カテゴリー別アーカイブ: 経済ニュース

世界各地、日本など経済関連のニュース・情報です。

「復興増税」か「インフレ」か(「復興税」という幻想)

 3月11日に東日本大震災が発生し、早期の復興を実現するための財源が議論になっている。予め書いておくが、大震災からの復興財源を「増税」に求めた国など、歴史上、1つも存在しない。何しろ、震災で国民の支出意欲は萎縮しているのに、増税はそれに拍車をかけるのである。  「復興財源を税収で賄う」とは、国民経済から生み出される付加価値、すなわちGDPから政府に分配される付加価値の取り分を増やし、それを復興財源に充てるという話である。ただでさえ萎縮している国民の支出意欲を削ぐと、結局は増税分の効果がGDPの低成長により相殺され、政府の税収が前年比マイナスになってしまう。  実際、1997年に消費税率が引き上げられた際、三大税(所得税、消費税、法人税)の合計は、逆に下がってしまった。

震災からの復興実現こそ最大のソフトパワーだ!(田村耕太郎の「経世済民見聞録」)

 日米同盟の再構築に尽力してきたハーバード大教授のジョゼフ・ナイ氏と、日本の復興について意見交換をした。同氏は、同盟国としての日本の重要性を一貫して主張。クリントン政権で国家安全保障会議議長、国防次官補を務めた経験を持つ。  ハーバード大ケネディ行政大学院の自室に私を迎えてくれたナイ教授は晴れやかな笑顔で私を迎え、こう語った。  「私は非常に楽観的だ。日本は必ず最後に良い結果を出す。第二次大戦や明治維新という大きな変化に対し、国民が一体となって対応した。歴史的に見て他の国にはなかなかできないことだ」 —— あなたは「ソフトパワー」「スマートパワー」の提唱者として高名だ。世界が、ソフトパワーの宝庫として日本を認識している。

ギリシャ悲劇はまだ序幕(Money Globe — from London)

 「ギリシャ悲劇の再来」——。新聞の見出しが躍る。しかし、悲劇はそもそも終わってなどいなかったのだ。  昨年5月に、IMF(国際通貨基金)や欧州からの支援策が発動された後、一時的には好転したものの、ギリシャとドイツの10年国債利回り格差は高水準で推移してきた。その利回り格差は4月後半からさらに急拡大し、ギリシャ政府はドイツ政府よりも12.5%ポイントも余計に金利を払わなければ、資金調達ができない状態となっている(5月10日時点)。ギリシャの2年国債利回りに至っては、24.5%にも達している。  現在の支援の枠組みでは、ギリシャは2012年1〜3月期には、自力で国債を発行しなければならない。

経営陣の報酬を世界トップクラスに引き上げよ(荒井裕樹の「破壊から始める日本再興」)

弁護士業から金融ビジネスに転身し、日本企業の世界的な競争力を高めたいと考えている荒井裕樹氏。まずは日本企業のグローバル化が急務だが、そのためには経営陣のグローバル化を進めていかなければならない。しかし、「日本企業の役員報酬は、欧米企業と比較すると低すぎる。このままでは、世界でもトップクラスの優秀な経営者を引き付けることはできない」と荒井氏は説く。  「日本企業の経営者の役員報酬をもっと高くすべきだ」  こんなことを言うと、違和感を持つ人が多いかもしれない。しかし、欧米の経営者と比較すれば、日本の主要上場企業トップの報酬は、圧倒的に低い水準にあるのが実情だ。  米人事戦略コンサルティング大手のタワーズ・ペリン(現タワーズ・ワトソン)が2004年から2006年にかけて実施した調査よれば、時価総額でトップ100に入る日本企業の最高経営責任者(CEO)の平均報酬は150万ドル。

「流言」が飛び交う中でどのように情報をコントロールしたか(後藤新平と震災復興の4カ月 その可能性と限界)

 大震災は、社会の底に沈んで見えなかった矛盾を浮かび上がらせる。「空気」のように感じていた制度を具体的に生活の場面に押し出してくる。私たちが暮らす、この国の実相は危急存亡の危機によって「可視化」される、といってもいいだろう。  東日本大震災で、露わになった権力機構の弱点のひとつが「情報共有力の無さ」だ。大規模な原発災害を引き起こした以上、大本営発表式の発信ではなく、正確で質の高い情報を、いかに被災者、周辺地域、非被災地の国民、さらに国際社会と「共有」するかが問われる。「5W1H」で、いま福島原発で何が起きていて、それに誰がどう対応しているのか、悪い方向へ転じたら、どんな危険があるのかといったメッセージを国際機関と連携して公表することが求められる。