債を買うしか能がない。マンション業界もそう。夢のような話を並べ立てて、安普請を売りつけ、さらに管理費で将来にわたってお金を搾り取るわけです。
  まあ、それで経済回っているんですけどね。マネー・ヘッタ・チャンの「マッチポンプ売りの少女」(あさ出版、1300円)はそうした、世の中のからくりを皮肉をたっぷりと込めて、痛快に暴いてくれます。肩の力を抜いて読めるので、ちょっとした暇つぶしにおすすめ。
  いうまでもないですが、日米関係もマッチポンプですよね。貿易で儲けたように見せかけて、しっかり、黒字はむしり取られているわけです。マッチポンプもうまく回転するうちはいいのですが、自転車操業はいつか成り立たなくなるわけで・・・。
  世の中、かたぎの仕事ってそんなにあるわけでもなく、いろんなマッチポンプで成り立っています。うまく、渡り歩いていくすべを考えていく必要がありますね。