いよいよ3泊4日の北海道旅行最終日。週明け月曜日で、世間では1週間が始まる日で、ちょっと緊張感がただよう一日でもあります。遅い夏休みで、穏やかな時間の流れを楽しみたいところでしたが、朝起きて何げにパソコンを開いて飛び込んできたのが「円最高値更新、オセアニア時間に1ドル=75円30銭台」というニュースでした。
前の週の半ばから週末にかけて、為替介入を予想して、ドルを仕込んでいたのですが、なかなか思い通りにならず、私自身の中で、疑心暗鬼が頭をもたげつつありました。この旅の途中でも、どこか頭の片隅にこのことが引っ掛かっていました。
介入ポイントとしては75円割れ、あるいはさらに深押しして72円割れを想定し、それに耐えられるようポジションはとっていたのですが、不測の事態がないとも限りません。見通しが外れれば、かなりの痛手をこうむることになります。
FOMCや雇用統計などビッグ・イベントが控えているので、長丁場を覚悟し、この旅行中はあまり為替のことは気にしないようにしようと、心を立て直しました。ホテルから見た景色を記録しておこうと、カメラを向けると、札幌駅のホームから寝台特急「カシオペア」が走りだすのが見えました。何か得した気分になりました。
この日は、もう一度、レンタカーを借りて札幌近郊の定山渓や支笏湖、ちょっと足を伸ばして洞爺湖なんていう選択肢もありましたが、グルメ紀行としては小樽の寿司は外せないなぁという思いがあり、小樽に行くことにしました。
東京に帰る飛行機は午後9時発なので、ほぼ丸一日余裕があり、小樽行きの前に札幌で、ご当地グルメ、スープ・カレーを食べることにしました。
午前10時に時間通り、ホテルをチェックアウト。札幌駅のロッカーに荷物を預け、身軽になって、徒歩で道庁周辺や大通公園周辺を散策しました。澄んだ秋空で公園の樹木の紅葉が映え、さわやかな気持ちになりました。
トイレを借りるため大通公園近くのホテルに入り、ロビーのソファーに腰掛け、ちょっと気になったので、為替レートをチェックすると、「78.09」の数字が目に飛び込んできました。本当に一瞬、目を疑いました。「えっ??」。そうです。待ちに待った為替介入です。
1ドル=75.90~76.05でドル買いを仕込んでいたので、前週末以来、ずっと含み損が続いていたのですが、一気に大幅な利益になっていました。これで今回の旅行代金など余裕でちゃらになります。「地獄から天国へ」の気分でした。
2年ほど前、東北を旅行した時に、今回同様、ドル買いを仕込んで、観光地をめぐり、一時はそこそこ利益が乗り、さらに伸びることを期待したのですが、帰宅したらかなり利益が溶けてしまったという苦い経験があり、細かくチャートを見られる環境ではなかったので、そこそこで利益を確定しておくことにしました。
その後、気になって何度かレートチェックし、79円台にまで上昇したときには、「やられたな」と思いましたが、そこそこの利益はもらっているので、あまり気にはなりませんでした。それより、その後、77円台まで落ちたので、「確定しておいてよかった」という気持ちの方が強かったです。
この日の空のように一点の曇りもない晴れやかな気持ちになりました。最終日にまさかこんな幸運が訪れるとは。いい運気に恵まれた今回の旅でありました。
足取りも軽く、午前11時の開店に合わせ、大通公園から南へ2本ほど通りを下った「村上カレー店 プルプル」を目指しました。
ここは、職場の同僚に連れられて知った店です。その同僚も辛いもの好きで、トムヤムクンやキムチチゲにさらに粉末トウガラシをふりかけるなど、私など足元にも及ばない、筋金入りの人で、私の味覚形成に大きな影響を与えています。そう考えると、今回の北海道旅行は私自身のルーツを探る、再確認の旅のようなものです。
プルプルは雑居ビルの地下にあります。マスターのこだわりなんでしょうね。なぜかレゲエ一色で、独特の緩いリズムの音楽が流れ、至る所にジャマイカを感じさせます。
ランチタイムの「ナット・挽肉ベジタブル」(750円)を注文。辛さは0~100番まであり、その同僚はおそらく、最上級まで食べたと思います。私は、30番くらいまでいけるのですが、久しぶりなので、10番で止めておきました。ちなみに50番を超えると、注文の際に店の方から注意喚起がなされます。
納豆は結構、いろんな食材と相性が良い食べ物で、私は普段から、パスタとからめたり、みそ汁に入れたりと多方面に活用していますが、スープカレーとも、よく合いますね。むしろ、スープカレーには納豆(ひき割り)が欠かせないといっても過言ではありません。
実はスープカレーも最初は、「何これ?」って感じだったんですけど、後から思い出し笑いのように、しみじみと「そういえばおいしかったなぁ」と感じた食べ物でした。
スープカレーは好きですが、あまりこだわりは持っていなくて、食べるのは5年ぶりぐらいでしたけど、改めて「おいしいなぁ」と思えました。東京でもスープカレーの店を探してみましょうかね。
店にいる間も、店を出てからも、為替レートをチェックし、「ちょっと早く確定しすぎたかな」「でも、大きな利益をゲットできてうれしいな」と、何度も思い出し笑いが止まりませんでした。楽しい気分で小樽に向かうことにしました。(続く)