大予言

  マヤだか、インカだか知りませんが、暦が2012年までで終わっているとかで、今年が「世界最後の年」と滅亡説を唱える人がいて、陰謀論者を中心にそれを信じる人も多いようですが、私も昨年末、年始に何度も何度もお伝えしたように、欧米のソブリン問題がきっかけに金融市場がクラッシュする可能性があるとみて、今年中に何らかの「Xデー」があると予想していました。
  ロシアやフランス、米国、韓国など多くの国で大統領、首相を選ぶ選挙も相次ぐため、これらも何らかの波乱要因、ターニングポイントになるのではないかと思っていました。
  中東や北朝鮮をめぐる情勢が激変したり、世界各地でこの先、予期していなかったことが起きたりする可能性も、かなり高いと思いますが、ここまでの3、4カ月の世界情勢、金融市場の動きをウォッチしている限り、少なかなかパニックは起こりそうにありません。ともすれば「危機は去った」と勘違いしてしまう恐れもあるので、常に警戒モードを持ち続けるべきでしょう。
  毎度、言っているように、危機が予測できたからといって、うまくそれを乗り切る、あるいは身に降りかかるショックを少しでも軽減することができなければ意味ありません。
  一番、バカなのは、危機的な状況が来ると信じ込んで、自暴自棄になってしまい、実際にそうはならなかったというパターンです。暦が2000年に突入した際に「ノストラダムスの大予言」とやらで、それを信じる人や、狂信的な集団に取り込まれてしまう人なんかがいましたけど、それと似ていますよね。
  実際に何かが起きる、逆に起きないにしても、陰謀論者の人たちは、パニックばかりを言い立てますが、振り上げた拳をどうやって収めるのでしょうかね? 起きなかった場合、はしごを外されて、赤っ恥をかいて終わるのでしょうか? どうせ世界が2012年にパニックになるのだから、といって引きこもりになった人なんかも中にはいるんでしょうけど、自業自得とはいえ、お気の毒としかいいようがありません。
  反対に大パニックに陥った場合、事前に十分準備はできているのか? まあ、これも自分たちが最新の真実を知っていると勝手に悦に入っているだけなら、意味がないですよね。せめてドルをショートしておくとか、ダウのオプションを仕込んでおくとかしておかないと(笑)。
  とにかく、危機が現実のものになろうと、そうでなかろうと、現実の世界を生きていかなければならないわけで、危機が来たら即、この世から去るという覚悟であるのならば別ですが、生き続けていくつもりならば、状況に合わせて、うまく切り抜けていかなければならないのです。
  東日本大震災の時と同様、事前に避難訓練とか災害に備えた物資の備蓄をしていても、実際には、事前の想定通りとはいかず、役に立たないことも少なからずありました。いろんなことをシミュレーションし、対策を立てておくことは大切なのですが、状況に応じて必要な行動を行うことも必要となってきます。
  なるべく他人に迷惑を掛けたくないし、非常事態が起きてから、慌てて買い占めに走るというようなみっともない行動は取りたくないとは思っていますが、どうなることやら。自分の住んでいる環境が完全に破壊されてしまったら、どうしてもパニックになってしまうでしょうからね。
  とりあえず、金融市場に関しては、2~3月にいったん危機を脱したかのように見え、いったんは軌道修正しましたが、結局は、アヤ戻しでした。いつでも金融市場のクラッシュと背中合わせであるという状況には変わりないということです。
  トレーダーにとって現実を生きるというのはこういうことなんでしょうね。常に大まかなことを予想しつつも、現実に合わせてパフォーマンスしなければならないということです。間違いがあれば、その都度修正していかなければなりません。でないと、簡単に破産してしまいます。
  下落トレンドをたどりながらも、金融市場は緩やかな動きに終始し、政策介入により反転する可能性も秘めています。とはいえ、欧米が没落しつつあるのも事実で、2012年に危機は起きないにしても、いずれ欧米の実態と金融市場の齟齬を埋める動きが来る可能性は依然として高いし、常にそのことを頭の中に入れて、リスク管理やポジション取りをしていかなければなりません。
  大予言を信じている人からすれば、現実の生活なんてとてもせこい話だし、もっと言えば人間の存在の小ささがより際立つことにもなるんでしょうけど、地面にはいつくばるようにして生きていく以外に方法はありません。私なんかは、小人物だから、暴落したらショートでいくら儲かるかみたいな、そろばん勘定しかできませんけどね。