圧勝・・・



  今年初めての野球観戦。東京は日中の気温が25度を超え、観戦には快適でした。我が東京ヤクルトスワローズは、昨年の日本シリーズ覇者、福岡ソフトバンクホークスに14-3で圧勝。立ち上がり先制を許したものの、すぐに逆転し、その後は主導権を手放さず、2点ビハインドの1回裏に新加入外国人、ミレッジが放った同点2ランを含む、15安打の猛攻で、毎回のように得点を重ね、東京音頭の合唱で沸き返りました。


  ひいきのチームが快勝するというのは、気持ちいいし、いい運気をもらえますね。ただ、正直、どこか釈然としないものを感じます。
  ダルビッシュが日本球界ではモチベーションが保てず渡米、ヤクルトからは、リードオフマン青木が消え、本日の対戦チームのソフトバンクは川崎、和田を大リーグへ放出しました。
  その分、補強ができればいいのですが、入ってくる新外国人は、コストパフォーマンスばかりが優先され、あまりパッとしないし、プロ入りした新人も、これまでのところ強烈なインパクトは見られません。


  放出した選手のレベルと、新たに加わった選手のレベルを比べると、やはり、日本のプロ野球のレベルダウンした感は否めません。加えて、知将、落合監督が昨年限りで中日ドラゴンズを解任され、比較的まともだった北海道日本ハムファイターズの梨田監督も一線を離れたことも響きますね。
  今年は、電力需給が逼迫し、首都圏でのプロ野球の本格開催が5月中旬以降だった昨年と比べると、野球観戦には恵まれた環境でしたが、何となく、「今年の野球はつまらなそうだな」4月の天候不順、低気温などもあり、球場になかなか足が向きませんでした。


  野球ウオッチャー、ヤクルトファンとして、とりあえず、一度くらいは球場に足を運ばないと、何も始まらないだろうということで、今年のプロ野球について、推し量るのにうってつけのカードだったので、昨年10月以来7カ月ぶりに神宮の杜に戻ってきました。


  先発メンバーを見ると、ヤクルトの貧弱さを痛感させられますね。やはり青木の穴は大きい。トップバッターは田中が務めていますが、開幕1、2週間はちょっと調子がよかったですけど、青木はいうまでもなく、他球団の1番打者と比べて、力の差は歴然としていますね。
  ヤクルトは親会社が世界的な食品企業仏ダノンに狙われるなど貧乏で、選手を放出する一方で、FAで選手を獲得したことがありません。そろそろ限界に来ていますね。
  対してソフトバンクは補強にカネをかける球団なのですが、今年は事情が違います。和田、杉内、ホールトンという先発陣がごっそり抜けてしまい、川崎も海外へ武者修行へ。
  しかし、それにしても、毎年大型補強を怠らないだけあって、先発メンバーはまだまだ豪華です。内川、ペーニャ、松田の主軸は強力だし、下位打線も小久保、多村とヤクルトなら間違いなく主軸です。川崎の抜けた後、今宮でいいのか、というところでしょうかね。




  ヤクルトは、ベテラン宮本が安定しているのと、昨年、そこそこは打ったんだけれども、信頼感がいまいちなバレンティンが現時点で3割をキープしているのが救いです。
  その辺は世の中よくできているもので、主力選手が抜けると、代わりに頭角を現す選手も出てくるということです。ただ、全体に小粒になりつつあるというのは否めませんね。
  ヤクルトの場合、某新聞社参加の金満球団と違って、お値打ちな外国人を獲得するのがうまいですね。あとはピッチャー陣がセリーグの中では比較的充実しているところが、かろうじてAクラスを維持できる力になっています。



  昨年の交流戦はヤクルト-埼玉西武ライオンズ戦を観戦しましたが、当時パリーグ最下位だった西武にこてんぱんにやられ、パリーグとの実力の違いを見せつけられました。日本シリーズでも監督の采配がまずくて手こずりましたが、最後は地力の差がでました。
  今日も強力ソフトバンク打線に完膚なきまでにやられるのかと思っていました。実際に1回表から、先発のエース石川がペーニャ、松田に連続タイムリーを浴び、「こりゃだめだな」とあきらめムードでした。


  ところがソフトバンク先発、山田もぴりっとせず、ミレッジの2ランであっさりと追いつかれ、宮本が粘り強いバッティングで4安打、森岡や相川、バレンティンも続き、毎回のように得点を重ね、ソフトバンクのお株を奪う、打線の爆発で試合を制しました。




  ソフトバンクは、やはり投手陣が課題ですね。山田はすでに4勝していますが、杉内、ホールトンの穴は大きいでしょう。パリーグはダルビッシュの放出、東北楽天ゴールデンイーグルスの田中が故障もあり全体的に投手力が落ちています。


  そういう意味では、セリーグにも勝ち目が出てきたわけですが、あくまでも“縮小均衡”であり、野球を観戦する側としては、セリーグファンであってもあまり歓迎すべきものではありません。
  やはり、力と力のぶつかり合い、最高のパフォーマンスをお互いに繰り広げてこそのプロ野球であり、資金力があって補強もできている人気球団に、その他のチームがおんぶにだっこでぶらさがる構図が固定化してしまうとか、どんどん人材が大リーグに流出し、全体的にレベルが低下してしまうと、どうしても野球を見る気をなくしてしまいます。




  今日はひいきのチームが、主力選手が大幅に抜けて、戦力ダウンしたとはいえ、昨年の日本チャンピオンを相手に圧勝し、セ・パ交流戦の第1戦を勝ち星で飾ったという、本来ならすがすがしい日であるはずなのですが、プロ野球を取り巻く状況を考えると、あまり、手放しでは喜べず、むしろ何となくさびしい気分になりました。


  試合後のヒーローインタビューで宮本選手が「僕たちも頑張りますので、みなさんお友達や家族に声をかけてもっと球場に足を運んでください」と語った一言に尽きますよね。
  ファンも辛抱強く見守らないといけないし、それ以上に日本の野球を守るんだという気概が選手にも必要です。そして、球団経営陣はもっと、野球を魅力的にする努力を見せてほしいものです。
  ヤクルトが首位争いに残るのであれば、これからも何度か球場に足を運びたいと思いますが、この先どうなることやら。
  DeNAの監督に、一時噂になった野村克也氏が就任していたならば、今年は、毎週のように横浜スタジアムに通っていたはずなんですけどね。
  とにかく、おもしろ野球を見せてくださいよと。