先日、新幹線で移動する機会があったのですが、私が乗ろうとした時間帯は指定席が埋まっていて、前後の列車も同様の状態、自由席も座れるかどうか分からないので、仕方なく、グリーン車に乗ることにしました。
その日は、グリーン車も満席に近い状態で、出入り口から一番遠い席だったので、グリーン車なので広めの通路なのですが、移動が面倒でした。
そして対向する乗客や、荷物を網棚に上げる乗客をやり過ごして、なんとか所定の席までたどりついたのですが、切符に書かれた席にはすでに、高齢の女性が座っていました。席を間違ったのかと思って、もう一度見返しても間違っておらず、自分が座るはずの席にいた人に声を掛けようとしたら、隣の席の人がようやく気付いたようで「ここの席の方ですか」と声を掛けてきました。
私の席に座っている高齢者は、声を掛けてきた人の母親で、本来は通路を挟んだ2席だったのですが、並んで座ったとのこと。「勝手に他人の席に座るな」とひと言、言ってやろうとも思いましたが、高齢者は吸引器の管のようなものを装着しており、先方も低姿勢で何度も頭を下げてくるのでやめておきました。
飛行機なんかでもたまにありますが、見ず知らずの他人の席を占拠するのは、マナー違反で、最初は所定の席に座って、こちらが来たら、「席を変わってほしい」というのが本来あるべきですよね。窓側にせよ通路側にせよその席に座るために、前々から予約している人だっているでしょうし。
私も、体の弱い人を前に何が何でも、自分の選んだ座席に座ろうとは思いません。ただ、いきなり占拠されていたら、何となく気分が悪いです。
これはささいな例で、取るに足らないことですが、中高年の公共の場でのマナーの悪さには嫌な思いをさせられることが多いです。
団塊の世代など、単に右肩上がりの時代に、経済成長のおこぼれにあずかったにすぎない連中が、退職して偉そうな顔をして、権利意識だけをむき出しにする、よくそういう場面に出くわします。
デパートや家電量販店で、店員と話していたら割り込んでくる人、狭い飛行機で忙しく動いているキャビンアテンダントにやたら、いろんなものを持ってこさせる人、電車の座席を自分たちの当然の権利のように考え、若者に席を立つよう催促する人・・・。「中高年」とひとくくりにするのは良くないのかもしれませんが、やたらと目につきます。
少子高齢化で単に中高年の人口が多いというのもあるのでしょうが、ちょっと前までと様子が変わったような気がします。中高年ってあまり派手に外出しなかったのが、バブル期のレジャーブームなんかに触発されたり、大量消費社会を謳歌してきた人たちなので、基本的に行動が活発で、遠慮というものが薄れていると思います。少し上の世代の人たちは戦争をもろに経験した世代で、「(自分だけが楽をして)申し訳ない」「もったいない」なんて謙虚な意識が強かったですが、最近は欲望全開ですからね。
不景気に次ぐ不景気で、国内消費も萎縮する中、お金を出す人がいて、それはそれでいいことだと思います。でも、他人に迷惑を掛けるのはねぇ。登山やハイキング、山菜採りで行方不明になって、ヘリコプターで救助されるのは圧倒的に年齢の高い人が多いですね。
一線を退いた世代は、共済年金や厚生年金だと月20万円くらいもらえるんでしょうかね。私が聞いた話では、元教員の90歳のおばあさんが、有利な時代の年金に入っていたので、月30万円もらっていたとのこと。今の若い世代は、どんなに働いても、年収200万いくかどうか分からない人も大勢いるんですよ。
そんな年収で結婚して子どもをもうけようとしたって、生活は苦しいし、先の見通しも明るいわけではありません。まさに働けど、働けど・・・ですよね。
また、就職活動やなんかでも、大したことのない面接官から、嫌がらせといっても言い仕打ちを受けるわけです。「あなたたちの若い頃はそんなに立派だったのでしょうか?」とぜひ聞いてみてください。みんな上の世代に迷惑を掛け、時には生意気な口をきいて、育ててもらったのです。お互いさまです。
若い世代が苦しむ一方で、上の世代はそんなことなど意に介さないように人生を楽しんでいるという構図。ひと昔前なら「人生50年」で60代、70代前半で鬼籍に入る人も多かったですが、今や医療の進歩や食生活の向上で、10年、20年は以前より長生きしますからね。
長生きが珍しかった昔は、年寄りは大切にされましたし、道徳的にも正しいこととされてきました。しかし、今の時代、年寄りがどんどんあふれてインフレ状態で、いつまでそんな美風が続くかどうか?
むしろ将来の世代を支える若い人たちに希望を持ってもらえるよう、年長者は多少我慢したり、犠牲になってもいいと思うんですけどね。介護も年金もこの人たちによって支えられているのです。若者を育てるために費用をかけたり、しっかり面倒を見てあげるということはますます大切になると思います。身の回りの年下の世代を温かい目で見守ってあげたいものです。