金価格が連日のように史上最高値を更新。押し目があれば、一度、整理しておこうと思っていたのですが、全然押し目が入らず、タイミングを逸してしまい、はっきり言って「何をいまさら」なんですよね。私は3年ほど前から定期預金のつもりで金積み立てを毎月、コツコツとやっていますが、最近の暴騰に次ぐ暴騰でそこそこ利が乗っています。
まず、金投資の基本を確認したいと思います。なぜ金に投資するかというと、歴史的にみて、価値が安定しているので、有事に備えての安全保障目的なんですよね。利子がつくわけでも、配当が出るわけでもない。
最近になって、テレビのワイドショーやニュース番組でも、御徒町あたりの金業者に、使わなくなったアクセサリーを売ったら、高く売れたみたいな特集をやっていますけど、値上がり益を期待しての利殖目的で金投資するのもお勧めしません。
この数週間の金融市場のドタバタぶりをウォッチしていて、現実味を増しているなぁと思うのは、「ハイパー・インフレ」が起きる可能性ですね。目下、マーケットが注視しているのは、週末のジャクソン・ホールでのバーナンキFRB議長の講演で、QE3について踏み込んだ発言がでるかどうかですが、市場参加者が期待するほどの中身になるかどうかは別にして、何らかの追加金融緩和の方針を示唆するのは間違いないと思います。
すでに、ドルを刷りまくって、子供銀行券くらいの価値しかないのに、さらに紙切れを追加投入するわけですから、資源価格をはじめ、貴金属、レアメタル、穀物など、実物の価格が上がるのは間違いないでしょう。米国は越えてはいけない一線を越えてしまうのです。
日本は、対ドル、対ユーロで円高なので、かなり有利な状況なのですが、悲しいことに米国に逆らえない立場なので、ドルや米国債を買い支えなければならず、こちらも追加の金融緩和を強いられるので、円もじゃぶじゃぶになってしまう。結局、米国の巻き添えで、インフレは避けられそうにありません。
円高で、ドル建てで金を買うのに比べ、円で買う方が幾分、安く買えるわけですが、それでも円建ての金価格はかなり高水準にある。換言すれば、それだけ円の価値も下がっているということです。現時点ですでに円も、インフレに毒されているのです。
このような状況なので、資産を金で持つことは基本的には有効であると考えられるのですが、現在の価格水準が金を買うタイミングなのかどうか、見極めるのは非常に難しいです。
米国がドル価格を防衛するため、金のETFを売って、価格を抑えるのではないかという見方が、1年以上前から出ていますが、そんなことはものともせず、一貫して、上昇基調を続けています。
時々、米国の某著名投資家から「金が上昇するの理由がわからない」みたいな発言が出てきますが、押し目買いしたいのか、あるいは、空売りして踏みあげられているんでしょうね。
現在の金価格が、投機あるいはドル価格の低下によるものなのか、実需に基づくものなのか、ちょっと見えません。以前にも触れた通り、中国人やインド人は、歴史的に金を重視するので、経済成長に伴って需要が増大していることは間違いありません。
米国はETFを使って、市場操作ができると考えているフシがありますが、実需に裏付けられた価格を覆すのは難しいでしょう。金相場をコントロールできないということは、米国の力が相当落ちているということの証左でもあります。
今から金投資をするのは、価値が目減りするリスクを相当覚悟しなければなりません。とりあえず、資金の4分の1くらいを使って買ってみて、下がったら、何回でもナンピンするというスタンスがいいでしょうね。株式投資でもそうですが、買ったとたんに下げるというのは、よくあることです。だからじっと我慢するしかないわけです。
まあ、現在のユーロ、ドルを取り巻く情勢を考えると、半年以内に何らかの大きな動きがあるでしょうから、「保険」のつもりで買ってみるのもいいでしょうね。保険といっても、掛け捨てではなく、実物資産として残るわけで、おそらく100年後も価値のある資産であり続けることでしょう。そう考えると、紙切れに投資するよりは有意義だと思うのですが。