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紅葉の秋~日光を訪れる 後編



  朝、たまたまテレビを見ていると、首都圏の紅葉について特集がありました。やはり、東京電力福島第1原発事故の影響で、どこの行楽地も訪問客数が激減しているとのこと。
  来年も再来年も「放射能怖い」「放射能怖い」って大騒ぎしているんでしょうかね? 事故が起きてしまった以上は放射能と共存せざるを得ないのは宿命です。
  でも、米国や旧ソ連、中国が大気圏内で核兵器の実験をやっていた時期と比べても、現在の放射能のレベルは低いらしいですし、世界には自然の状態でも、福島県内よりも放射線量が高い地域が少なからずあります。放射能に弱い体質の人がいる一方で、適度な放射線を浴びると、多くの人は、毒であるお酢を飲むと抵抗力が増すのと同様、長寿になるというデータもあります。
  笑っちゃうのは、放射能が怖いからと言って、西日本の方に疎開までしちゃった人たちですよね。さっさと方向転換して東京に戻ってくればいいのに、意地を張ってしまってとりかえしがつかなくなってしまった。
  某有名ブログのおばさんなんかは、九州まで逃げちゃったみたいですけど、今後、どのツラ下げて生きていくんでしょうかね。相変らず「放射能やばい、やばい」とデマを流していますが。自己正当化するしかないんでしょうけどね。
  俳優の山本某さんもそう。3年くらいしたら、誤りに気付くのですかね。


  さて、気温はおそらく10度を切っていて、時間があれば中禅寺温泉でひと風呂、温まっていきたいところでしたが、夜に予定があり、湯葉せいろそばを食した後、日光市街地へ下山することにしました。
  いろは坂を下るのですが、「いろは坂」ってくねくねと曲がった坂の単なる総称ではなく、カーブの一つ一つが「い」「ろ」「は」「に」「ほ」「へ」「と」・・・と、順番にならんでいるんですね。初めて知りました。






  日光市街には世界遺産の東照宮など、見どころがありますが、その前にやっておかねばならないミッションがあります。
  日光金谷ホテルの名物「百年カレー」を食べることです。毎度、日光を訪れるたびに行こうと思っていたのですが、1時間待ちとかざらなので、時間がなくてかなわずじまいだったのですが、今度こそは、待ってでも食べようと、気合を入れて臨みました。


  全体的に観光客が減っている影響なのですかね。午後2時前で、お昼時は過ぎていたこともあったのでしょうけれども、30分ほどの待ち時間で済みました。
  金谷ホテルのカレーは、その名の通り、100年前のレシピを基に、当時のカレーを再現したものです。カレーのルーが黄色がかっていて、若干の透明感があって、一見、タイのグリーンカレーに近い色でした。
  いわゆる欧風のもったりした感じかと思っていましたが、見た目はアジアンな感じで、やはり、インドとかタイなどアジアで食されていたカレーの影響を受けていたのでしょうね。
  それでいて食べてみると、「日本のカレー」の味なんですよね。見た感じとは裏腹にエスニック感は完全に抑えられていて、万人に受け入れられやすい、食べやすい味でした。
  これぞ、カレーの原型という感じでした。素朴で記憶に残りやすい味でした。1995円という価格は、値段だけ見ると、驚きがありますが、格式あるホテルのカフェで食事をすること、100年前のカレーを食べられる珍しさを考えると、リーズナブルと言っていいでしょう。






  朝、軽い朝食、華厳の滝を展望する前のすいとん、湯葉せいろそば、百年カレーと、すでに4食。やや苦しかったのですが、せっかくここまで来たのだから、世界遺産群を見ておかない手はありません。
  正直、仏教、神道といった、日本の宗教は、今もそうですが、当時のインテリ層が真実、真理を正しく追及できなかったがために、インドの宗教やキリスト教、中国の道教の影響がごっちゃになっていて、でたらめだし、何ら心に響くものはないのですが、観光地に来て、理屈を並べ立てるのも無粋なので、その場の雰囲気に身をゆだねることにしました。




  日光は、東京より気温が低いので、別荘地、避暑地として開発され、夏に訪れるのが本来ならベストなのでしょうけれど、紅葉の季節もいいですね。
  紅葉を見たり、世界遺産の寺社を見物したりと、見どころ満載だと思います。つまらない言説にまどわされず、美しい風景を心行くまで満喫するのがいいですね。




  足早でしたが、日光をひと通り散策し、帰りはJRで宇都宮に向かいます。そして最終ミッションへ。




  私は日光に来たら、最後は宇都宮の餃子で〆ることにしています。ほかにもいろいろおいしい店はあるのでしょうが、駅前の宇都宮餃子館へ。
  まだ、昼食の余韻が残っているので、生ビールと餃子の3種盛り合わせと軽めのメニュー。充実した一日を過ごした達成感を味わうことができました。(おしまい)

紅葉の秋~日光を訪れる 前編

  今年の秋は平年よりも気温が高く、季節感があまりないですが、四季を感じるために日光を訪れてみました。昨年も同じ時期に行ったのですが、今年は東日本大震災で全体的な観光客が減っている上に、放射性物質の風評被害なんかも追い打ちを掛けているようなので、どうなっているのか興味があったのと、地域活性化の支援のつもりで訪れてみました。


  前日に雨が降り、朝の東京スカイツリーは展望台にもやがかかっていました。やや不安な空模様でしたが、日中は回復するということだったので、「まあ、何とかなるさ」と思い、東武・浅草駅に向かいました。






  事前にネットで調べていたつもりだったのですが、日光行きの直通の特急に乗りそびれ、30分後の鬼怒川温泉行きに乗ります。


  浅草駅は一応ターミナルですが、東武の電車はほとんど日比谷線や半蔵門線と東京メトロの地下鉄線に向かうので、ほとんどターミナルとしては機能しておらず、ラッシュアワーにもかかわらず、ホームは閑散としています。
  スペースが狭く、しかも、カーブしているので、列車との隙間がハンパではなく、いつも転落する人がいるんじゃないかと、ついついいらぬ心配をしてしまいます。


  浅草を出ると、車窓から隅田川沿いの景色が見えますが、東京らしい風景で、何となくいいなと思えます。




  新今市で日光行きに乗り換え、1時間40分ほどで日光に到着しました。ここからはバスで移動します。昨年は平日にもかかわらず、バス乗り場に行列ができ、いろは坂も大渋滞だったのですが、今年は拍子抜けするほど人が少なかったです。
  紅葉シーズンのピークは過ぎてはいますが、ちょっと落ち込み方が大きいですね。特に外国人観光客が減っているようでした。まあ、震災とか放射能どうのこうのよりも円高とかギリシャ問題の方が大きいでしょうね。貧乏な欧米人なんか相手にしなくてもいいと思います。時代は変わるのです。




  天気も少しずつ回復し、気温のせいもあって、紅葉の鮮やかさはいまいちだったものの、山々の美しさに見とれます。
  途中で視界が開け、パノラミックな景色が広がる場所では、路線バスなのですが、「わぁー」という歓声が車内で上がります。




  40分ほどで目的地、中禅寺温泉に着きました。いろは坂が混んでいると、1時間以上かかることもあります。週末などはさらにひどいでしょうね。
  この日の東京の日中気温は18度でしたが、さすがに山奥だけあって10度を切っていました。それなりに厚着をしていたのですが、思わず寒さで身震いしてしまいます。
  

  雨上がりで、なんとなくどんよりとした部分も残るのですが、雲が切れると、秋らしい青空が広がり、男体山もきれいに見えました。






  山の木々はすでに枯れ始めているところもありましたが、中禅寺湖畔のもみじはまさに紅葉の盛りといった感じで、まぶしいくらいでした。




  次に華厳の滝に向かうのですが、その前にちょっと寄り道。滝を見学するエレベーター乗り場の近くに、すいとんを売っている屋台や売店があり、つい誘惑されてしまいました。
  野菜たっぷりで300円。七味唐辛子をかけ、よく煮こまれた具と、汁をすすると寒さも吹き飛んでしまいます。




  遠足か修学旅行か分かりませんが、小学生の団体客に交じって、華厳の滝の展望台へ。米国とカナダの国境のナイアガラの滝や、ブラジルのイグアスの滝など、“ワールドクラス”の馬鹿でかい滝も見たことがありますが、これはこれで風情があっていいではないでしょうか。
  トレッキングや登山の専門家の方もおっしゃっていましたが、日本には繊細な自然と地形があり、希少さでは海外の有名な景勝地に決してひけをとらないと。まさにその通りだと思います。




  滝の景色をすっかり堪能して、昼食をとることにしました。日光名物は手打ちそばと、湯葉ですが、この日は「そばが食べたいなぁ」と思って、手ごろそうなお店に入りました。
  そしたら、「湯葉せいろそば」というメニューがあり、渡りに船とばかり、注文しました。二つの名物を単に組み合わせただけかと思いきや、さにあらず。
  大豆の糖分が持つ、まろやかな甘みが、そばつゆや香り高い打ち立てのそばと絶妙にマッチし、実においしかった。
  犬も歩けば棒にあたる。こういうのは、思いがけず、いいものとめぐり逢えるという、あてもない遠出や旅行の際のだいご味ですね。
  満足感いっぱいで、次の目的地に向かうことにしました。(続く)

食欲の秋~北海道グルメ紀行⑦ 納豆とスープカレーのいい関係

  いよいよ3泊4日の北海道旅行最終日。週明け月曜日で、世間では1週間が始まる日で、ちょっと緊張感がただよう一日でもあります。遅い夏休みで、穏やかな時間の流れを楽しみたいところでしたが、朝起きて何げにパソコンを開いて飛び込んできたのが「円最高値更新、オセアニア時間に1ドル=75円30銭台」というニュースでした。
  前の週の半ばから週末にかけて、為替介入を予想して、ドルを仕込んでいたのですが、なかなか思い通りにならず、私自身の中で、疑心暗鬼が頭をもたげつつありました。この旅の途中でも、どこか頭の片隅にこのことが引っ掛かっていました。
  介入ポイントとしては75円割れ、あるいはさらに深押しして72円割れを想定し、それに耐えられるようポジションはとっていたのですが、不測の事態がないとも限りません。見通しが外れれば、かなりの痛手をこうむることになります。


  FOMCや雇用統計などビッグ・イベントが控えているので、長丁場を覚悟し、この旅行中はあまり為替のことは気にしないようにしようと、心を立て直しました。ホテルから見た景色を記録しておこうと、カメラを向けると、札幌駅のホームから寝台特急「カシオペア」が走りだすのが見えました。何か得した気分になりました。
  この日は、もう一度、レンタカーを借りて札幌近郊の定山渓や支笏湖、ちょっと足を伸ばして洞爺湖なんていう選択肢もありましたが、グルメ紀行としては小樽の寿司は外せないなぁという思いがあり、小樽に行くことにしました。
  東京に帰る飛行機は午後9時発なので、ほぼ丸一日余裕があり、小樽行きの前に札幌で、ご当地グルメ、スープ・カレーを食べることにしました。


  午前10時に時間通り、ホテルをチェックアウト。札幌駅のロッカーに荷物を預け、身軽になって、徒歩で道庁周辺や大通公園周辺を散策しました。澄んだ秋空で公園の樹木の紅葉が映え、さわやかな気持ちになりました。




  トイレを借りるため大通公園近くのホテルに入り、ロビーのソファーに腰掛け、ちょっと気になったので、為替レートをチェックすると、「78.09」の数字が目に飛び込んできました。本当に一瞬、目を疑いました。「えっ??」。そうです。待ちに待った為替介入です。
  1ドル=75.90~76.05でドル買いを仕込んでいたので、前週末以来、ずっと含み損が続いていたのですが、一気に大幅な利益になっていました。これで今回の旅行代金など余裕でちゃらになります。「地獄から天国へ」の気分でした。
  2年ほど前、東北を旅行した時に、今回同様、ドル買いを仕込んで、観光地をめぐり、一時はそこそこ利益が乗り、さらに伸びることを期待したのですが、帰宅したらかなり利益が溶けてしまったという苦い経験があり、細かくチャートを見られる環境ではなかったので、そこそこで利益を確定しておくことにしました。
  その後、気になって何度かレートチェックし、79円台にまで上昇したときには、「やられたな」と思いましたが、そこそこの利益はもらっているので、あまり気にはなりませんでした。それより、その後、77円台まで落ちたので、「確定しておいてよかった」という気持ちの方が強かったです。
  この日の空のように一点の曇りもない晴れやかな気持ちになりました。最終日にまさかこんな幸運が訪れるとは。いい運気に恵まれた今回の旅でありました。


  足取りも軽く、午前11時の開店に合わせ、大通公園から南へ2本ほど通りを下った「村上カレー店 プルプル」を目指しました。


  ここは、職場の同僚に連れられて知った店です。その同僚も辛いもの好きで、トムヤムクンやキムチチゲにさらに粉末トウガラシをふりかけるなど、私など足元にも及ばない、筋金入りの人で、私の味覚形成に大きな影響を与えています。そう考えると、今回の北海道旅行は私自身のルーツを探る、再確認の旅のようなものです。
  プルプルは雑居ビルの地下にあります。マスターのこだわりなんでしょうね。なぜかレゲエ一色で、独特の緩いリズムの音楽が流れ、至る所にジャマイカを感じさせます。


  ランチタイムの「ナット・挽肉ベジタブル」(750円)を注文。辛さは0~100番まであり、その同僚はおそらく、最上級まで食べたと思います。私は、30番くらいまでいけるのですが、久しぶりなので、10番で止めておきました。ちなみに50番を超えると、注文の際に店の方から注意喚起がなされます。
  納豆は結構、いろんな食材と相性が良い食べ物で、私は普段から、パスタとからめたり、みそ汁に入れたりと多方面に活用していますが、スープカレーとも、よく合いますね。むしろ、スープカレーには納豆(ひき割り)が欠かせないといっても過言ではありません。
  実はスープカレーも最初は、「何これ?」って感じだったんですけど、後から思い出し笑いのように、しみじみと「そういえばおいしかったなぁ」と感じた食べ物でした。
  スープカレーは好きですが、あまりこだわりは持っていなくて、食べるのは5年ぶりぐらいでしたけど、改めて「おいしいなぁ」と思えました。東京でもスープカレーの店を探してみましょうかね。
  店にいる間も、店を出てからも、為替レートをチェックし、「ちょっと早く確定しすぎたかな」「でも、大きな利益をゲットできてうれしいな」と、何度も思い出し笑いが止まりませんでした。楽しい気分で小樽に向かうことにしました。(続く)

食欲の秋~北海道グルメ紀行⑥ 特大道産牛ステーキ

  旭川ラーメンの大御所「蜂屋」を出て、レンタカーに乗り、旭川市内散策と、お世話になった人へのあいさつ回りに出掛けました。年賀状のやりとりは続いていて、近況などは断片的に知っていても、実際に会ってみると、自分が思っていたよりも大きな変化があったりするので、フェース・トゥ・フェースのコンタクトはやはり大切だなと感じさせられました。
  東京から遠くに離れた場所にも、私のことを知っている人がいるというのは、何か不思議な気持ちで、とてもうれしいことです。私のことを覚えていてくれ、親戚同様にもてなしてくれ、人と人との絆の大切さを再認識しました。


  旭川の街を離れるのは、いつも名残惜しく、今回は特にその思いはひとしおなのですが、レンタカーを戻す時間が決まっているため、先を急がざるを得ず、後ろ髪を引かれる思いをしながら、旭川を出発しました。
  目的地は札幌なのですが、北海道時代、とても尊敬し、親しくしていた先輩が、留萌市出身ということで、かねて留萌という所に漠然と行ってみたくて、留萌につながる自動車道が無料開放されていることを知り、この機会に訪れてみることにしました。
  旭川から札幌、千歳、函館方面に向かう道央自動車道に乗り、旭川の隣、深川で深川留萌自動車道に入り、片側1車線、一部対面通行の自動車道をひたすら一直線に走り、1時間ほどで留萌市街地に到着。


  蜂屋でラーメンを食べたのが午前11時すぎと、早い時間だったので、留萌で何か名物でもあれば食べようと思っていたのですが、市街地は閑散としており、寂しい感じでした。






  土地勘が全くないので、とりあえずいったんJR留萌駅を目指しました。何となく、旅情が感じられる駅で、「鉄道旅だったら、いい感じだっただろうなぁ」と思いつつも、列車の本数が少ないので、乗り継ぎとかの心配もついついしてしまいました。典型的な日本のローカル線の風景です。




  駅にあった観光マップを見て、日本海に突き出た、黄金岬に行ってみました。沖の方にタンカーか貨物船のような船が何隻か航行しているのが見えました。ロシアに向かう船でしょうかね。
  北海道に限らず、日本海側の港は、ロシアとの交易が活発で、ロシア語表記の看板などをよく見かけますが、大陸との近さを実感します。


  海岸沿いには、海の家が何軒かありましたが、当然のごとく閉まっていました。小樽の先の積丹半島あたりだと、ドライブの観光客目当てに海鮮丼のお店などが営業していそうな感じですが、この当たりだと商売としてやっていけないのでしょう。
  事前に留萌の観光について下調べもしたのですが、この季節はいいものがなく、もし、留萌で観光やグルメを楽しみたいなら、本来なら夏に訪れるべきなのでしょうね。景色がきれいな町なので、何か観光関連あるいはB級グルメで、町おこしを考えてもいいと思うのですが、ちょっと残念です。
  古くはニシン漁でにぎわった町でもあるのですが、あてもなくさまよう旅行者にとっては、先輩には申し訳ないのですが、「何もない町」でした。それでも、景色は十分楽しめたので、訪れてよかったと思います。


  途中まで長距離高速バスの後をついて、一路札幌へ。地元の人にとっては、このバスで故郷を離れ、札幌に出ることは特別な思いがあることでしょう。
  日曜日の夕方ということもあってか、札幌へ向かう高速道はせかせかとしており、おそらく、時速140キロくらいでしょうか、猛スピードの車にどんどん追い抜かれました。反対車線は、ばんばん速度違反の取り締まりが行われていたのですが。
  1日半にわたり借りたレンタカーでしたが、最後にガソリンを給油すると、25リットルくらいしか入らず、プリウスは高速を使っても燃費はいいのだということが分かりました。正確に計測しませんでしたが、札幌~旭川の往復と美瑛、旭川市内散策、深川~留萌往復で、400キロ近く走っているので、リッター当たり16キロというところでしょうか。400キロのうちほとんど、高速に乗っている計算なので、悪くない数字だと思います。
  札幌駅北口のレンタカー店に着いたのが午後6時前。駅の南口そばのホテルにすぐにチェックインし、小休止した後、待ちに待った夕食に向かうことにしました。この日の晩のメニューは道産牛のステーキです。
  札幌に向かう途中、サービスエリアで何か食べてもいいかなとも思いましたが、前日まで2晩続けて、「〆のラーメン」をやっているので、胃がややもたれつつあり、空腹で夕食に臨みたかったので、午前の蜂屋のラーメン以来、何も食さず、状態を整えました。


  お目当てのステーキ店はススキノの「リバティベル」というお店です。日本テレビ系の「秘密のケンミンSHOW」だったと思いますが、北海道民があまり牛肉を好まないとのがあって、実際、ステーキや焼き肉など、牛肉を売りにするお店は、他都府県、地域と比べると少ないような気がします。
  時々、がっつりお肉を食べたいときによく訪れたのがこのお店です。最大の売りは、サガリ肉をつかったステーキです。サガリというと焼き鳥とか串焼きのお店で、少量を食べるというイメージがありますが、ここはステーキで、しかも250グラムから450グラムまで50グラム刻みと、大きな固まりで提供するお店です。
  脂身が少なく、独特の食感とうま味があって、肉好きにとってサガリステーキは十分満足のいく一品だと思います。サーロインステーキなどもあるのですが、ぜひこの店ではサガリを食べたいです。


  ラージ400グラム(2000円)にしました。実はこの日もラーメンで〆ようかとも思ったのですが、まだ残り1日あり、ここで胃腸の調子を崩しても、つまらないので、リバティベルで全力投球することにしました。生ビールと、スープ、サラダ、ライスを付け、フルコースの豪華ディナーです。
  和牛は欧米原産の肉牛を、改良に改良を重ねて、肉質、脂身の入り具合を芸術的な域まで高めたものですが、リバティベルでは、原種に近い道産牛を使用しています。
  肉にうるさい人は、「大味だ」という評価をするかもしれませんが、この店は豪快にステーキを楽しむ店で、的確であったとしても、つまらない批評は野暮なだけです。北海道のスケールの大きさを体感するのにうってつけの店だと私は思っています。
  カウンター席の前に厨房があり、目の前で鉄板に肉をのせて焼いているのを見ることができます。大きな肉をひっくり返すのにトングを使うので、ここでも豪快さが見られます。最後にワインをかけてフランベし、炎が上がって出来上がり。
  巨大なステーキにかぶりつくと、肉汁が口の中に広がり、「ああ、肉を食べているな」という実感が湧き上がります。クリームバターを全体に広げ、塩、コショウをたっぷりふりかけたシンプルな味ですが、サガリ特有の甘みのあるおいしさがあり、大好きな味です。
  普通の観光旅行では、北海道では、カニやウニ、イクラなど、どうしても海鮮系が中心になり、やや食傷に感じることもあるかと思います。もし肉が恋しくなったら、ぜひ訪れてほしいお店です。


  たくさん食べましたが、脂っこくないので、胃もたれせず、満足感を感じつつ、ススキノから札幌駅南口のホテルまで散歩しながら帰りました。
  翌日は北海道最終日。トラブルもなく、気持ちのいいことばかりで「いい旅だったなぁ」と幸せをかみしめました。すでにブログでも報告済みですが、この先、さらにいい事が待ち受けているのです。(続く)

食欲の秋~北海道グルメ紀行⑤ 記憶に残るラーメン

  3泊4日の今回の北海道旅行でしたが、いよいよ折り返し地点。ここまで万事順調にいき、まさに佳境でした。旭川の海鮮が絶品の居酒屋「サロマ湖」で、新鮮な魚介類に感動した後、〆のラーメンを食べに行くことにしました。
  本当はサロマ湖でもう1、2品食べてもよかったのですが、前日、札幌で塩ホルモン、味噌ラーメンの黄金リレーをしたので、やや胃袋にダメージがあったので、腹八分目というか、余力を残すことにしました。おいしいものを食べた後は、いい形で余韻を残しておきたいですしね。


  午後9時前の気温は8度。旭川は盆地にあるので夏は30度を超す日が多く、道内でも有数の暑い地点で、逆に冬は冷え込み、マイナス10度以下なんてこともざらにあります。生ビールが効いて、店を出てすぐにトイレに行きたくなり、パチンコ屋のトイレを拝借。
  旭川は前回ご案内の通り、一大歓楽街を擁する街で、夜はかなり遅くまで営業している店が多く、午後9時なんて宵の口と思っていたのですが、旭川ラーメンのシンボル的存在、「蜂屋」「天金」の中心街の2大ラーメン店は閉店していました。


  ちなみに旭川のラーメンというと、皆さんは旭川が本店の「山頭火」をよく御存じではないでしょうか? 全国各地に支店がありますからね。
  でも、山頭火は豚骨ですが、普通の旭川ラーメンは魚介ベースの醤油味が圧倒的で、むしろ山頭火は異端児といってもいいでしょう。山頭火の味は洗練されていると思いますけれど、純粋にご当地ラーメンを食べたいということであれば、やはりまずは、蜂屋、天金をお勧めします。

  お目当てのラーメン店は翌日に回すことにし、知らないお店に行ってみることにしました。旭川の歓楽街「3・6街」の中心部をぶらぶらし、自家製麺という文字が目を引いた「一蔵」というお店に入ってみることにしました。
  後でネットを検索すると、全国のデパートで北海道物産展なんかを開催する際に、一蔵も出店しているということで、割と有名店のようでした。私は知りませんでしたが・・・。
  店は明るい雰囲気で、若い店員の方がきびきびと応対してくれ、新宿なんかの新興店の雰囲気がありました。


  ここ数日、やや野菜不足でもあったので、どんぶり一面が青ネギで覆われた、一蔵らーめん(醤油味、950円)を注文しました。
  蜂屋、天金をはじめ、私がよく行っていた旭川ラーメンのお店は魚介スープが強く主張し、やや荒削りで、それでいて素朴な感じの味のラーメンが多いですが、一蔵のラーメンは、上品な感じにまとめられていました。
  全体的にあっさりしていて、飲んだ後の〆のラーメンにぴったりでした。物足りなさを感じなくもないのですが、多くの人に受け入れられやすい味だと思います。麺はやや粉っぽさが残っている感じでした。
  長期間のダイエットで、胃袋が縮小しているのか、ラーメン一杯を完食すると、結構、お腹がきつくなりました。
  軽く酔った頭には、冷たい夜風が心地よく感じられました。一蔵を出て、ホテルまで500メートルほどの道のりを歩き、2日目の夜はふけていきました。




  翌朝はやや早めに目が覚め、旭川市内を散歩。旭川は石狩川の源流となる川の合流地点にあり、川がきれいな街でもあります。
  私が旭川に住んでいたのは1年にも満たなかったのですが、「こんなきれいな街に住んでいたのか」とあらためて思わざるを得ませんでした。
  小1時間ほど散歩して、ホテルをチェックアウト。荷物を預かってもらって、午前11時開店の蜂屋に向かいました。




  旭川駅前から北側に向かって「買物公園」と呼ばれるオープン・エア型の商店街が広がっています。旭川の目抜き通りと言ってよく、種々のお店が並ぶのですが、路地裏には昔の名残で、独特の雰囲気を醸し出す雑多な飲食店街があります。闇市の流れを引き継いでいるのでしょうかね? 今度、きちんと調べておきます。


  蜂屋はその雑多な飲食店の集まりの一角にあります。ごちゃごちゃとしたところにある割には、店内は広々としています。
  新横浜のラーメン博物館にも出店していたようですが、私は行ったことはありません。でも、この店を「博物館」に収蔵することは大賛成です。
  天金もそうですが、旭川ラーメンのまさに原点の味だからです。最近は起業として、若い人がラーメン店を開店し、研究熱心で味も洗練され、サービスもいいですが、ルーツをたどれば、ラーメンの味を開拓した先人の努力に行き着くわけで、蜂屋はその一つだと思います。
  人の味覚は時代が進むにつれ、変わるので、なかなか、原点のお店が生き残っていくのは、厳しいものがありますが、ぜひ、時代の流れに負けず、頑張ってほしいと思います。


  ここに来たら、シンプルにラーメン(700円)を頼みたいですね。「とげとげしい」という表現がぴったりくるほど、醤油らしさ、魚介風味がストレートに出るラーメンです。
  このラーメンに初対面の人は、面くらう人が多いと思うのですが、しばらく経ってから、「あの味また食べてみたいな」と思うようになれば、もうツボです。すっかりはまってしまいます。とにかく記憶に残る味なのです。
  某「天下一品」のラーメンと同じような感じでしょうかね。いったんはまると、抜けられなくなるほどやみつきになります。もし、もう少しマイルドさを求めるのであれば、今回は行きませんでしたが、天金をお勧めします。天金は東京ラーメンに近いですね。




  蜂屋を出て、ホテルに戻って荷物を受け取り、レンタカーに乗って3日目が本格的に始動。お世話になった人のところへあいさつ回りのついでに、市内をさらに散策します。
  スタルヒン球場は工事中であまり近づけませんでしたが、ここは日本野球の聖地のひとつ。球場の売店のかけそばが「スタルヒンそば」として、知る人ぞ知る味なのです。
  スタルヒン球場の国道をはさんではす向かいが陸上自衛隊の駐屯地で、これも旭川らしい、北海道らしい風景ですね。懐かしい思い出が次々とよみがえってきます。(続く)