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太陽と海の風を感じて



  ゴールデンウイークに入って、ようやく太陽の光に勢いが感じられるようになりました。4月は気温が低く、すっきりしない空模様の日が多かったですが、ここへ来て、春をすっ飛ばして一気に初夏が訪れたような陽気が続いています。
  一年の中でも外出するには最も適した季節ですね。もうしばらくすると、梅雨のじめじめした季節に入りますし、梅雨が明けて、初夏のさわやかな日が訪れたかと思うと、つかの間、すぐに太陽が強烈に照り付ける暑い夏が訪れます。
  どの季節が体質に合うかはその人次第です。私の場合は、夏場が一年の中でも最も体が活発に動くシーズンなのですが、逆に気温が低くなると、動きが鈍くなったり、体調を崩しやすかったりして、冬はどうも苦手です。夏バテならぬ、“冬バテ”をする上、春先は冬の重い雰囲気をひきずったままで、花粉症なんかにも悩まされて、ぐずぐずとしています。毎年、この時期にようやくエンジンがかかってきます。
  私とは反対に、気温が低い方が体が軽いという人もいるでしょうし、何かの歌にもあるように、「冬を選んで咲く花もある」わけで、バイオリズムは人それぞれですね。自分に合った体調管理をするのがベストだと思います。
  ただ、一般的にはやはり、春先に活動を開始し、気温が上がるにつれて活発になり、夏場にピークを迎え、秋に収穫の時期を迎えるというパターンが多いですね。動植物のほとんどは、太陽の活動に合わせ、エネルギー(気)を効率的、効果的に受け入れるスタイルで動いています。




  太陽の光を浴び、海の風を感じたくて、そして、この季節ならではの自然の生気を目いっぱい取り込みたいと思い、ゴールデンウイークの初日、江の島・鎌倉方面へ行ってきました。
  千葉の銚子に学生時代の先輩で、老舗旅館の御曹司がいて、久々に訪ねてみよう(たかりに行ってみよう)とも思ったのですが、さすがに、連休中は書き入れ時で忙しいでしょうから、(みかじめは)やめておきました。
  房総半島も近年人気を集めていて、この時期に訪れるにはうってつけの場所なのですが、東京から見ると、湘南や伊豆半島にかけての海岸線は、とてもまぶしく感じられます。
  江の島、鎌倉は雰囲気がいいですよね。この辺に住んでいる人は独特のプライドを持っています。神奈川県民は総じて誇り高いですけどね。東京都民にはない感覚です。
  良く考えたら、私の周囲には、なぜかやたらと鎌倉在住者がいます。もしかしたら、人口密集地の横浜や川崎よりも知り合いは多いかもしれません。藤沢や逗子なんかも住んでいる人かなりいますね。
  このエリアは景観を守るために、マンションの建設が規制されていたり、住民の反対運動が強いので、なかなか最適な物件は少ないようなのですが、皆さん、家探しがうまいようです。
  ただ、津波の心配があるみたいですね。特に昨年の東日本大震災以降、センシティブになっているようです。想定される最大級の津波で長谷の大仏はほぼ水没してしまうらしいですから、切実な問題でしょう。
  でも、小泉今日子さん主演のドラマ「最後から二番目の恋」なんかで取り上げられ、イメージ・アップしていますから、この地域の人気は依然高止まりでしょう。
  まあ、私の場合、利便性重視ですから、できる限り、都心近くで暮らしたいですね。都会暮らしは何かと便利ですよ。やはり。
  それにしても、あのドラマは、ストーリー自体は起伏がなく平板でしたけど、面白かったと思います。視聴率もまずまずだったのではないでしょうか。小泉今日子さんは魅力的な人だとは思いますが、何となくドラマではあまり見たいとは思いませんでしたし、キャストの顔ぶれからして、たそがれた感じがあるのかなと思っていたのですが、予想に反し、現在の日本の成熟した、いい部分を描き出していたと思います。
  韓流に対抗して、今後、日本のドラマを積極的に海外に売り出していくみたいですが、この感覚はちょっと理解しにくいかもしれませんね。特に中国人なんかは、まだあと30年くらいかかるでしょう。韓国なんかも成熟した文化を担う層が海外流出しているので、国自体に力がなく、ああいうドラマはつくれないでしょうね。




  日本全国、「ご当地グルメ」「B級グルメ」ブームですが、江の島・鎌倉エリアもご多分に漏れず。「しらす丼」が有名ですが、あちこちにしらす丼や、しらすを使った料理が売りのお店が本当にあちこちにあります。
  実は江の島を訪れるのは、10年ぶりくらいなのですが、以前はここまでしらす丼は広まっていなかったような気がします。
  食に関することは、多くの人が興味や関心を持っているし、お金を落としやすいですよね。観光地にとっては、非常にすぐれた観光資源だと思います。街おこしやなんかにも有効です。日本人はこういうところはとても研究熱心で積極的だし、オリジナリティーあふれるものが次々と生み出されるので、いいことだと思います。これこそ日本人の神髄だし強みですよね。
  私は高級魚より、イワシやサンマのような魚の方が好きでよく食べます。味わい深いと思います。子供のころからしらすご飯が大好きでしたが、しらすはカタクチイワシの稚魚がほとんどだそうなので、私の味覚にマッチしているんだろうと思います。広島で地場の小イワシの刺身を食べた時も感激しました。
  江ノ島駅近くのいい感じの雰囲気の食堂で、生しらすと釜揚げしらすの「二色丼」(1300円)を食しました。期待通りの味で、何も言うことはありませんでした。今回はお日様の光と海風を浴びるとともに、しらす丼を食べるのがミッションなので、達成感はハンパではありませんでした。






  それにしても、この季節の海は本当にキラキラ輝いています。長くてつらい冬を乗り越え、新しい季節が訪れたことで、気持ちが軽くなったから、そう感じるのかもしれませんが。
  この日は25度を超え、初夏の陽気でしたが、海を吹き渡る潮風が心地よく、心がすがすがしくなります。いい運気が充電されますね。






  ゴールデンウイークで、天気に恵まれ、島から人があふれてしまうのではないかと思うくらい、大勢の人で盛況でした。花見シーズンに訪れた浅草もそうでしたが、欧米人や中国系とみられる人もちらほら見かけるようになり、東日本大震災や、東京電力福島第1原発事故のダメージからは徐々に回復しつつあるようです。
  何より、首都圏という巨大な後背地があるのが強いですよね。東京ディズニーランドが大成功したのは、首都圏という大きなマーケットを擁し、リピーターを取り込んだことが最大の要因と指摘するレポートを読んだことがありますが、説得力があると思います。
  ご当地グルメ、B級グルメもそうですが、地元の人に愛されないものは長続きしないと思います。まずは地元が盛り上がること、これが地域外や海外から観光客をひきつける大きなカギではないでしょうかね。
  「日本でポピュラーな観光地だ」ということになると、やはりちょっと興味を引きますよね。地元の人が良く食べ、愛されている料理だということになると、試してみたいと思うのが人情ではないでしょうか。




  いつも思いつきで行動するのですが、この日も朝起きて、「そうだ海を見に行こう」と思い立ちました。何事もそうですが、思いつきと勢いが大切ですよね。そういう意味でも、江の島・鎌倉は気軽に出かけやすいエリアだと思います。
  小田急の特急に乗れば快適かなと思って、新宿駅に行ったら、ちょうどその時間帯に江の島行きの特急がなく、途方に暮れかけたところで、JRの「湘南新宿ライン」の文字が目に入りました。
  これぞまさに「渡りに船」ですね。湘南新宿ラインがなければ品川まで出なければならないところでしたが、本当に便利な時代になりました。時間的にも小田急よりJRの方が圧倒的に早いですしね。
  そういういいめぐり合わせにも恵まれました。これも天の配剤と言えるでしょう。






  私にとって、とってもうれしかったのは、ついに連敗を阻止したことです。鎌倉の鶴岡八幡宮で、おみくじに挑戦。見事に「末吉」を引きました。ついに年初来、3回も続いた「凶」の流れを止めることができました。
  生まれて初めてのお宮参りは、某八幡宮でした。八幡宮と言えば源氏の氏神。その元締め的な存在の鶴岡八幡宮で流れを変えたのですから、きっと運が好転するでしょう(と信じています)。
  といっても、年初に初詣で凶を引いたのはこれも八幡宮だったのですがね。その後、1月と4月に浅草・浅草寺で立て続けに凶を引き、へこみました。今まで、浅草寺では「大吉」以外引いたことがなかったですからね。
  このところの金融市場の低迷、春先の何となく体が重い感じなど、なんとなく沈みがちだったので、これを反転攻勢のきっかけにしたいですね。
  燦々と降り注ぐ太陽の光を浴び、さわやかな潮風を感じたことで、いい気を取り込むことができました。何かいいことがあればいいですけどね。

懲りない人々



  3月に84円台をつけてから1カ月以上がたち、反転のタイミングもあるのかなと思っていましたが、買い持ちが減らず重いですね。
  2月の相場反転時の時もそうですが、このところ投機ポジションの推移をみていると、安値圏でしつこく売り、高値圏でしつこく買うという、ダメ人間の典型のようなパターンが続いています。
  基本的には株も為替も、政策介入でインチキをしないと、値を維持できないので、抜本的に何かが変わらないと、上昇基調というのは難しいと思います。
  普通に考えても、これだけロングが積み上がっていると、上昇は難しいでしょうね。買い方さんには残酷ですが、70円台で投げさせられる可能性が高いのではないでしょうか。そもそも、先月の雇用統計発表で、視点を切り替えなければならないのに、買い支えられ、ロング建玉が高水準で推移しているのが驚きです。頭がおかしいとしか思えません。
  一歩引いた視点で、急速に没落する世界帝国の哀れと、それに群がって生きてきた人たちがはしごを外される様子を面白がって見ていればいいんじゃないでしょうかね。ドルは所詮、破綻国通貨ですから。

ラーメン道 深みのある味 四ツ目通り編2

  怒涛のつけ麺スペシャル。そろそろ私の中では佳境に入ってきました。「六厘舎 TOKYO」で、ずば抜けたつけ麺と出会い、東京のつけ麺に対する評価、序列のようなものが固まってきました。
  今回、江東区住吉にあるつけ麺店「麺屋 中川會」を訪れたことでそれが確信に変わりつつあります。中川會といえば、六厘舎と並んで、つけ麺店の代表格のような存在で、テレビ、雑誌のつけ麺特集では、必ずと言っていいほど取り上げられるお店です。
  あちこちつけ麺店を食べ歩いて、味の記憶が鮮明なうちに、自分の中での評価を確立したいと思い、たまたま時間があったので、六厘舎を訪れた翌日、中川會に行ってみました。




  四ツ目通りは、スカイツリーのおひざ元、押上から錦糸町を経て東陽町に向かう東京東部の幹線道路の一つで、高層マンションが続々と建ち、人口が増加している地域で、近年、ラーメン店も相次いで開店し、注目されている地域です。ラーメン店が立ち並ぶ街道としては、西の環七通りに対抗し、いずれ「東の四ツ目通り」と称される日がくるかもしれません。
  昨年7月に「肉そば けいすけ」の住吉店を取り上げたので四ツ目通りのお店を紹介するのは2度目。けいすけから200~300メートルほどの距離の目と鼻の先に中川會はあります。
  東京メトロ半蔵門線の住吉駅から店までの経路を調べようと、スマホで検索したら、「中川会」と入力すると、全国の「医療法人・中川会」ばかりヒットしました。「中川会」というと医療法人というのが世間一般の相場なのでしょう。「幸楽」「来々軒」とくれば中華料理、「大三元」といえば雀荘といった感じでしょうか。検索するときは「中川會」とするか、「つけ麺 中川会」とした方がよさそうです。


  以前にたまたま近くを通りかかった際に中川會の前には長い行列ができていたので、待たなければならないのかなと覚悟していましたが、予想に反して、午後1時前に店に着いたときには、近所の事業所に働いているとみられる、作業服姿の40~50代の男性3人しかおらず、5分も待たずに店内に入ることができました。
  「アド街ック天国」とか夕方の情報番組や何かで、何度か取り上げられているのを見ましたが、長い行列で大盛況という印象でした。やや地の利が悪いのか、一時の勢いは落ち着きつつあるということでしょうかね。平日ということもあるのでしょう。休日の方が人が集まりやすいような感じもします。
  店内は天井と壁が黒基調で、カウンターの木目が映え、つけ麺店というよりは、落ち着いたジャズバーみたいな雰囲気です。
  つけ麺大盛(750円+100円)を注文しました。思いのほか、簡単に入店できましたが、やはり人気店のつけ麺ということもあり、期待が高まります。


  注文から5分ほどで、お目当てのつけ麺とご対面。中川會も、豚骨、魚介がベースで、見た目、風味はほかのつけ麺店のものと同じような感じでした。麺は六厘舎と同じ、浅草・開花楼製で、それぞれオーダーメードで、別物なんでしょうけど、ボリューム感があり、微妙にウエーブがかかっているのが特徴です。
  早速、まずはつけ汁だけを吟味します。舌先にのせると、食べなれた豚骨魚介なのですが、ほんのりとした甘みがあり、全体に深みと奥行きが感じられました。
  中川會のつけ汁は、野菜と生シイタケ、そしてリンゴ、オレンジなど果物をふんだんに取り入れているのが特徴なのですが、それがはっきりと感じられる味で、他店の豚骨魚介とベースは同じなのですが、野菜と果物のエキスが格の違いを押し出しています。
  トッピングに六厘舎同様、魚粉エキスが添えられているのですが、これはつけ麺のスタンダードになりつつありますね。味にアクセントがついて、最後まで食べ飽きません。
  「神の舌」を持つという美食家の石神秀幸さんが中川會のつけ麺について、「頭一つ抜けた存在感を示す」と評していましたが、まさにその通りだと思います。
  つけ汁にインパクトがある上、それに負けない開花楼の弾力感があり、小麦の風味が生きた麺のコンビネーションがよく、食べごたえがあります。


  それと、忘れてはいけないのは、「カレ変ライス」(+150円)です。麺を食べ終わった後、残ったつけ汁にカレー粉を入れてくれ、小ライスと一緒にかき混ぜることで、ドライカレーか、カレーおじやのようなものに“変身”します。これが、豚骨魚介のだしが利いていて絶品です。まさに〆には欠かせない、一粒で二度おいしい、うれしいおまけです。




  この1カ月ほど、ラーメンを封印し、つけ麺ばかり食べてきましたが、六厘舎と中川會のものは別格ですね。練りに練られていて、あまりの完成度の高さにうならされます。素直に「おいしいものを食べたな」と、食べ終わった後に、とても心地よくなりました。
  あえて、六厘舎か、中川會かとなると、さらに頭一つ抜け出した形で、六厘舎でしょうかね。つけ汁を口にした時のインパクトは中川會もなかなかのものだったのですが、六厘舎はさらにそれを上回る衝撃でした。好みによる部分もあるでしょうが、豚骨魚介のみで直球勝負、高いレベルに昇華させてしまった点で、六厘舎に軍配が上がると思います。
  ということで、現時点で、私の中でのつけ麺ランキングは、
    ①六厘舎 TOKYO(東京駅八重洲口・東京ラーメンストリート)
    ②中川會(江東区・四ツ目通り)
    ③蕃茄(練馬区・大泉学園)
ですね。私が考える「つけ麺 御三家」です。つけ麺に関しては、まだまだ知らないことがあるので、このランキングはあくまでも暫定であり、今後、塗り替わる可能性は大いにあります。サプライズに期待したいところです。
  ただ、このところ、つけ麺ばかり食べていたので、そろそろ、ラーメンや油そばも食べたいなかなというのが率直な思いです。

5月1日のポイント

  徐々にレンジを切り下げています。先週は、FOMCと日銀金融政策決定会合が注目されましたが、決定打とはならず、週末の米1~3月期GDPが予想を下振れたことでドル・円が下抜つつあります。80円台はもしかするとこれが最後かもしれません。84円台をつけたときは、上げたりないような動きも見せましたが、所詮は破たん国通貨ですね。あるとしたら、イラン攻撃とか、北朝鮮に何かやらせて、無理やり値を吊り上げることでしょうか。そうなればそうなったで分かり易い動きになるでしょうから、ロングで乗るだけの話です。
  今週は早いもので5月第1週。雇用統計発表があります。先月は見事にレンジを下にブレイクしました。今月も新規失業保険申請件数からすると、おそらく順当にネガティブサプライズとなることでしょう。
  海外もメーデーの休日などがあるので、基本的には様子見ムードが続き、イベントにからめて、トレンドが鮮明になっていくという感じでしょうかね。
  勝負は5月2週目以降です。例年、5月は売られやすい時期であり、今年の場合は、フランス大統領選挙、ギリシャ総選挙と、欧州問題がきわどい状況になる可能性があるので、売られる原因に事欠きません。
  連休はしっかり羽を伸ばして鋭気を養い、次の展開に備えましょう。

ラーメン道 キング・オブ・つけ麺 東京駅編1

  ゴールデンウイークに入りました。新緑が鮮やかで本格的に生気がみなぎる季節です。金融市場は混とんとし、マイナスオーラが全開ですが、外に出ていい気をもらいましょう。
  さて、まだまだつけ麺スペシャル。味覚に対する記憶が鮮明なうちに、つけ麺について徹底的に追究したいという思いが強くなり、チャレンジを続行しました。つけ麺と言えば、避けて通れないのが、東京駅八重洲口地下の「東京ラーメンストリート」にある「六厘舎 TOKYO」でしょう。




  つけ麺店はあちこちに増えていますが、六厘舎はつけ麺のテレビ、雑誌などのメディアが代表的なお店を紹介する際、ほぼ100%出てくるほどの有名店です。つけ麺に関心を持った以上、知らん顔はできるはずもありません。
  ラーメンストリートには、何度か足を運んだことがあり、六厘舎の盛況ぶりは知ってはいましたが、当時はつけ麺に関心がなく、スルーしていました。ストリートにある、お店も正直、私にとってはあまり興味を引く対象ではなく、北海道や東京・九段から出店した某店は、ラーメンを食べたことがありますが、メディアの評価ほど、魅力があるとは思えません。実際、最近は店の前に通ると、時間帯によっては閑古鳥が鳴いている状況もみられ、だから、当初は、六厘舎もその程度のものだと思っていました。


  六厘舎はもともと大崎で店を構えていたのですが、口コミで徐々に人気が広がり、長い行列が近所の人の迷惑になるとのことで昨年8月に大崎での営業をやめ、現在では、ごくたまに大崎で不定期で店を開いてはいるようですが、基本的にはラーメンストリート一本勝負のようです。
  いつも店の前を通るたびに人だかりができているのは知っており、行列覚悟でした。「平日だしお昼時は外して2時前くらいに行けば、それほど混んでいないだろう」「その前に八重洲ブックセンターでも寄るか」などと考えていたら、甘かった。1時半すぎでしたが、長い行列ができていました。


  東京駅の集客力はやはりずば抜けています。六厘舎の大崎の本店は12席。昨年開店した東京駅の店は26席とスペースは倍増したのに、次々と行列の最後尾に人がつく盛況ぶりです。その一方で、周囲のお店はお昼時が過ぎて閑散としているので、その辺、地の利はいいとはいえシビアですね。
  普段なら、わざわざ長い行列に並んでまでラーメンを食べようなどとは思いませんが、この日は「勝負する」と決めていたので、素直に待つことにしました。場所柄、出張途中のビジネスマン風の人が多く、“観光名所”となっていることもあり、年配の人のグループや、若い女性の姿も目立ちました。並んでもせいぜい20~30分くらいだろうと高をくくっていたのですが、50分近く待つことになりました。
  それなりの覚悟はしていたので、行列のお供に本を持参。東北楽天ゴールデンイーグルスの野村克也氏の「プロ野球重大事件-誰も知らない“あの真相”」(角川oneテーマ21、724円)で、買ってから積ん読状態だったのを、これを機に読んでしまうことにしました。
  題名からして生々しいのですが、昨年の巨人の清武英利ゼネラルマネージャーの“乱”や中日の落合博満監督の解任など、最近の話題を野村氏が独自の視点で斬るもので、非常に興味深いものでした。
  内容のほとんどは、戦後の野球史や、野村氏の経験から培った野球理論の焼き直しなのですが、野球に対する情熱、日本の野球界を守りたいという思いにあふれていて、シンパとしては思わず目頭が熱くなりました。周囲の人は全く持って理解不能でしょうけど(苦笑)。


  少しずつ前進し、ようやく店内に入ると、「お待ちしておりました」という掛け声で出迎えられます。商売口上なのですが、長い待ち時間の後だけに悪い気はしません。
  席に着くと、カウンターから厨房が見えましたが、さすがに人気店だけあって、10人近いスタッフが調理と洗い場に分かれ、ひっきりなしの注文に対応していました。


  味玉つけ麺の大盛(950円+100円)を選びました。私が入店した時は、ちょうど客が入れ替わるタイミングだったので、時間がかかるかなと思いましたが、5分もたたないうちに、つけ麺が出てきたので、ちょっと驚きました。
  目を引くのが、つけ汁のトッピングの海苔の上にのった魚粉ですね。こういうスタイルのつけ麺は初めてなので、ちょっと胸が高鳴ります。
  まずはレンゲの先でちょっとつけ汁をすくって軽く一口。味覚が一気に覚醒され、なぜ人気なのかよく分かりました。今、はやりの豚骨と魚介を組み合わせたスープなのですが、洗練されていてインパクトのある味です。他店より明らかに飛び抜けています。コンセプトは「ガサツで荒々しく男らしいつけ麺」とのことですが、なんのなんの。とても繊細です。
  麺は浅草・開花楼製とのことですが、つけ汁との相性が非常にいいです。これまでタピオカ粉が入った麺を使っているお店をいくつか訪れましたが、六厘舎は小麦粉一本勝負。微妙な縮れ具合がつけ汁にうまくからみます。
  トッピングはナルト、刻みネギ、チャーシュー、シナチクとオーソドックスな東京ラーメンスタイルですが、つけ汁の味付けとよく調和していました。魚粉は正直、初めてで食べ方が良くわかりませんでしたが、少しずつつけ汁に溶いていくと、味が微妙に変化し、最後まで食べ飽きない趣向となっていました。
  東京でつけ麺というと、真っ先に六厘舎が挙げられる理由が、よく理解できました。この店を差し置いてほかはありえないでしょう。豚骨魚介はスタンダードになりつつありますが、六厘舎の味は、他店と食べ比べると、明らかに違います。伝統的な醤油味の東京ラーメンが好きな人にも受け入れられやすいのではないでしょうか。つけ麺に関心のある人には絶対にこのお店をお勧めします。


  東京を離れて地方に行くと、それぞれ自然に恵まれ、そこで採れる海の幸、山の幸を堪能でき、そこでしか味わえない体験ができますが、ちょっと手の込んだものについては明らかに東京に軍配が上がりますね。多くの店、料理人が切磋琢磨し、技を競い合うので、やはりレベルが高いです。
  私の評価では、ラーメンでは麺屋武蔵(新宿)が現在のところ、東京ラーメンの系譜を受け継いで、頭一つリードしていると思いますが、つけ麺では六厘舎ですね。ラーメン、つけ麺でいいお店を紹介してくれと言われたら、この2点を真っ先に挙げるでしょう。
  もし納得してもらえなければ、そもそも東京ラーメン、東京で主流のつけ麺にはご縁がない、あるいは体質、味覚に合わないということでしょう。
  「神の舌」と持つと言われる石神秀幸さんとか、ラーメン官僚氏と比べると、私など市井のラーメン好きの一人にすぎませんし、あまり細かいことを吟味するよりも、店の雰囲気とか、そのお店と出会ったストーリー性なんかも大切にします。ただ、私が信頼する漢方医からは、「味覚は鋭い」とお墨付きをもらっており、それなりに選択眼はあると自負しています。
  六厘舎は、素直に「すごいな」と思える、数少ないお店だと思いますし、現在のつけ麺界で間違いなく頂点に君臨するにふさわしいと考えます。まさに「キング・オブ・つけ麺」です。興味のある方、地方から上京する方は、おいしいと思うかどうかは別にして、観光スポットでもあるし、話のネタにもなるので、お試しの価値は十分あると思います。