ラーメン道 深みのある味 四ツ目通り編2

  怒涛のつけ麺スペシャル。そろそろ私の中では佳境に入ってきました。「六厘舎 TOKYO」で、ずば抜けたつけ麺と出会い、東京のつけ麺に対する評価、序列のようなものが固まってきました。
  今回、江東区住吉にあるつけ麺店「麺屋 中川會」を訪れたことでそれが確信に変わりつつあります。中川會といえば、六厘舎と並んで、つけ麺店の代表格のような存在で、テレビ、雑誌のつけ麺特集では、必ずと言っていいほど取り上げられるお店です。
  あちこちつけ麺店を食べ歩いて、味の記憶が鮮明なうちに、自分の中での評価を確立したいと思い、たまたま時間があったので、六厘舎を訪れた翌日、中川會に行ってみました。




  四ツ目通りは、スカイツリーのおひざ元、押上から錦糸町を経て東陽町に向かう東京東部の幹線道路の一つで、高層マンションが続々と建ち、人口が増加している地域で、近年、ラーメン店も相次いで開店し、注目されている地域です。ラーメン店が立ち並ぶ街道としては、西の環七通りに対抗し、いずれ「東の四ツ目通り」と称される日がくるかもしれません。
  昨年7月に「肉そば けいすけ」の住吉店を取り上げたので四ツ目通りのお店を紹介するのは2度目。けいすけから200~300メートルほどの距離の目と鼻の先に中川會はあります。
  東京メトロ半蔵門線の住吉駅から店までの経路を調べようと、スマホで検索したら、「中川会」と入力すると、全国の「医療法人・中川会」ばかりヒットしました。「中川会」というと医療法人というのが世間一般の相場なのでしょう。「幸楽」「来々軒」とくれば中華料理、「大三元」といえば雀荘といった感じでしょうか。検索するときは「中川會」とするか、「つけ麺 中川会」とした方がよさそうです。


  以前にたまたま近くを通りかかった際に中川會の前には長い行列ができていたので、待たなければならないのかなと覚悟していましたが、予想に反して、午後1時前に店に着いたときには、近所の事業所に働いているとみられる、作業服姿の40~50代の男性3人しかおらず、5分も待たずに店内に入ることができました。
  「アド街ック天国」とか夕方の情報番組や何かで、何度か取り上げられているのを見ましたが、長い行列で大盛況という印象でした。やや地の利が悪いのか、一時の勢いは落ち着きつつあるということでしょうかね。平日ということもあるのでしょう。休日の方が人が集まりやすいような感じもします。
  店内は天井と壁が黒基調で、カウンターの木目が映え、つけ麺店というよりは、落ち着いたジャズバーみたいな雰囲気です。
  つけ麺大盛(750円+100円)を注文しました。思いのほか、簡単に入店できましたが、やはり人気店のつけ麺ということもあり、期待が高まります。


  注文から5分ほどで、お目当てのつけ麺とご対面。中川會も、豚骨、魚介がベースで、見た目、風味はほかのつけ麺店のものと同じような感じでした。麺は六厘舎と同じ、浅草・開花楼製で、それぞれオーダーメードで、別物なんでしょうけど、ボリューム感があり、微妙にウエーブがかかっているのが特徴です。
  早速、まずはつけ汁だけを吟味します。舌先にのせると、食べなれた豚骨魚介なのですが、ほんのりとした甘みがあり、全体に深みと奥行きが感じられました。
  中川會のつけ汁は、野菜と生シイタケ、そしてリンゴ、オレンジなど果物をふんだんに取り入れているのが特徴なのですが、それがはっきりと感じられる味で、他店の豚骨魚介とベースは同じなのですが、野菜と果物のエキスが格の違いを押し出しています。
  トッピングに六厘舎同様、魚粉エキスが添えられているのですが、これはつけ麺のスタンダードになりつつありますね。味にアクセントがついて、最後まで食べ飽きません。
  「神の舌」を持つという美食家の石神秀幸さんが中川會のつけ麺について、「頭一つ抜けた存在感を示す」と評していましたが、まさにその通りだと思います。
  つけ汁にインパクトがある上、それに負けない開花楼の弾力感があり、小麦の風味が生きた麺のコンビネーションがよく、食べごたえがあります。


  それと、忘れてはいけないのは、「カレ変ライス」(+150円)です。麺を食べ終わった後、残ったつけ汁にカレー粉を入れてくれ、小ライスと一緒にかき混ぜることで、ドライカレーか、カレーおじやのようなものに“変身”します。これが、豚骨魚介のだしが利いていて絶品です。まさに〆には欠かせない、一粒で二度おいしい、うれしいおまけです。




  この1カ月ほど、ラーメンを封印し、つけ麺ばかり食べてきましたが、六厘舎と中川會のものは別格ですね。練りに練られていて、あまりの完成度の高さにうならされます。素直に「おいしいものを食べたな」と、食べ終わった後に、とても心地よくなりました。
  あえて、六厘舎か、中川會かとなると、さらに頭一つ抜け出した形で、六厘舎でしょうかね。つけ汁を口にした時のインパクトは中川會もなかなかのものだったのですが、六厘舎はさらにそれを上回る衝撃でした。好みによる部分もあるでしょうが、豚骨魚介のみで直球勝負、高いレベルに昇華させてしまった点で、六厘舎に軍配が上がると思います。
  ということで、現時点で、私の中でのつけ麺ランキングは、
    ①六厘舎 TOKYO(東京駅八重洲口・東京ラーメンストリート)
    ②中川會(江東区・四ツ目通り)
    ③蕃茄(練馬区・大泉学園)
ですね。私が考える「つけ麺 御三家」です。つけ麺に関しては、まだまだ知らないことがあるので、このランキングはあくまでも暫定であり、今後、塗り替わる可能性は大いにあります。サプライズに期待したいところです。
  ただ、このところ、つけ麺ばかり食べていたので、そろそろ、ラーメンや油そばも食べたいなかなというのが率直な思いです。