新しい連載が始まります。タイトルの「ワンクラス上」は、私がワンクラス上だという意味ではありません。世の中には経済の入門書がたくさんあり、ネットを調べれば、入門段階の情報を簡単に入手することができます。それはそれで大切だと思います。しかし、経済は「あと一歩踏み込んで考えれば新しい風景が見えてくる」ということが多く、「その一歩はそんなに難しくはない」というのが私の考えなのです。
常識的・表面的な知識に満足せず、もう一歩考えを進めてみたい。それがこの連載の狙いであり、私自身がその一歩を踏み出すつもりで書いていきたいと思っています。コメントも歓迎です。どうかよろしくお願いいたします。
最初に取り上げるのは、「GDPの日中逆転現象」である。
「日本を何とかしたい!」と心底から考えている荒井裕樹氏。背景には、国内総生産(GDP)が世界第3位に転落するなど、日本の存在感が低下していることがある。ではどうしたらいいのか? 同氏は「日本の基幹産業の再編をどんどん進めるべきだ」と、本コラムで主張してきた。
荒井氏は、年収4億円を超える訴訟弁護士の仕事を捨て、2008年夏、MBA(経営学修士号)を取得するため米国に留学した。直後にリーマンショックに遭遇。「100年に一度」といわれた世界的な金融・経済危機の震源地となったニューヨークで金融工学を学び、投資ファンドによって日本を変革したいと意欲を燃やしている。
そんな荒井氏が今回、日本再興にとって最も重要なテーマである人材の問題についての持論を展開する。
(前回から読む)
今回はテイラールールの話から始めましょう。
これまでお話してきた通り、現在主要先進国・地域では非伝統的な金融政策運営が行われ、政策金利は1%以下と極めて低い水準にあります。では、政策金利はどのような水準に設定するのが本来望ましいのでしょうか。
テイラールールとは
金融政策運営の方式として、テイラールールという考え方があります。これは、ジョン・テイラーという経済学者によるものです。テイラーは、1987年から92年に米連邦準備理事会(FRB)によって採用されてきた政策金利はテイラールールでうまく説明できると主張しました。
このルールの利点の一つはとてもシンプルなことで、政策金利は物価上昇率と景気の両方を考慮した水準に決まります。
「日経ビジネスオンライン」の人気連載、岡敦の「生きるための古典」が、集英社新書『強く生きるために読む古典』になりました。同連載のファンでもある「早稲田文学」ディレクター、市川真人さんもお招きして、岡康道、岡敦兄弟との鼎談を繰り広げる「人生の諸問題・変化球編」。前回からの続きです。
—— 『強く生きるために読む古典』は、著者の岡敦さんが、当サイトの連載「生きるために読む古典」から、10本を選んで再録、加筆修正しています。文学のプロであられる市川先生にとって、このラインナップはいかがですか。
※ここで、集英社新書に収録したラインナップをご紹介しておきましょう。
はじめに 『資本論』(マルクス)
1 『失われた時を求めて』(プルースト)
2 『野生の思考』(レヴィ=ストロース)
3 『悪霊』(ドストエフスキー)
4 『園遊会』(マンスフィールド)
5 『小論理学』(ヘーゲル)
6 『異邦人』(カミュ)
7 『選択本願念仏集』(法然)
8 『城』(カフカ)
9 『自省録』(マルクス・アウレーリウス)
市川真人(いちかわ・まこと)1971年東京都生まれ。
2月18〜19日の日程で、仏パリにおいてG20財務相・中央銀行総裁会議(以下、G20財務相会議)が開催され、共同声明を発表して閉幕した。「通貨」に特に関連が深い議題は「グローバルな不均衡」と「国際通貨制度」であった。
共同声明によると、「グローバルな不均衡」の是正については、(1)公的債務残高と財政赤字、民間貯蓄率と民間債務、(2)貿易収支、投資所得などからなる対外収支などをモノサシとするとしている。為替レートや外貨準備という指標は外れることになった。
今後の計画は、4月に開催される次回のG20財務相会議までに、具体的にモノサシを固め、そのモノサシでチェックする対象国を選ぶことになっている。