先週から今週にかけて、世界の金融市場では、歴史的ともいえる大きなイベントが相次ぎました。南欧諸国の財政、金融問題を受けて、欧州中央銀行(ECB)が債権買い入れ計画を発表。さらに、もう一つの懸案だった、欧州安定メカニズム(ESM)の合憲性をめぐり、ドイツの憲法裁判所が「合憲」との判断を下したことで、一連の問題がいったん収束するとの安心感が広がりました。
また、米連邦公開市場委員会(FOMC)は、政府支援機関の住宅ローン担保証券(MBS)を毎月400億ドル(約3兆1000億円)購入する、いわゆる、金融緩和第3弾(QE3)の実施を決定。合わせて主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0~0.25%の異例の低金利に据え置く期間を、これまでの「2014年遅くまで」から「少なくとも15年半ばまで」に半年程度延長することを決めました。
いろいろと大げさな言葉が並びますが、要するに欧米は、金融ばくちや不動産ころがしでつくった、不良債権の山を、お金を大量に刷り(実際には電子空間での帳簿操作)、市場にじゃぶじゃぶと投入することで、問題を解決する決意を示したということです。
来週は日銀の金融政策決定会合が開かれますが、日銀総裁が先日、円高の日本経済に対する影響について懸念を示しており、追加金融緩和へのサジェッションととらえられています。おそらく、欧米に追随して、じゃぶじゃぶとお金を市場に注ぎ込む、金融緩和の方向へと舵を切るのだろうと思います。
世界経済や金融市場は、来週以降、新たな局面へと突入することになります。今後1~2年、米国によるイラン戦争なども予想されるので、3~5年の比較的長いスパンで、物事が動いていくことになります。それに合わせて、私たちは投資や人生設計を考えていく必要があります。