経済の中でも国際経済の分野は、「エコノミストの常識」と「一般の人々の常識」の食い違いが特に多く見られる分野である。その食い違いがあまりに多いので、私は『日本経済・国際経済の常識と誤解』(中央経済社、1997年)という本を書いてしまったほどである。
その誤解に満ち満ちた国際経済の分野でこのところ話題になっているのが、日本の貿易収支が赤字となっていることだ。このままいくと経常収支も赤字になる可能性があるとも言われている。これについては既に多くの議論が展開されつつあり、例えば、週刊東洋経済は6月4日号で「貿易赤字転落で発生する日本経済最悪シナリオとは」という記事を掲載し、週刊エコノミストは6月7日号で「ニッポン 経常赤字国転落」という特集を組んだ。
日本企業にとってグローバル化は喫緊の課題。前回で荒井氏は、「企業の経営陣のグローバル化を進めていかなければならないが、日本企業の役員報酬は世界で見ると低過ぎる。このままでは、世界トップクラスの優秀な経営者を引きつけることはできない」と指摘した。
「日本の大学も、このままでは世界中から優秀な学生や教授を集められない。今こそ変革すべきだ」と説く。日本の大学を変革して優秀な人材を集める。そうすることが日本企業の国際競争力の向上につながる。
さらに世界中から投資を呼び込む施策の実行によって日本の国際的競争力を高めるべきだというのが、荒井氏の主張だ。
「38%対14%」──。
日本企業にとってグローバル化は喫緊の課題。前回で荒井氏は、「企業の経営陣のグローバル化を進めていかなければならないが、日本企業の役員報酬は世界で見ると低過ぎる。このままでは、世界トップクラスの優秀な経営者を引きつけることはできない」と指摘した。
「日本の大学も、このままでは世界中から優秀な学生や教授を集められない。今こそ変革すべきだ」と説く。日本の大学を変革して優秀な人材を集める。そうすることが日本企業の国際競争力の向上につながる。
さらに世界中から投資を呼び込む施策の実行によって日本の国際的競争力を高めるべきだというのが、荒井氏の主張だ。
「38%対14%」──。
経済の中でも国際経済の分野は、「エコノミストの常識」と「一般の人々の常識」の食い違いが特に多く見られる分野である。その食い違いがあまりに多いので、私は『日本経済・国際経済の常識と誤解』(中央経済社、1997年)という本を書いてしまったほどである。
その誤解に満ち満ちた国際経済の分野でこのところ話題になっているのが、日本の貿易収支が赤字となっていることだ。このままいくと経常収支も赤字になる可能性があるとも言われている。これについては既に多くの議論が展開されつつあり、例えば、週刊東洋経済は6月4日号で「貿易赤字転落で発生する日本経済最悪シナリオとは」という記事を掲載し、週刊エコノミストは6月7日号で「ニッポン 経常赤字国転落」という特集を組んだ。
ポイント
・レーガン大統領の「減税で財政再建」政策は失敗、クリントン大統領の「増税で財政再建」政策は成功
・税率を引き上げても、労働供給や課税所得はそれほど縮小せず、税収は減少しない
・楽観的な財政再建計画は国際的に信用されない
前回の復興財源のあり方の説明した際、国債はいずれ償還しなければならないことを前提としたが、増税に反対する論者もいる。今回はそうした主張のうち、「増税すれば経済成長が低下し、減収になる」、逆に言えば「減税で経済成長が促進され、増収となる」との説の問題点について考察しよう。
増税の経済成長への影響は、ケインジアン的な意味での短期的な影響とインセンティブへの効果を通じた中長期的な影響が考えられるが、前者については、5月30日の社会保障改革に関する集中検討会議に提出された内閣府の研究報告書に、1997年の消費税引上げの影響を巡る議論も含め、よくまとめられているので、本稿においては、いわゆる上げ潮派の論者が重視することの多い後者のインセンティブへの効果を通じた中長期的な影響につき論じる。