食欲の秋~北海道グルメ紀行⑥ 特大道産牛ステーキ

  旭川ラーメンの大御所「蜂屋」を出て、レンタカーに乗り、旭川市内散策と、お世話になった人へのあいさつ回りに出掛けました。年賀状のやりとりは続いていて、近況などは断片的に知っていても、実際に会ってみると、自分が思っていたよりも大きな変化があったりするので、フェース・トゥ・フェースのコンタクトはやはり大切だなと感じさせられました。
  東京から遠くに離れた場所にも、私のことを知っている人がいるというのは、何か不思議な気持ちで、とてもうれしいことです。私のことを覚えていてくれ、親戚同様にもてなしてくれ、人と人との絆の大切さを再認識しました。


  旭川の街を離れるのは、いつも名残惜しく、今回は特にその思いはひとしおなのですが、レンタカーを戻す時間が決まっているため、先を急がざるを得ず、後ろ髪を引かれる思いをしながら、旭川を出発しました。
  目的地は札幌なのですが、北海道時代、とても尊敬し、親しくしていた先輩が、留萌市出身ということで、かねて留萌という所に漠然と行ってみたくて、留萌につながる自動車道が無料開放されていることを知り、この機会に訪れてみることにしました。
  旭川から札幌、千歳、函館方面に向かう道央自動車道に乗り、旭川の隣、深川で深川留萌自動車道に入り、片側1車線、一部対面通行の自動車道をひたすら一直線に走り、1時間ほどで留萌市街地に到着。


  蜂屋でラーメンを食べたのが午前11時すぎと、早い時間だったので、留萌で何か名物でもあれば食べようと思っていたのですが、市街地は閑散としており、寂しい感じでした。






  土地勘が全くないので、とりあえずいったんJR留萌駅を目指しました。何となく、旅情が感じられる駅で、「鉄道旅だったら、いい感じだっただろうなぁ」と思いつつも、列車の本数が少ないので、乗り継ぎとかの心配もついついしてしまいました。典型的な日本のローカル線の風景です。




  駅にあった観光マップを見て、日本海に突き出た、黄金岬に行ってみました。沖の方にタンカーか貨物船のような船が何隻か航行しているのが見えました。ロシアに向かう船でしょうかね。
  北海道に限らず、日本海側の港は、ロシアとの交易が活発で、ロシア語表記の看板などをよく見かけますが、大陸との近さを実感します。


  海岸沿いには、海の家が何軒かありましたが、当然のごとく閉まっていました。小樽の先の積丹半島あたりだと、ドライブの観光客目当てに海鮮丼のお店などが営業していそうな感じですが、この当たりだと商売としてやっていけないのでしょう。
  事前に留萌の観光について下調べもしたのですが、この季節はいいものがなく、もし、留萌で観光やグルメを楽しみたいなら、本来なら夏に訪れるべきなのでしょうね。景色がきれいな町なので、何か観光関連あるいはB級グルメで、町おこしを考えてもいいと思うのですが、ちょっと残念です。
  古くはニシン漁でにぎわった町でもあるのですが、あてもなくさまよう旅行者にとっては、先輩には申し訳ないのですが、「何もない町」でした。それでも、景色は十分楽しめたので、訪れてよかったと思います。


  途中まで長距離高速バスの後をついて、一路札幌へ。地元の人にとっては、このバスで故郷を離れ、札幌に出ることは特別な思いがあることでしょう。
  日曜日の夕方ということもあってか、札幌へ向かう高速道はせかせかとしており、おそらく、時速140キロくらいでしょうか、猛スピードの車にどんどん追い抜かれました。反対車線は、ばんばん速度違反の取り締まりが行われていたのですが。
  1日半にわたり借りたレンタカーでしたが、最後にガソリンを給油すると、25リットルくらいしか入らず、プリウスは高速を使っても燃費はいいのだということが分かりました。正確に計測しませんでしたが、札幌~旭川の往復と美瑛、旭川市内散策、深川~留萌往復で、400キロ近く走っているので、リッター当たり16キロというところでしょうか。400キロのうちほとんど、高速に乗っている計算なので、悪くない数字だと思います。
  札幌駅北口のレンタカー店に着いたのが午後6時前。駅の南口そばのホテルにすぐにチェックインし、小休止した後、待ちに待った夕食に向かうことにしました。この日の晩のメニューは道産牛のステーキです。
  札幌に向かう途中、サービスエリアで何か食べてもいいかなとも思いましたが、前日まで2晩続けて、「〆のラーメン」をやっているので、胃がややもたれつつあり、空腹で夕食に臨みたかったので、午前の蜂屋のラーメン以来、何も食さず、状態を整えました。


  お目当てのステーキ店はススキノの「リバティベル」というお店です。日本テレビ系の「秘密のケンミンSHOW」だったと思いますが、北海道民があまり牛肉を好まないとのがあって、実際、ステーキや焼き肉など、牛肉を売りにするお店は、他都府県、地域と比べると少ないような気がします。
  時々、がっつりお肉を食べたいときによく訪れたのがこのお店です。最大の売りは、サガリ肉をつかったステーキです。サガリというと焼き鳥とか串焼きのお店で、少量を食べるというイメージがありますが、ここはステーキで、しかも250グラムから450グラムまで50グラム刻みと、大きな固まりで提供するお店です。
  脂身が少なく、独特の食感とうま味があって、肉好きにとってサガリステーキは十分満足のいく一品だと思います。サーロインステーキなどもあるのですが、ぜひこの店ではサガリを食べたいです。


  ラージ400グラム(2000円)にしました。実はこの日もラーメンで〆ようかとも思ったのですが、まだ残り1日あり、ここで胃腸の調子を崩しても、つまらないので、リバティベルで全力投球することにしました。生ビールと、スープ、サラダ、ライスを付け、フルコースの豪華ディナーです。
  和牛は欧米原産の肉牛を、改良に改良を重ねて、肉質、脂身の入り具合を芸術的な域まで高めたものですが、リバティベルでは、原種に近い道産牛を使用しています。
  肉にうるさい人は、「大味だ」という評価をするかもしれませんが、この店は豪快にステーキを楽しむ店で、的確であったとしても、つまらない批評は野暮なだけです。北海道のスケールの大きさを体感するのにうってつけの店だと私は思っています。
  カウンター席の前に厨房があり、目の前で鉄板に肉をのせて焼いているのを見ることができます。大きな肉をひっくり返すのにトングを使うので、ここでも豪快さが見られます。最後にワインをかけてフランベし、炎が上がって出来上がり。
  巨大なステーキにかぶりつくと、肉汁が口の中に広がり、「ああ、肉を食べているな」という実感が湧き上がります。クリームバターを全体に広げ、塩、コショウをたっぷりふりかけたシンプルな味ですが、サガリ特有の甘みのあるおいしさがあり、大好きな味です。
  普通の観光旅行では、北海道では、カニやウニ、イクラなど、どうしても海鮮系が中心になり、やや食傷に感じることもあるかと思います。もし肉が恋しくなったら、ぜひ訪れてほしいお店です。


  たくさん食べましたが、脂っこくないので、胃もたれせず、満足感を感じつつ、ススキノから札幌駅南口のホテルまで散歩しながら帰りました。
  翌日は北海道最終日。トラブルもなく、気持ちのいいことばかりで「いい旅だったなぁ」と幸せをかみしめました。すでにブログでも報告済みですが、この先、さらにいい事が待ち受けているのです。(続く)