未来予想図

  昨日の大阪ダブル選挙は、知事選、市長選ともに、橋下徹前大阪府知事率いる「大阪維新の会」の圧勝に終わりました。
  事前のマスコミ各社の世論調査では市長選が接戦、知事選は各党相乗り候補がやや優勢みたいな感じですが、ふたを開けてみると、知事選での圧勝ぶりが目立ちました。逆に市長選は、接戦とまではいきませんでしたが、予想以上に平松邦夫前大阪市長が強かったと思います。
  市役所の職員組合など、役所の権力が強く、同和問題や在日韓国人、朝鮮人問題など、これまで“タブー”視され、あまり正面から取り組まれてこなかった、やっかいな課題を抱える都市なので、市長選のこの結果は、なんとなくわかるような気がします。
  大阪という土地は、意外と保守的ですからね。昨日、フジテレビのニュースでやっていましたが、機種変更の時のスマホの購入率が東京では7割以上なのに対し、大阪は50%超と、お笑いや阪神タイガースなどイケイケのイメージとは裏腹に、進取の精神に乏しい土地柄ということがうかがえます。
  私はご案内の通り、、この結果は妥当と思いますが、橋下氏が、「胡散臭い」人物であるということも重々承知です。だからこそ、「大阪都構想(大幅な地方分権、大都市制度改革)」「市役所改革(官僚政治からの脱却と政治主導)」がきちんと行われるか、一票を投じた有権者と同じ視点で監視していきたいと思います。
  橋下氏を持ち上げた以上、これから4年間、私自身が思い描いたようにうまくいくのかどうか、とても不安な面もあります。これこそが政治家と有権者の間の緊張感でしょうね。
  だから、約束はきちんと守ってもらわないといけません。バカ首相が「(2009年衆院選の)マニフェストは守らなくてもいいんだ」みたいな発言をしていましたが、それこそ、民主主義の根幹を揺るがすものでしょう。政治家が約束を守れないのなら、私たちは何を根拠に投票すればいいのでしょうか? 公約はきちんと守る、あるいは守れるよう最大限努力をするというのが「憲政の常道」でしょう。
  私は、橋下徹という人物が、筋を通す人間と見込んだわけですが、人間って弱いですからね。約束を守れない、あるいはあらぬ方向に進むならば、その時点で見限るだけです。
  しかし、それにしても、橋下氏は選挙に勝ちましたが、あまり評判良くないですね。特に私が政治、経済で結構意見を参考にしている人たちに限って、批判的な見方が多いです。
  じゃあ、自民党から共産党までのっかっている平松さんってどうなのよ? と思いますけどね。争点とされている点に対して何ら明確な答えを出していないし、独自の政策があるわけでもない。逆にそんな人間を信じられますかねぇ?
  私は、「地方分権」「政治主導」の2点で共感するので、ぜひ、頑張ってほしいと思います。橋下批判の意見の中には、この二つに関して、「橋下がいうほど簡単に実現できるものではないよ」というものがあるし、もっともだと思います。
  でも、たとえ無理だとわかっていても、より政治を身近にするために、この2点だけは、何としてでも、何年かかってでも、やるべきだと思いますけどね。
  少数の限られた人が権力を持ち、利権をあさるという現在の世界のシステムはほころびが出つつあります。東日本大震災でも明らかになりましたが、国が何かしてくれるのを待つよりも、自分たちのふるさとをどうしたいか、熱い思いを持って行動する人たちの方が偉いのです。
  人間が大きな地域を組織をコントロールできるというのは思いあがった考えだし、それこそ現在の不幸の元凶です。地域のことを一番分かっているのは、その地域に住む人だし、事情が許す限り、その地域がどうあるべきかは、地元の人にゆだねるべきです。国の役人が、あるいは欧米の投資ファンドが、グローバル企業だけが決めることではありません。
  ただ一つ、今からしっかり考えておく必要があるのは、今後4年間に、米国が国家破綻し、ドル基軸体制がいよいよ終了します。経済環境が激変するので、最悪の状況に陥ることを想定し、さらにその後、どうやって生き残るか、復活するか、絵を描いておかなければなりません。
  大阪湾岸は、液晶、プラズマテレビのパネル、太陽光発電パネル、リチウムイオン電池、電子部品など、電子産業の一大集積地です。ただ、グローバル競争と驚くべきスピードの生産効率化と過剰生産で、価格下落が止まらず、商売としてはやっていけなくなっています。
  大恐慌に加えて、構造的にも厳しい環境をかかえており、今までの産業政策の延長上では、地域の発展はそう簡単にはできないということを頭に入れておく必要があるでしょう。
  そういう意味でも、昨日の記者会見で橋下氏がいみじくも言ったように「ゴールではなくスタート」にすぎないのです。