ほんの10年くらい前の日本人は、景気が悪く、少子高齢化の進行で先行き不安はあるものの、まだ、高度成長期やバブル経済の余韻なんかも手伝って、おおらかな雰囲気が残っていました。
よその人から見ると、「豊かさボケ」「平和ボケ」だったし、中にいても、何か物足りない人、穏やかな日常の繰り返しに退屈を感じる人、緩さに不満を持つ人は、「こんなんじゃいけない」と思うような状況でしたが、あれこそが「理想郷」だったのではないかと今にして思います。
私自身、何かにせき立てられるように、「今の日本はダメだ」「何かを変えなきゃ」みたいな強迫観念に取りつかれていた時期があります。だから、小泉政権ができた時は、単純に「日本は大きく変わるのでは」と期待しましたし、その直後に米国で9・11テロが起きたときは、「それ見たことか」「平和ボケしてるとなめられるんだよ」みたいな、勝ち誇ったような気がしました。
完全に“奴ら”の思うつぼで、忠実で優良なお客さん(カモ)だったことがよく分かりますね。21世紀に入ってからの10年間は、私だけでなく、日本全体が方向性、価値観を見失い、踊らされた時期ではなかったでしょうか。同時に日本人が持っていたおおらかさや、懐の深さなど、古き良き国柄がかなり失われてしまいました。
何かにせき立てられて、行動するときは、よくよく考えて動かないと後で痛い目を見ますよね。日本人は何事に落ちても決定が遅いというのが弱点とされていて、ビジネスなんかでは韓国、台湾勢なんかに出遅れてしまう原因でもあるのですが、迅速に決断を下したり、スピード感が求められるシーンというのは災害とか人命にかかわる緊急時なんかを除いてそれほどないはずです。
むしろ、軽々に判断して、後々、ツケを払う羽目になったり、後悔したりするというケースも少なくないということも頭に入れておく必要があります。
日本人はやればできます。元々、細かいところにこだわり、ばか正直で、せっかちなので、仕事は精密だし、約束はきちんと守る。これは世界では十分通用する資質だし、他の国民はまねができないので、これさえ徹底していれば、どんなことがあっても生きていくことはできるでしょう。
だから、締めるところさえ締めていれば、普段は緩くていい。というか、適度なゆとりがなければ、さすがに息苦しくて仕方がありません。
自分自身を振り返ってもそうですが、能力のない奴とか、他人に対して威張りたい、偉そうにしたい連中に限って、恐怖感をあおったり、畏怖を植え付けたりして、優位に立とうとします。金融ユダヤ人とか、欧米白人なんかはそうやって世界を支配してきたわけです。
彼らが世界で、政治、経済、科学、文化などの分野で果たしてきた一定の役割は認めますが、世界の人々を幸せにしたり、ともに豊かになろうという発想はありません。中には利他的な人もいるものの、全体的に自分の立場の誇示や、エゴイズムが優先するので、他人を下敷きにしたり、搾取したりすることによって成り立っているのです。
今の世界、時代に必死になって取り組まなければならないことってそんなにあるでしょうかね? イランの核疑惑なんて、まさに欧米がでっち上げたものだし、その前のイラク、リビアなんかもそうでした。そもそも9・11テロからして茶番でしたからね。
北朝鮮のミサイルやなんかも、さまざまな外交交渉とか食料援助の中で、米国が手なづけ、地位を約束した一部の北朝鮮内部の一派がそそのかされてやったことでしょう。絶妙なタイミングだし、ミサイルの軌道も韓国、日本、台湾、フィリピンと、うまく計算されており、それぞれの国・地域の頭の弱い連中に恐怖を与えるにはうってつけでした。
北朝鮮で何かが起きれば、それこそ普段から中国と連絡を密に取り合い、対処すればいいだけの話です。日本の場合は、周囲を海で囲まれているアドバンテージがあるので、大挙して難民が押し寄せるようなことがあれば、非常事態なので銃撃したり、撃沈すればいいのです。ただそれだけのこと。ミサイル防衛なんかは、費用対効果を考えて、米国にぼったくられない範囲で必要な範囲だけやっておく程度でいいでしょうね。
とにかく、世の中、ありもしない恐怖をあおり立てる人たちがいるので、困ったものです。テキトーにあしらっておけばよい。
経済もそうですね。一方的に搾取するだけでは、全体が疲弊していきます。欧米のエリート層を見ても、お金も地位もあるはずなのに、それを守るのに汲々としていて、一様に貧乏神にとりつかれたようで、うらやましいとも何とも思えません。
セキュリティーを気にして柵や鉄条網で囲ったエリアで暮らしているようですが、刑務所で暮らしているのと何が違うのか? そんな中で暮らしていて違和感を持てないのか? 狡猾だし、妙なところだけ頭の回転はいいんでしょうけど、本質的に頭が悪いんでしょうね。
世の中、やりくりすれば、お金もモノもちゃんと回るはずだし、足りなければ足りないなりに知恵を働かせればいい。それがうまいのが日本人です。
他人を貧困や苦境に追いやった上で、自分の富や地位、名誉が成り立っているにもかかわらず、そのことを無視、あるいは正当化する人たちはどう考えてもまともではありません。そこのところを反省せず、むしろ野蛮な考えを広めようとしているのが今の世界が閉塞感に陥っている元凶でしょうね。
この辺が、21世紀になっても金融ユダヤ人が誰からもリスペクトされない所以でもあります。自分たちが前面に出られないから、頭は悪いけど血筋は良い(とされる)白人や、努力して成功した(とされる)黒人を利用して、米国や世界を支配しているという構図になっているのです。
日本人は、ずっと豊かだったので、野蛮な欧米の価値観とは一線を画してきたのですが、この10年、20年間で急速に富が搾取され、欧米による支配が強まり、徐々に人々の考え方が他者を顧みずに自己優先で貧しくなり、国柄も変質しつつあります。
誤った価値観が世界中にまん延する中、日本人が日本人らしくふるまい、おおらかで寛容さを失わずにいられるにはどうすべきか。そこに全精力を傾けるべきでしょうね。今すぐにやらなければいけないことといえばそのくらいしか見当たりません。