長丁場

  金融市場は、時折、テクニカルに沿って、まともな動きを見せますが、基本的には米国の債務上限引き上げ問題が取りざたされた7月下旬以降、非常事態、異常事態が続いています。
  もし、利益を得たいのであれば、数少ないチャンスをものにしなければなりませんが、確信を持ってエントリーができるポイントが限られている以上、そうやすやすとは、おいしい思いをさせてくれません。非常時と割り切って、受け流すしかないですね。
  まだまだ経済の先行きや、相場について楽観的な見方をする人が多いですが、うすうすヤバいと感じている人もいるでしょうね。今ここで為替も株も持ちこたえられなければ、落ちるところまで落ちるのではないか。得体の知れない恐怖感があると思います。
  馬鹿なのは、日本の政財界ですね。「日本経済を成長軌道に持っていく」のだそうです。平時と非常時の区別もつかないんでしょうかね。野田内閣の閣僚ならともかく、経済団体のトップがこのような時に「成長戦略」を求めていくというのは、正気の沙汰ではない。
  商売をやっている人の方が敏感に世の中の空気を感じ取れると思うのですが、企業のトップはどこも、小役人みたいな人たちばかりなので、たたき上げの企業家、起業家のような鋭敏な感覚は持ち合わせていないのでしょうね。
  経営者ならば、どこに軸足を残して、嵐を乗り切っていくかということを考えるべきでしょう。円高を口実に日本から出て行くのも結構。しかし、日本の経営者の中で、一体、どのくらいの人が海外の海千山千と渡り合っていく能力があるのでしょうか。
  日本人ならではの感覚があるからこそ、優れた技術、商品、サービスを生み出せている面も大きいと思いますが、その辺には思いは至らないのか? 海外生産シフトはやむを得ないとしても、最低限日本で守るべきものは守るとなぜ言えないのか?
  さっさと織り込むべき悪材料を織り込んでしまえばいいのですが、何に未練を感じているのか、なかなか、動こうとはしません。しばらく悪あがきを続けるようなので、今回の非常事態は、だらだらと長引くことになりそうです。
  だから、私たちも長期戦の覚悟をしておかなければなりません。つまらない目先の動きに惑わされて、大切なものを失っていくことだけは、やってはいけないことです。
  嵐が収まれば、新たな日常が訪れるでしょうから、その時に備えていろいろと準備をしておかなければなりません。今は、浮ついた動きに惑わされ、じっくり腰を落ち着け、物事を考え、取り組むべき時でしょうね。