ババ抜き

  欧州の財政問題をめぐって、ここ2、3カ月、毎週毎週、いろんな会議が開かれています。結果はご存じの通り、頻繁に動きがある割には、実効性のある対策は何一つ打ち出せず、問題を先送りしてここまできました。
  最初のうちはマーケットも、大して成果も出ていないのに、「問題解決への一歩」みたいなポジティブな受け止め方をして、好意的に受け止めていましたが、ここへきて、小手先の対策では満足せず、何も動かないことへのいら立ちを少しずつ表すようになってきました。ユーロがじりじりと安くなっているのはそういうことだし、世界的に株安の連鎖になりつつあるのも、そうですね。「もう我慢できない」ということです。
  ただ、リーマン・ショックでもそうでしたが、よほど切羽詰まった状況にならないと、何も動かないでしょうね。フランスや英国まで飛び火するかどうかは分かりませんが、少なくともイタリア以下は「アウト」です。だから、かねて指摘しているように、国家破綻の連鎖が止まらなくなるという前代未聞、史上最悪の金融恐慌が発生し、かなり深刻な状況に陥ることが予想されます。
  だから、現時点で、あえて火中の栗を拾おうという動きは、あるわけはなく、実際にやばい状況になったら、「後出しじゃんけん」でお茶を濁そうということでしょう。積極的にババを抱え込もうという奴はいないわけで、最終的に貸し手としては、中国や日本ということになるのでしょうが、賢明にも両国とも、表面上は積極姿勢を示してはいるものの、踏み込んだ支援には乗り出してはいません。
  ユーロが軟調といっても、1ユーロ=100円をキープしているわけだし、株価だって、額面上はまだまだ緊迫した状況ではありません。国債云々が言われていますが、「危険水準」の7%前後ですからね。所詮はそんなもんです。これが15%とか20%に跳ね上がれば話は別ですが。
  もし、支援に踏み出すのであれば、せめてもうひと叩きはしたいところです。1ユーロ=90円とか、金利上昇にいよいよ歯止めがかからなくなったところで、ビジネス上の規制緩和とか、いざとなれば土地や建物を接収するとか、しっかり担保を確保した上で、相手にとって不利な条件で、手を差し伸べればいいだけの話です。
  日本にとっては、ただそれだけの話なのですが、ここへ来て、米国がちょっかいをかけ始めましたね。日本の格下げみたいな話が唐突に出てくるというのは、彼らが「困ってますよ~」というサインです。馬鹿ですね。
  欧州の金融不安で、ギリシャだけでなく、ポルトガルとか、スペインとか、イタリアとかの国債に対しても、債務を実質的に棒引きするというような事態になった場合、米国の金融機関が痛手を被る恐れが出てきました。
  欧州は文化大国で、偉そうにいばりくさっていましたが、実は何のことはない、金融詐欺や不動産ころがしで、米国のお仲間だったということです。だから、欧米は一蓮托生。お互いに何かあれば、抱きつき心中せざるを得ない、深い関係にあるのです。
  そして、ここでも米国にけしかけられて、米国の金融機関を支えるため、日本はカネを無理やり出さざるを得ない状況に追い込まれる可能性が出ています。日本の財政がやばいから消費税を上げさせる→そうやって捻出した金を欧米の金融支援にあてさせるという実に単純な構図です。
  欧米の人たちも頭が悪いのか、今増税論議を始めたって、おそらく来年訪れるであろう、金融恐慌には間に合わないはずなんですよね。なりふり構わぬ方法で、カネを出させようという意図がありありだし、ここまで下品な要求をするくらい、困っているんだなぁということがうかがえ、ある意味、哀れを誘います。
  彼らが没落するのは、もう時間の問題だし、こんなものは真に受けず、のらりくらりかわしていればいいのです。ババ抜き合戦は欧米人同士でやってくださいと。しかし、欧米人ってなんてバカなんでしょうね。人の持っているものを欲しがってばかりで根が卑しいし、本当に気持ちの悪い連中です。