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先頭集団

  トレードに関わっている一番のメリットは、国内外の様々なニュースや動きに敏感になることや、行動が迅速になることでしょうかね。もちろん日常、ニュースを見なかったり、鈍感だったり、勉強、研鑽しない人も少なからずいますが、普通に金融市場に接している人は否応なく、世の中の動きに関心を持たざるを得ません。
  情報網や物流網が整備されておらず、物事の進むスピードが遅かった時代なら、株式四季報か何かを見て、会社の同僚がボーナスを何に使うかなんかを気にしつつ、ゆっくりと腰を上げて、投資対象を決めるという感じでもよかったのでしょうが、今の時代、書店の投資情報誌を見て投資を決断するなんていう悠長なことをやっていても確実に負け組です。
  日ごろからマーケットの動向を把握し、ニュースを絶えずチェックしていないと、大きな動きには取り残されてしまいます。フレッシュな情報を的確に把握し、迅速に行動できることが、投資で成功するための必須条件です。
  とカッコいいことを言いつつも、どんなに必死に相場やニュースをフォローしていても、動きに取り残されるのは日常茶飯だし、行動が伴わないことがほとんどですね。
  世の中の先端を走っているのはほんの一握りにすぎず、その人たちが情報を独占したり、金融、経済を支配しているわけで、その動きにリアルタイムについて行ける人は日本には全くいないと言っていいでしょう。唯一いるとしたら、たとえボンクラであっても、米国からおこぼれ情報を受ける立場にある総理大臣、官房長官ぐらいのものでしょう。
  どんなに偉そうにしていても、着飾っていても、所詮は、世界の中心から外れた、田舎者、土人の集団にすぎず、どうやって劣勢を跳ね返して、トップランナーに伍するとはいかないまでも、振り落とされないでいるかをよく考える必要があります。
  国内の大手金融機関に勤務する人たちや、米国のハゲタカファンドの下にぶら下がり、片棒をかついでいるような人たちはどこまで自分の置かれた立場を認識しているのでしょうかね。基本的には褒め殺しにあっても気づかないような人たちでしょうから、持ち上げられ、ちやほやされ、さぞ舞い上がっていることでしょう。
  そもそも、日本では運用成績をいくら上げたかではあまり評価されないし、所詮は他人の金で、資金を溶かしてもよほどひどいことにならないと、誰からも責められないので、必死に物を考えたり、欧米に対して一矢報いるという気持ちはないでしょうね。プロの金融マンと言っても、会社に所属していたり、名刺を持っているぐらいの話で、実質的には中身はスカスカです。中には例外的に優秀な人もいますが、そういう人は稀です。
  そういう意味では、辛酸をなめ尽くし、日々、勝ち残るために必死に頭をひねっている個人投資家の方がこうした事情を熟知しているし、世の中の様々な動きに対して機敏に対応できていると思います。
  私たちは世界を支配しているわけではないし、巨額なマネーを運用する立場でもないので、まずトップランナーになることはありません。ウォーレンバフェットやジョージソロス、ジムロジャーズクラスになれば別ですが、都心に中小ビルを所有する小金持ちくらいになるのがせいぜいです。
  トップランナーが独走するのは仕方ないとしても、情報の受け手としては、2番手(ちょっと難しいか?)、3番手くらいの先頭集団につけておきたいというのはありますね。
  私たちにとって幸いなのは、理不尽なことも少なくないですが、自然な成り行きから乖離して、世界やマーケットが動くということはありえないのです。だから、基礎知識をしっかり身に付けていれば、それなりに世間の動きについていけます。
  しかも、細かい相場の動きを見ていれば、トップランナーが何を考えているのか、どういう方向に動くのか、物事を持っていこうとしているのか、うっすらとではありますが、把握することは可能で、国内ではほぼトップクラスの情報収集、察知も不可能ではありません。
  どの業界でもそうですが、トップ企業(集団)がえぐいほどの利益を稼ぎ出し、あとは小さなパイをめぐっての争奪戦になるわけですが、先頭グループにいれば、なんとか食っていくことは可能です。自動車でいえば、日産、スズキ、電機でいえば、シャープ(ちょっと苦しいか?)あたりの位置につけていれば、薄利にあずかることはできます。
  トレードである程度成功している人は、日本でも世界の動きに対して対応できているという意味で、先頭集団にいることに等しいのです。
  新興株投資や金投資が新聞や雑誌で取り上げられ、ブームになってから参入してももう遅いのです。完全に後方集団ですね。
  常にトップはどこにいるのか? そして先頭集団に居続けるにはどうすべきかということを意識して、行動したいものです。

4月2日のポイント

  ドル・円をやっている人はかなり週末踏みあげられた人がいるようですが、金曜日の夕方までは私も正直、どっちもありだと思いましたね。25日線より沈んで、直近高値、安値の38.2%押しまでいけば、2月中旬以来の上昇相場にピリオドを打ってもおかしくありませんでしたが、持ちこたえました。というよりは、崩れると見せかけての茶番劇だとは思いますが、本気で売り込む場面もあり、緊迫感がありました。何とか安値圏でポジションを仕込めましたけどね。
  ただ、日経先物がドル・円のゆるゆる加減とは対照的に強含みだったので、正気を保てました。日経先物をやる人はドル・円、ドル・円をやる人は日経先物をクロスチェックするといいですね。かなり有効です。
  早いもので、4月相場入り、ドル・円の動きから、ここから本気で上昇する局面を期待したいものです。いままでは、節目節目でじれったい動きばかりでした。気合を入れれば、こんなものじゃないだろうよと。

レンジ・トゥ・レンジ

  日経先物、ドル・円ともに堅調だと思いますが、イケイケになるのかと思いきや、どうも動きがすっきりしません。材料が出る、あるいは材料を出すタイミングに合わせて、時間調整、小規模な値幅調整をしながらの上昇なので、レンジで推移する時間がどうしても長くなってしまいます。あるレンジから次の(別の)レンジへ移るという動きを常に繰り返しているにすぎないということです。
  月末で月足をどういう形に仕上げるか、月始で下値確認をどうするか、イベントにからめてどううごかすかなど、ところどころで重要なターニングポイントがあるので、レンジでの推移に振り回されないようにしたいものです。
  基本的には、重要なポイントでは、誤解を招かないようにはっきりした動きを見せます。先物だと上を目指すならば高値を更新する動きに出るでしょうし、逆に上昇に終止符を打って、下落に転じるならば、値幅を伴った長い陰線を引くでしょう。
  2月末の攻防が象徴的でしたね。先物もドル・円も月末をにらんで直近高値を更新してきて、いったんそれなりの値幅を伴って下落しました。先物は1万円あるいは200週線をにらんだ動きで、もし、相場が反転するなら、ズドンと下に落としてくる可能性が高かったのですが、底割れかと思った瞬間に猛烈な勢いで買い上げられ、再び高値を更新してきました。
  これが2月28日の動きで、翌29日はさらに高値を更新した後、調整に入りました。これは値幅とともに3月の月足をどう描くかということもからんで、時間調整を入れる意味合いもありました。さらに翌週には月に1度のビッグ・イベントである米雇用統計発表も控えており、あまり先走った動きもできない状況でした。
  だから、レンジで動いているときは、そんなに慌ててポジションを取る必要もなく、乗れるのならば乗せてもらうというスタンスでいいと思います。かなり力関係がはっきりした動きになるので、ある程度動いたところで飛び乗っても十分利幅は稼げますし、何より安全確実です。
  2月中旬の追加金融緩和決定の前後にもターニングポイントがありましたね。日経平均が9000円に乗せるか、ドル・円が昨年8月の為替介入ポイントである1ドル=77.10を抜けきれるかどうかに注目が集まり、どちらに抜けるかレンジで推移。2月14日の追加緩和発表で棒上げしました。
  とにかく上値が重く、9000円ではね返す動きが強かったので、市場参加者の目線はやや下向きでしたが、見事に裏をかいて、(値幅は伴わないものの最近にしては力強く)爆上げしました。
  そういうときに限って、みんな不安になるんでしょうね。「ショートを仕込んで放置しました」とか「プットを買いました」みたいな頭の悪いコメントを寄せてくれるので、じっと我慢して耐えていた私は、気が散って仕方がありませんでした。当時も強調しましたが、ああいう場面で決め打ちは大変危険です。
  はまればいいですが、大抵、思惑と逆に動くケースが多いです。仮に成功したとしても、決め打ちで仕込むのと、動いてから乗るのとでは、それほど値幅は変わりません。ほんの50円、100円多く獲れるぐらいのはなしです。だったら、保険と思って、気長に待った方がいいと私は考えます。
  レンジで推移して決着がつけば、ミツバチが花から花へと移動するのと同様、上なり下なり次のレンジで推移して、さらに別のレンジに移動するという状態が繰り返されます。上に行くか下に行くか判断がつきにくいところでは、むやみに勝負に出るより、静観していた方が賢明なのはこういう理由です。
  上(下)のレンジから上(下)のレンジ、さらに上(下)のレンジへと順調に進めばいいですが、上のレンジへ乗せた後、下のレンジに行ったり、下のレンジの後に上に行くということも往々にしてあります。全体として値の行き場がなく調整モードの時に起こりがちですが、そういうケースもあるので、できる限り、動くまで待つというスタンスが無難なのです。

来週の予定

【2日(月)】
08:50 日2月企業短期経済観測調査[短観]
10:30 豪2月住宅建設許可件数
16:50 仏3月製造業PMI(確報)
16:55 独3月製造業PMI(確報)
17:00 ユーロ圏3月製造業PMI(確報)
17:30 英3月製造業PMI
23:00 米3月ISM製造業景況指数
※中国・清明節

【3日(火)】
10:00 中国3月非製造業PMI
10:30 豪2月小売売上高
13:30 豪中銀、政策金利発表
17:30 英3月建設業PMI
27:00 FOMC議事録(3月13日分)

【4日(水)】
10:30 豪2月貿易収支
16:50 仏3月非製造業PMI
16:55 独3月非製造業PMI(確報)
17:00 ユーロ圏3月非製造業PMI(確報)、3月総合PMI(確報)
20:45 欧州中銀、政策金利発表
21:15 米3月ADP雇用統計
23:00 米3月ISM非製造業総合指数

【5日(木)】
11:30 中国3月HSBC非製造業PMI
17:30 英2月鉱工業生産
19:00 独2月鉱工業生産
20:00 英中銀、政策金利発表
21:30 米新規失業保険申請件数
21:30 加3月雇用統計

【6日(金)】
21:30 米3月雇用統計
※グッドフライデー(豪州、NZ、香港、シンガポール、インド、南ア、カナダ、ブラジル)
欧州主要国・株式、債券市場休場
米国・株式・債券市場休場

風見鶏

  世の中で一番、言っている事が常にころころ変わるのは間違いなく、金融市場にかかわっている人たちでしょう。それは普段、安全地帯から上から目線で、偉そうなことを言っている私のような人間も同様です。値動きに合わせて行動をたださないといけないので、相場が軟調あるいは動きがにぶいときは不満たらたらだし、堅調だったり動きがよければ、上機嫌という、まさに風見鶏、気分屋、こうもりですね。
  個人レベルなら、「まあ勝手にやってなさいよ」程度で済むのですが、それなりに名の通った金融機関とかシンクタンクなんかも、その辺の個人投資家と同じようなことを言ったり、やったりしているのですから、世話はありません。
  特に相場の転換点での右往左往ぶりは目を覆うばかりで、安値圏では、まさにVIX指数マックスで「底割れか」みたいな不安感をやたらとあおるマーケットコメントが目立ちますし、逆に高値圏ではバラ色一色ですね。そしてそこから相場の反転が始まるのですが、今までのことがなかったかのように、しれっと、真逆のコメントが出てくるわけです。それは人間の弱さなので、弱音を吐いたり、根拠もない自信をふりまく人を攻めても仕方がないです。
  「信は万物の基をなす」とか「信なくば立たず」と言われるように、信念とか大局観みたいなのは、大切だと思いますし、自分自身も信じる方向性はあるわけですが、世の中なかなか思い通りにいくものではないし、そもそも自分の考えていることが間違っていることさえある。
  先物取引、ブログを再開して、6月で1周年になるわけですが、これまで振り返ってみて、自分でも言っていることが揺れているなと感じる部分は少なからずあって、みっともないし、恥ずかしいことこの上ないです。
  2012年は早いもので3カ月が過ぎました。第1クオーターが終了したということで、私自身の言動を総括しておく必要があると思いますが、年初の「今年はどん底に落ちる」という悲観的な予想とは裏腹に、金融市場は至って堅調に推移しています。これは残念ですが、(現時点では)予想が外れているということを率直に認めないといけません。
  特に、私は欧州問題が各国の国債償還、借り換えが集中する3月にどうにも行き詰ってしまい、そこから大崩れするのかと予想していましたが、2月14日バレンタインデーを境に、相場の様相は一変しました。ずっとこの間の発言をご覧になっておられる方は、お分かりだと思いますが、暴落に対して身構えていたのですが、肩透かしを食らい。慌ててロングに転じたというお粗末さでした。
  大局的な動きとして、いずれ欧米が没落するのに合わせ、金融市場も危機的な状況に陥るという見立て自体は、何ら変わっていません。現在の状況は最後の悪あがきで、絶好のショートポイントに向かって上昇しているんだと思っています。
  ただ、目先について、リーマン・ショック前から続く、下落トレンドにいったん終止符が打たれ、今までの相場の様相とは明らかに変わっていることに注意しなければなりません。5日線、25日線、75日線という身近なレンジの移動平均線をクリアし、さらに200日線、52週線を確実に抜けようかという局面です。これは実に4年ぶり、5年ぶりのことなのです。
  これだけ長い時間軸で続いてきたトレンドがひっくり返されると、通常は、最低でも半年以上は相場が反転し続けると考えるのが自然ですね。2~3年くらい続くかもしれません。だから、2008年秋以降、今年1月まで続いてきた相場の地合いを基にした、相場観は改める必要があります。
  基本的には、欧米の金融、財政事情は何一つ改善しておらず、金融緩和で見せかけの好転を演出しているだけだと私は思っているので、いつ、相場の状況が急変してもおかしくはなく、常にそのリスクは頭に置いておかなければならないとは思っています。
  ただ、いつも言っているように、万年最下位のチームだって、ときには3連勝、4連勝くらいはするし、調子のいいときは10連勝ぐらいして、ちょっと上位チームを脅かすことだってあるのです。
  私たちの“仕事”は連勝の波に乗せてもらったり、連敗を見越して売り込むことにあるので、連勝が続くのであれば、その波に乗らない手はありません。そこはしたたかに行動しなければなりません。
  しかし、それにしても、年初の見立てと正反対の状況になったことについては、本当に驚いています。米国が没落することで日本が(否応なく)自立できると期待していたので、それを考えると憂鬱な部分もあるのですが、相場が動けば、それなりに稼げるので、うれしいサプライズでもあります。
  2012年が世界が大転換する“Xデー”とみる向きは多いですし、私自身それに沿って、いろんな計画を立てていたのですが、現状を見る限り、そして金融市場をテクニカル的に分析すると、壊滅的な出来事はちょっと考えづらくなりつつあります。
  第2クオーターで急変すればまた、それはそれで元の見立てに戻らざるを得ないのですが、根拠はテクニカルしかないのですが、「ちょっと考えづらいな」というのが率直な感想です。
  ただ、その反面、ドル・円も、日経先物もいわくありげな上昇のし方をしており、相場が上昇し、堅調を続けるにつけ、負のエネルギーがたまり、キャリーオーバー状態になっているということも指摘しておきます。いずれ、ツケを払うことになるのだと思います。今は、下落過程の正のエネルギーを使っているにすぎないとみることもできますね。
  世の中の変化が激しいので、相場にうまく乗れるのなら、風見鶏でいいのではないかと思います。3か月後、6か月後、一体、何を語っているのか、ちょっと怖いし、ちょっと楽しみでもあります。