これはリーマン・ショック以前からずっと懸念してきたことですが、日経先物にせよ、ドル・円はじめFXにせよ、値動きがなくなってしまうことです。
ほとんどの投資の教科書は、市場はボラティリティが低下すると、いずれエネルギーがたまって、爆発的な値動き(ボラティリティの上昇)へと移行するとしていますが、それは教科書が書かれた経験則から導き出されたもので、未来永劫通用するとは限りません。
景気変動やちょっとした波乱要因(天候不順、戦乱、紛争)に合わせて、相場が緩やかな動きをしていた時代ならあてはまるかもしれませんが、情報網が整備され、情報が流れると即座に市場で織り込まれる現在では、それが通用するかどうか疑問です。
何より、市場に流れる浮ついた(余裕)資金が格段に減りましたね。リーマン・ショック前までは、世界各地で資金がだぶついていて、それを狙って、意図的に相場を上下させることで、資金を搾取しようという思惑が働きましたが、今や相場参加者は一部の勝ち組だけで、みんなさんざん騙されて、疑心暗鬼になっているので、そう簡単に引っかからなくなりました。何より、株価や通貨の下落で、資産がふっとばされてしまい、総じて貧乏になってしまいました。
カモ(余裕資金)がいなくなり、相場には一部のインサイダーしか残っていないわけですから、相場を上下させても、インサイダー同士で金の奪い合いをするしかなくなるわけです。連中は自分たちが都合のいいように相場を操縦していたわけだから、その辺の事情は熟知しています。
だから、新しいカモ(資金)を呼ばないといけないのです。そこで、狙われたのが公的資金、各国政府の税金なのです。金融緩和をさせたり、破綻した国、金融機関、大きすぎてつぶせない(本当はそんなわけはないのだが)企業を救済することで、ニューマネーを呼び込み、一部のインサイダーで分け合った、というのがリーマン・ショック以来、これまでの経緯です。
そして、公的資金投入による効果が一段落したら、また相場は停滞し、ボラティリティが低下するため、新たな公的資金を引っ張って、ちょっと相場をふかして、また資金の奪い合いをやる。これが、この1、2年の金融市場の動きですね。
仮に放置すれば、欧米の実体経済は疲弊し、荒廃状態なわけですから、金融市場は即座にクラッシュせざるを得ない。しかし、それをやってしまうと、一部のインサイダーの人たちも自分たちの立場が危うくなるので、政策介入をちらつかせつつ、価格水準を維持することで、なんとか命脈を保っている状況です。
欧米主導の現在の金融資本主義というのは、もはや立ち行かないというのは、誰の目にも明らかなのですが、金融ばくちをあきらめられない人たち、金融市場を支配することで覇権を維持したい利権集団がいるので、ずるずると続けられているということです。
常々、言っているように、問題はいつまでそれが続けられるかということです。公的資金を市場に投入しても、一部の金融機関の利益に消えていってしまうだけの話で、本当にお金を必要としている人には回らないので、経済はどんどん疲弊し、悪循環に陥ることになります。
また、資源、食料価格が上昇し、インフレ傾向がすでに強まっています。それに金融緩和に多額の資金を投じた割には、すでに景気も後退モードにあり、各国の国家財政から考えて、あと1~2年持つかどうか。日本は余裕がありますが、欧米は耐えられないでしょうね。
それでも、まだ一部の金融利権集団の発言力、権力は強いので、もうしばらくはこの状況が続くのでしょう。相場が動くとしたら、政策介入が行われるタイミングでしょうね。動くときは、2月のように分かり易いので、ただ、ひたすらそれを待つのが賢明です。
そして、公的資金が枯渇した時、金融市場はクラッシュするでしょうから、その時は、ひたすらショートをかければいいだけの話です。
日々の動きを見ていると、何が何だかわからないし、もどかしいし、ストレスがたまるだけですが、相場を動かしている原理はそんなに難しいものではありません。押さえるところを押さえていれば、そんなに振り回されないでしょうし、騙されることもないでしょう。
こちらも、日々進化しているのです。金融利権集団の考えることなんて見え見えです。多くの投資家のみなさんだって、今までさんざん欧米による金融詐欺被害で痛い目に遭っているわけですから、そうやすやすとは騙されないでしょうね。