東京電力の罪と罰(担当記者が教える! 今週の日経ビジネスはこう読め!)
未曾有の大震災とともに、原子力発電の安全神話は脆くも崩れ去った。
福島第一原発の空撮写真。青の部分が津波が押し寄せたエリア。1〜6号機まで周囲は水で埋め尽くされた(写真:東京電力)
東京電力・福島第1原子力発電所の事故は原子炉の爆発という最悪の事態を完全に回避するまでに半年から9カ月、原子炉の廃炉という事態の最終収束には20年以上もかかりそうだ。
だが、この事故は東電の言う「想定外の津波」が引き起こしたものではない。「想定外」としてきたものは実際には、「想定内」だったものがいくつもあった。例えばその1つは「大津波」。東北全域を大津波が襲う可能性は既に2009年6月の原子力安全・保安部会で地質専門家から指摘されていたのだ。