3・11ショックが景気に及ぼす影響(小峰隆夫のワンクラス上の日本経済論)

 3・11ショック(巨大地震、大津波、原発事故)は、短期的な景気の変動に空前の影響を及ぼしつつある。津波が経済を襲うようなものだ。日本は短い間に、かつて経験したことのないような大きな景気の波動を経験することになるだろう。それは「急激に落ち込んだ後」に、一転して「急激に経済活動が回復する」という大きな波となるだろう。 もう一度ストックとフローについて  前々回のこのコラム(3月23日)では、大震災直後でまだ具体的な材料が乏しい中で、概念的な整理だけを行った。要点だけもう一度述べておこう。  震災の経済的影響としては、まずストックが大規模に滅失する。同時にフローの経済活動もレベルが下がる。ここまでが「フェーズ1」の局面である。