道を誤るな

  財務省は本日、午前10時すぎ、「行き過ぎた市場を是正するため」として、日本単独での為替介入に踏み切りました。東日本震災後の今年3月18日以来、およそ5カ月ぶりの介入実施です。ここ数日来、マーケットでは介入待ちムードだったので、「ついにやったか」という感じでしょう。
  8月4日は米国債償還が相次ぐ「ミニXデー」で、ここ数日、米国のネガティブな経済指標発表が続いており、人為的な操作なしではドルは上昇できる局面ではなかったので、まあこのタイミングは当然といえば当然でしょう。
  しかしここで介入すれば、ドル価格が反転し、上昇基調に転じる見通しがあるのか? 大いに疑問があります。もはや80円台に乗せるのも難しい状況で、90円とか100円などは夢のまた夢です。
  昨年来、3回の為替介入が実施されています。介入ポイントとその結果は以下の通りです。
    2010年 9月15日 82.85 → 85.94 単独
    2011年 3月18日 79.15 → 85.52 協調
           8月4日 77.10 → ???  単独
  震災直後の介入は欧米各国との協調だったので、6円の上昇で、昨年の介入も3兆円規模と大きいものだったので、3円ほど上げていますが、今回は果たしてどうなるか?
  今後のポイントは、3月の介入ポイントである79.15を維持できるかどうかですが、一瞬超えても、なかなかキープするのは難しいでしょうね。
  米国は実質的に国家破綻状態にあります。1ドル=70円どころか、30円、40円でもおかしくはない。そんな通貨を無理やり買い支えている事実を直視しなければなりません。市場はすべてを織り込んで値付けするわけで、なすに任せるべきなのです。介入がなければいったいどこまで下がっていたか、考えるべきでしょうね。
  しばらくはドルは堅調に推移するのでしょうけど、一段落すれば、また、下落モードに入るでしょう。今後はQE3がどの程度の規模になるかに注目があつまります。対して景気浮揚効果もないのにドルをすり続けることで、ドルの価値が希薄化することになります。
  本末転倒もはなはだしいのですが、米国に「何とかしろ」と命じられて、ドルを買い支えているのが実態でしょう。「円高対策」を求める経済界も国益を考えるべきだ。売国の片棒を担ぐのではなく・・・。
  おそらく、今後もドル暴落→介入→暴落→介入・・・の不毛な連鎖が続くでしょう。世界一健全な日本経済がこうして消耗させられ、米国の道連れで地獄へ連れて行かれることでしょう。これは何としても避けなければならない。
  ドルを守ることが日本の国益になるのか? 1930年浜口雄幸内閣は、世界恐慌の嵐が吹き荒れる中、金解禁を実行し、日本はどん底に叩き落されます。そして、翌年に高橋是清が金輸出を禁止し、経済は安定するのです。
  この時の金解禁も米国の差し金で、日本はその後、中国との戦争をけしかけられ、欧米との戦争に引き込まれ、原爆投下で終戦となるわけです。
  順序は多少違うかもしれませんが、戦前の状況に酷似しているのではないでしょうか。韓国哨戒艦沈没、尖閣沖の中国船衝突、延坪島砲撃などなど、不自然な出来事が相次ぎます。もちろん、真相は闇の中で、中国、北朝鮮の挑発の可能性も否定はできないですが、アジアの平和をかき乱そうとする動きに乗ってはいけません。
  米国が日本から自動車やハイテク製品を買ってくれ、トータルで利益になるならいいですが、米国は物を買っても金を払えないのです。そんな国とはさっさと決別すべきです。
  そして、1930年代の過ちを繰り返してはならない。嵐が吹き荒れる中、窓を開け放つようなことはするべきではありません。面従腹背を続けるのです。米国が破綻するならほっておけばいい。そして、破たんしても被害を最小限にとどめられる方に努力を傾けるべきです。