菅政権には、全体を見とおす大局観が欠けている。だから震災対応の「中心」が定まらず、復旧、復興に向けて、誰が、どう具体的な筋道を立てるのかが見えてこない。首相肝いりの「復興構想会議(五百旗頭真議長)」が方向性を示すにしても、その受け皿となるはずの「復興対策本部(菅首相・本部長)」が野党を取り込もうとして迷走している。国難に際して、政治家が政局絡みで綱引きばかりしていれば、被災者の生活の立て直しは遅れ、広範で多様な被災地ニーズとかけ離れた青写真が描かれかねない。
政治の空転が続けば、その間隙をついて官僚機構は静かに支配力を強めていく。
手もとに一枚のペーパーがある。「復興法案準備室事務局体制(イメージ)」と題された組織図だ。
今回の“フクシマ”原発事故は、国際関係にどの様な影響を及ぼすであろうか? かつて、1970年代にフランスの外務大臣から「1789年のフランス革命の評価は?」と聞かれた当時の周恩来中国首相は、「それを評価するのは未だ早すぎる」と応じたそうである。
中国4000年の歴史を背景にした周恩来らしいもの言いだが、今回の事故の影響も、長期的にどの様な大きな影響を及ぼすかは、なかなか想像がつかない。しかし、当面の影響なら、ある程度は予測できる。今回の事故の当事者である日本の技術力イメージ、ブランド力に大きな傷がついたことは否めない。
フランスの利害得失
福島第1原子力発電所の原子炉が、古いとはいえ米ゼネラル・エレクトリック(GE)の設計が基になっているので、米国の技術に対する信頼も、ある程度は損なわれただろう。
広汽ホンダの「理念S1」は最低価格が約7万元とエントリー層向け
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「本当はやりたくなかった——」。ホンダの伊東孝紳社長がこう語る新車が4月、中国市場に投入された。広州汽車集団との合弁会社である広汽ホンダが立ち上げた中国専用ブランド「理念」の初の量産車「理念S1」を発売したのだ。
グローバルに事業を展開するうえで地域ごとに専用車が増えれば効率は下がる。だからこそ伊東社長は逡巡した。だが、世界共通車だけでは各地域の消費者ニーズをすべて満たすことはできない。そのためホンダは、アジア市場向けに小型車「ブリオ」を発売したのに続き、中国では理念S1を投入した。
中国初の外資系自主ブランド
ホンダだけではない。
東日本大震災からの復興計画を検討する政府の議論が本格化してきた。しかし、復興構想会議の議論は拡散し、政策反映への道筋も曖昧だ。「復旧より創造」とのかけ声が響く水面下で、「官」主導の構想が進む。
「首相は同じ間違いを何度繰り返せば気が済むのか。あの会議が機能すると思っているのか」(政務3役の1人)
菅直人首相の肝いりで4月中旬に始動した東日本大震災復興構想会議(議長・五百旗頭真(いおきべ・まこと)・防衛大学校長)。被災地復興に向けた基本構想作りを担うが、議論が本格化するにつれ、民主党内からも辛辣な発言が相次いでいる。
提言すれど、実現せず?
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「復興構想をまとめて政権の延命につなげる」(菅首相に近い民主党議員)という菅首相の思惑とは裏腹に、党内外から批判の矛先が向けられる。
表1 G20参加国と監視の対象国(塗りつぶし)
G7
G7以外の国
国際機関
日本
中国
IMF
米国
インド
世界銀行
英国
ブラジル
など
ドイツ
ロシア
フランス
南アフリカ
イタリア
韓国
カナダ
オーストラリア
メキシコ
インドネシア
サウジアラビア
トルコ
アルゼンチン
EU
※太線内はBRICS
(出所)G20プレスリリースに基づき筆者作成
4月14〜15日に米国ワシントンでG20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催された。