インドネシアのバリ島で開かれていた、東アジアサミットが昨日閉幕しましたが、ニュースとして大きく取り上げられたのは、米国と中国の対立が鮮明化しつつあるということです。今回の会議ではこのところ「東アジアへの積極関与」を強く打ち出し、南シナ海の南沙諸島の領有権問題で口出しをしようとする米国に対し、東アジアでの米国の影響力を排除したい中国が真っ向からぶつかり合いました。
新たな冷戦の勃発かのようにも見えますが、米国はもはやかつてのような国力はなく、というか常日頃指摘しているように国家破綻状態であり、しかも、米国債を大量保有する“中国様”に対して、まともに対峙できるのか疑問です。
米国は表面的には中国と敵対しつつも、日本やベトナム、フィリピンなんかをけしかけて、中国と緊張関係にして、漁夫の利を得ようとしている魂胆が垣間見られるし、米国債だけでなく、経済的にも成長著しい、中国への依存度は高まりつつあるので、本気で渡り合うつもりはないと考えた方がいいでしょうね。
まあ、来年、国家破綻してしまうのか、再来年になるのかは、まだ分かりませんが、最後の悪あがきでしょうか。世界帝国として一応、力を誇示しようとしているとも受け取れます。
「東アジア」の会議のために、わざわざ、太平洋のかなたから、大統領と国務長官がお越しになったようですが、相変わらず上から目線で、何ら建設的な提案を出せず、要はにらみをきかせたいだけの話で、ますます地域でのプレゼンスを高める中国とそれに対応しようとしている周辺国との間にできつつある新たな関係に対し、報道を見る限り、十分把握しているとは思えないし、また、東アジアで「米国抜き」で新しい国際秩序ができつつあることを覆すことはできないでしょう。
19世紀にフィリピンをスペインから奪い、日本に黒船をけしかけ、第2次世界大戦で完全に東アジアを影響下に置いたという歴史的経緯があり、沖縄をはじめ各地に軍隊を駐留させ、政治的なプレゼンスはいまだに大きいと思いますが、巨大な軍隊を東アジアに展開することは、もはや財政的に持ちこたえられなくなっており、今回の東アジアサミットで虚勢を張るのは、“最後っ屁”みたいなものでしょうね。
(馬鹿女)ヒラリーさんなんかの発言を見る限り、いまだに「世界のリーダー」を自任しているらしいですけれど、米国が世界各国でやってきた傍若無人なふるまいを考えると、しらじらしいことこの上ないし、ある程度、自らの利益追求を自制し、良好な関係を築こうとする努力を怠ってきたつけが回りつつあるということです。
領土問題で米国をからめて中国を牽制しようとする思惑も一部にはありますが、本気で期待はしていないでしょう。一応は保険として米国の顔を立てつつも、米国が脱落した後のことを視野に入れ、中国との対話を重視するというスタンスがほとんどの国の対応ではないでしょうか。
20年ほど前なら、米国はまだ太っ腹な部分を残していて、あこがれの対象でもありましたが、この頃は第三世界でも見られないくらいの貧困国に落ちぶれてしまい、自分の利益しか考えない、卑しい国に成り下がってしまったので、各国から見放されつつあるというのがさらに明確になったのも今回の東アジアサミットでした。
いまだに米国の顔色ばかりうかがい、新たな国際情勢に対応しようとしない、日本の姿勢は、見ていてこっけいだし哀れでした。落ちぶれた、ストーカーみたいな国家をいまだに“ご主人様”と信じ込んでいる、政治家、官僚はいいかげん目を覚ますべきでしょう。