大地震、津波、そしてその後の原子力発電所の事故で、地震や津波の被災地だけでなく、広範囲な国民生活と農業、漁業を含む経済活動が大きな影響を受けている。こうした経済活動への影響は、法律的にどう取り扱われるか。企業間の契約関係や企業と従業員の法律問題を円滑に解決することも、「復興」に向けて私たちが取り組まなければならない大きな課題の一つである。
天災で損する人と損しない人
震災後、弁護士会の電話相談には、電話が殺到し、仙台弁護士会では、4月末までに、3600件を超える相談があり、日弁連などが連休前半の3日間に95箇所の避難所で行った相談には、1000件を超える相談があったという。地震と津波によって工場が全壊して、約束していた日までに製品を納入できなければどうなるか、あるいは、取引先から預かっていた品物が流出してしまったがどうなるのか、など問題は多岐にわたる。
消費税増税は、震災復興の財源として不適切である。もし増税するなら、税率を一気に10%引き上げるべきだ。小幅の引き上げでは、増税分を価格に転嫁することができず、つらい思いをする中小・零細企業、商店が続出する。一方、消費税率を一気に10%引き上げたら、消費不況はますます深刻化するだろう。復興は遠のく。
従って、復興のための財源は、どうしても国債発行に頼らざるをえない。しかし、ただでさえ国債の発行規模が大きい日本で、さらに発行する国債がきちんと消化されるだろうか? 強い不安を抱く人たちが出てくる。直接、日本銀行に引き受けさせるべきだ。いや、日本銀行に直接引き受けさせてはならない。そんな論争も起きている。
3月11日の東日本大震災をきっかけに、不動産市場を巡る、これまでの常識が大きく揺らいでいます。
マンションデベロッパーがこぞって開発してきた高層マンションは予想を超える振動を経験し、液状化現象で地盤沈下に見舞われたウォーターフロントの住宅地にも注目が集まりました。停電発生で電力会社が進めてきた「オール電化」も見直しの機運が高まっています。いわゆる「帰宅難民」になった人々は、従来以上に職住接近を求め、何よりも建物の耐震性を重視することになるでしょう。
今回の特集では、震災が不動産市場にどんな衝撃を与え、そしてマイホームやオフィスを探す人々の「常識」がどう変わったのかを徹底検証しました。
カセットコンロから家庭教師まで、震災後に特需が起きた。財布のひもを締めるはずの不安感が、むしろ消費の原動力に。この需要、建材などの「復興需要」とはやや趣が異なるようだ。
小売業にとって、消費者の「不安感」ほど怖いものはない。先行きが不透明になれば、消費でなく貯蓄に回すのが消費者心理の常。ところが震災後の消費動向をつぶさに見ると、その定説とは正反対の動きがあるようだ。
オール電化のキッチンでは停電時に煮炊きができない。頼みの都市ガスも大地震では止まる。そんな現実を目の当たりにした消費者が買いに走ったのがカセットボンベや卓上コンロ。50%以上のシェアを持つ岩谷産業は「通常時の3倍以上」(同社広報)という需要に応えて増産に取り組む。
復興計画の検討が本格化すると同時に、復興財源を巡る議論も熱を帯びてきた。消費税率の引き上げか、所得・法人税の増税か、あるいは新税の創設か。いずれの増税策も、政府が国民の信頼を得られない限り、実行することはできない。
政府による復興計画の検討と同時に、復興に必要な財源を巡る議論も熱を帯びてきた。
内閣府の試算によると、東日本大震災の被害額は民間企業の設備や道路、港湾といったインフラだけで16兆〜25兆円。総額では30兆円以上に膨らむといった民間の試算もある。阪神・淡路大震災の時を上回る巨額の財源が必要になることは避けられない。
5月2日の成立を目指す2011年度第1次補正予算案では、基礎年金の国庫負担に充当するはずだった約2兆5000億円の転用や高速道路無料化の凍結などで計4兆153億円を捻出したものの、必要額にはまだ遠い。