petemouse のすべての投稿

テクニカルは生きているか?

  先週木曜日に、ギリシャをめぐる動きで、ちょっと明るい兆しが出ていて、日経平均が9000円を抜けきるかという局面がありました。私はその時のコメントで、「落ちるなら、8880近辺まで」と指摘しましたが、週末、2月11日の未明に8890まで下げました。ほぼ目標達成です。その次の目標である8400までは距離があるし、基本的にはまだマーケットは全体的に上目線なので、いつそこまで落ちるかどうかは分かりません。
  相場の雰囲気に漫然と浸っていたら、木曜日深夜の時点では、反落するなんて思いつかないですよね。おそらく。為替もNYダウもイケイケでしたし。
  ただ、その兆候は、数日前から見られ、もしこれが読めないならば、トレーダーをやる資格はありません。ドル・円が上値に未練がある形だったので、私はショートは仕込んでいませんが(ちなみにこのところ一貫して売り目線です)、反落の兆候を把握していれば、少なくともロングを引っ張るという選択肢は排除できました。ここが個人投資家でも単なる素人と、熟練者の違いです。
  テクニカルを知っているからと言って偉そうに講釈を垂れる連中は、うざいほど大勢いますが、相場反転の兆候を読んだり、下値めどを予想するのは、別の視点が必要なのです。もちろんファンダメンタルやテクニカルに基づいて、堂々と値幅を獲るのが王道であることは認めますが、相場自体が、テクニカルで動けるような余裕のある状態にはなく、一部の人たちの思惑でしか動いていないので、弱い立場にある個人投資家が、生き残っていくには、せこいテクニックを駆使する以外にはないのです。
  先物にせよ、ドル・円にせよ、言うまでもないですが、ここからの動きが重要です。先物は9000~9100が強い抵抗帯になっていて、先週も9000を超えようとすると狂ったように売ってきました。その先があるとしても、9100~9300も、一筋縄にはいかないでしょう。
  ドル・円も一見、日経平均とは独立して動いているように見えますが、1ドル=77.75~78.25を超えるのはかなりの力が必要でしょうね。
  以前にちらりと日経先物の長期のテクニカルについて(一つの)分析をお示ししたことがありますが、月足的には、18310から調整波(N字)を入れて、その後、エリオット波動的に下落していて、その視点に立てば、現在は最終の第5波の途上にあり、これが正しければ7000割れがあるということです。
  だから、現在の日経平均の8300台からの反転上昇過程は“偽り”であり、“時間稼ぎ”とも考えられ、上昇してもいずれは簡単に崩されるという見方ができます。チャート的には目先9300くらいまでの戻しはありだし、ここまで上げたのなら、それなりに達成感のある水準まで上げてほしいですが、理論上11500までは上昇しても、エリオット波動の根拠は崩れません。
  でも、その一方でエリオットではないとの想定もしておかなければなりません。世界的な金融緩和で、金融機関に株を買わせて、見せかけだけの景気底打ちを演出している可能性があります。
  また、さすがに短期的にはこれだけの円高が続くのは異常とみられているし(実情は下げたりないくらいですが)、世界的に過剰生産や価格下落の流れは変わっていないものの、製造業は総じて好調で、目先ちょっとだけ景気も底を打ってもいいかなという局面ではあります。
  そうなると、それなりの上昇相場になる可能性は否定できず、11500を抜けきってしまうと、完全にエリオット波動の前提は崩壊します。そうなると新たなテクニカル的な根拠を探さないといけませんし、政策介入によるインチキ相場なので、そもそもテクニカル自体が成り立っていない可能性もあります。
  テクニカル論者はいろいろとフィボナッチだのなんだの持ち出して正当化するかも知れませんが、私は9020まで上昇したのだって、単に一部の人たちの都合でしかなく、かなりいかがわしい上昇だと思っています。この時点でも7:3くらいでエリオットが成立していると、希望も込めて、思っていますしね。
  日経平均は月足レベルの動きなので、テクニカル的な動きは読みづらいのですが、ドル・円は昨年9月の第1弾の為替介入直後まではテクニカルが機能していました。
  皆さんはどう見ているか分かりませんが、ドル・円はつい最近まで驚くほど規則正しい動きをしていたので、この期に及んでも私は注目しています。ユーロなどと比べて値幅が格段に小さくとも主戦場です。ドル・円の動きは金融市場全体の健全性を測るバロメーターだと思っています。
  基本的にはドル・円相場は、テクニカルを逸脱して、壊れていると考えています。もし、円高が行き過ぎだとして、自律反発的な動きをするならば、何らかのテクニカル的なサインが必要だと考えていますが、現時点ではその兆候は皆無です。
  現時点だと、市場全体にドルの対円での割安感があり、日柄的にもちょっと上昇してもいいかなという感じなので、なんとなく堅調ですが、所詮は、気まぐれのレベルです。円安に振れたと言っても、77円台ですからね。最高値から2円程度戻したにすぎません。
  来週以降、ユーロ圏の国債償還や、日本の年度末にかけて、重要な局面になります。このまま粉飾を続け、上昇基調を続けるのか? それとも、化けの皮がはがれるのか、まったく見当が付きませんが、テクニカル的にはっきりとした動きになるのかどうか、注目したいと思います。

2月13日のポイント

  日経先物、ドル・円ともに小休止か、崩壊モードかというところです。期待も込めて後者かなぁとも思いますが、まだ分かりません。先物為替の動きを両にらみで読み解いていくしかないですね。先週木曜日の日中の動きがかなり臭いと思うのですが、まだ、完全に上昇基調が崩れているわけではありません。
  上をやるにしても、崩れるにしても、今週の5営業日のうち、いずれかは大きな動きになるのかなぁという気がしています。動いた方に乗るというスタンスですね。毎度のことですが。
  欧州の金融政策に関する会議がポイントでしょうかね。ギリシャに関して、このままいったん収まるのかどうかもまだ見通せません。どう見ても緊迫度は増しているような気がするのですが・・・。相場が素直に反応しないのでねぇ。

10870
10780
10670
10560
10480
10330
10310
10200 直近高値
10160
10130
10110
10070
10050
10040 震災後戻り高値
10010
9980
9930
9910
9880
9850
9830
9790
9750
9730 
9710 6月28日高値
9690 
9670
9660
9650
9630 
9600
9580
9550
9520~9530
9430~9440
9360~9370
9310
9280 38.2%押し
9200
9110
9060
9000 50%押し
8930
8900
8870
8850
8830
8800
8760
8710 61.8%押し
8660
8630
8610
8580
8500
8470
8440
8400
8360 76.4%押し
8310
8290
7800 震災後安値

博士の予言

  米国のニクソン政権下で国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャー博士は、米国の世界戦略に今でも大きな影響力を及ぼしています。昨年秋、日本が環太平洋連携協定(TPP)に参加するかどうかをめぐり、国内が大きく揺れる中、絶妙なタイミングで来日し、野田佳彦首相が「交渉参加」を表明する“後押し”となりました。
  ニクソン大統領というと、ウォーターゲート事件で歴史上初めて、米大統領が失脚したことで知られますが、ワシントンポストの駆け出しの若手記者が「スクープ」するなど、毎度毎度のことですが、米国で何かが起きると、胡散臭さがつきまといます。
  政権中枢にいたキッシンジャー博士は、うまくスキャンダルを潜り抜け、40年近くたった今でも日本そして世界に対して、存在感を示しています。日本の小物政治家どもがちょこちょことワシントンを訪れ、キッシンジャー詣でをしているのは半ば公然の事実です。
  博士の背後には大きな後ろ盾がいて、エージェントとして動いていることは明白で、まさに世界を動かす“黒幕”なのですが、著書や発言を見る限り、かなりの知性を持った人物であることもまた事実。朝貢国である日本は宗主国の米国に対して、いっぱい食わせてやるぐらいの気概が必要なのですが、対抗できる頭の良さを持ち合わせた人物は存在しません。この事実は粛々と受け止めなければなりません。
  キッシンジャー博士の“カウンターパート”的な存在が、元NHK記者で現在米国のシンクタンクに所属する日高義樹氏で、毎年年初に、日高氏のテレビ東京番組(現在「ワシントンの日高義樹です」)に、博士本人が出演して、その年の世界の動きを予測します。
  予測は当たらないことも多いのですが(わざとミスリードさせる面も多々あるでしょうけど)、世界を動かす人物の発言だけに見逃せません。難点は聞き手(日高氏)のクオリティーで、冷戦構造が抜け切れないんでしょうね。やたらと中国との対立をあおります。まさにそれこそ米国の思うつぼで、日本と中国が対立する構図を利用して、普天間移設など要求をエスカレートさせたり、米国債を買わせたりと、やられ放題です。博士も陰で苦笑していることでしょう。
  それはさておき、キッシンジャー博士の2012年の10大予測は
    ①ドルは下げ止まり安定する
    ②円はこれ以上、高くならない
    ③ユーロは時間をかけて危機を脱する
    ④EUが1~2年のうちに崩壊することはない
    ⑤中国経済は7~8%拡大する
    ⑥イランの核兵器に対する反発が強まる
    ⑦北朝鮮の新しい政権には亀裂が出てくる
    ⑧米国の軍事力が減っても同盟国の力で埋め合わせられる
    ⑨ロシアが帝国主義的国家体制をとるのは難しい
    ⑩大統領選挙後、米国は統一を取り戻す
です。トレーダーとしては①、②が気になりますね。私などは米国崩壊説の立場なので、非常に嫌な予想です。ただ、これはこれとして直視しないといけません。本気でそう思っていて、ドルを反転させる意思を持っているのか、単なる希望的観測なのかは話しぶりからは読めませんでした。確かに相場は円高に対してやや飽和してきた感もあります。
  ③~⑤は当たり障りないでしょうね。欧州に関しては、なんだかんだ言って、団結を維持するでしょう。かつては欧州は列強の集まりでしたが、今や弱っちい国ばかりで、結束しないと中国やロシア、台頭するトルコなんかに呑み込まれてしまうでしょう。
  ⑥、⑦はセンシティブですね。抑えた表現でしたが、イランに対しては敵意というものがにじみ出ていました。はっきり言って「はい、はいそうですか」と聞き流していい話だとは思いますが、⑧みたいなことを言い出してくるので、そうなると話は別です。
  要は、米国単独ではイランを攻撃できないということです。世論も許さないでしょう。だから、いざ戦うとなったら、核拡散防止と対テロのための「多国籍軍」を組織する腹積もりなのです。この辺、露骨に思惑が表れてきますね。
  当然、日本も金だけでなく、自衛隊の参加を強要されることでしょう。すでに巨額の金を貢いでいるにもかかわらず、さらに自衛隊派遣の議論をすることになると思うと、本当に辟易します。
  ⑨はプーチンに対するロシア国内の不満が噴出していますが、いろいろと背景事情があるということでしょう。「米国も一枚かんでいるよ」というメッセージでしょうか。ロシアは現在、中国と比較的共同歩調をとることが多いですが、一枚岩ではなくなる可能性を考慮しておいた方がいいでしょう。昨年のリビアのカダフィ政権崩壊の際の動きをもう一度、精査する必要があります。
  ⑩も「はい、そうですか」ですよね。統一を取り戻すって、もともと、統一しているじゃないですか。民主党が政権を取ろうが、共和党が政権を取ろうが、変化しませんよね。ティーパーティー、リバータリアン系と、民主、共和両勢力とは明確に対立軸が描けますが、リバータリアンの動きを巧妙に封じ込めますからね。
  ロン・ポールを巧妙に埋没させて、共和党を弱体化し、オバマ再選につなげるということなのでしょう。統一を取り戻すというよりは、支配層があらためて団結を強めるということでしょうか。
  キッシンジャー博士の2012年の10大予測は、こんなところです。まだ今年は始まったばかりで、先が読めない部分が多いですが、いろいろと物事が動き出す中で、博士が何を意図して発言したか、少しずつ解明できるでしょう。貴重なインタビューであることは間違いありません。

来週の予定

【13日(月)】
08:50 日10~12月期GDP(速報値)
09:30 豪12月住宅ローン約定件数、投資貸付
15:00 日1月投信概況
20:00 OECD12月景気先行指数

【14日(火)】
06:45 NZ1月食品価格指数
08:00 NZ1月QV住宅価格
09:00 日銀金融政策決定会合
09:30 豪1月NAB企業景況感指数
18:30 英1月消費者物価指数、小売物価指数
19:00 独2月ZEW景況感指数
22:30 米1月小売売上高
※米中首脳会談
※EU大統領、欧州委員長、中国指導者と会談

【15日(水)】
06:45 NZ10~12月期小売売上高指数
15:30 仏10~12月期GDP(速報)
16:00 独10~12月期GDP(速報)
18:00 伊10~12月期GDP(速報)
19:00 ユーロ圏10~12月期GDP(速報)
18:30 英1月雇用統計
19:30 英中銀、四半期インフレ報告
22:30 米2月ニューヨーク連銀製造業景況指数
23:15 米1月鉱工業生産
24:00 米2月NAHB住宅市場指数
28:00 FOMC議事録(1月分)

【16日(木)】
09:30 豪1月雇用統計
22:30 米1月生産者物価指数
22:30 米1住宅着工件数
24:00 米2月フィラデルフィア連銀景況指数

【17日(金)】
16:00 独1月生産者物価指数
18:30 英1月小売売上高
21:00 加1月消費者物価指数
22:30 米1月消費者物価指数
24:00 米1月景気先行指数

未来予想と後講釈

  欧米各国が国家破綻し、金融恐慌が起きるという未来予想の下、私は発言していますが、予想なんてだれでもできるんですよね。大きな方向性は分かっていても、うまく流れに乗って行動し、結果を出すことができなければ何の意味もありません。
  反原発のパイオニアだった人たちがまさにそうですよね。京都大原子炉研究所の小出裕章さんとか、ジャーナリストの広瀬隆さんとか、東京電力福島第1原発事故が起きる前から、「原発やばい」「やばい」言い続けてきたわけですが、彼らはキワもの扱いされて、事故前は相手にもされず、結局事故を防ぐことはできませんでした。
  事故が起きてからもてはやされて、脚光を浴びてはいますが、果たして彼らにとってそれは本意だったのでしょうか? というか、原発事故が起きてから悟ったのではないでしょうか? 「実はちやほやされる今の方が実はおいしい」と。広瀬さんあたりは、そこそこお金も入っているでしょうから、反原発なんてもはや目的ではありませんよね。“反原発”のふりをして、教祖様のようにあがめられる状況に満足してしまっているのではないでしょうか。
  彼らは瓢箪から駒というか、ひょんなことで“幸運”をつかんだわけですが、大多数の筋金入りの反原発派は、事故があって盛り上がってはいるものの、彼らの言うことなど、事故から時間が経って風化すれば、そのうち誰も耳を貸さなくなるでしょう。
  何よりも、原発事故が起きたらとんでもないことが起きると思われていましたが、福島事故の規模は大きいことは大きかったですが、結果は実はたいしたことはありませんでした。東日本大震災があった3月11日の直後は、関東地方全体が放射能汚染で逃げなければならないと、私も覚悟しましたが、事故の影響が少しずつ明らかになるにつれて、実は“しょぼい”ということが分かりました。
  この期に及んでなお、放射能が危険だとさわいでいる人たちも、うすうす気づいているのではないでしょうか。反原発で大騒ぎしたくて、放射能の影響を言い立てているにすぎないでしょう。
  そんなことを翻って考えると、欧米が国家破綻すると、騒いでいる私なんかも、同じような状況なんですよね。世の中のほとんどの人は、うすうす何か起こりそうだということを感じつつも、まさか欧米がつぶれるなどとは、信じきってはいないんですよ。
  そして、3・11のような大きな衝撃が起きてはじめて事態の深刻さに気付く。それで、私みたいなのは、「だからずっと欧米がやばいと言い続けてきたでしょう」としたり顔で偉そうに講釈を垂れますが、大して利益も上がらず、しかも世の中全体がパニクっているので、それにおつきあいして右往左往せざるとえないという・・・。
  小出さん、広瀬さんクラスなら、評論や講演活動をしてお金儲けできるでしょうが、私のようなマイナーな人間はそんな器用なことはできません。
  だから、うまく未来予想を活用できない限りは、何の意味もなく、未来予想も後講釈も大して変わらないことになります。
  今まで何も手をこまねいて漫然と過ごしてきたわけではなく、一応、未来予想を生かすべくそれなりに行動はしてきたつもりですが、どこか、まだまだ将来の話のような感じがしていて、認識が甘かったと思います。実際に金融市場の動きも緊張感をまひさせるほど緩慢な動きでしたからね。
  ただ、そろそろ気を引き締めなおす時期に来ていると思います。どういう結果を出したいのか、たとえそれが皮算用にしても具体的にイメージし、行動を起こすべき時なのだと、あらためて自らに言い聞かせようと思っています。