新緑に誘われ
新緑の空気に触れて心身をリフレッシュしようと、秩父方面に出掛けてきました。このところゴールデンウイーク、休日は江の島・鎌倉、お台場、渋谷、話題のつけ麺店めぐりと、非常にベタな過ごし方をしています。連休後半は幕張のフリーマーケットにでも行こうかという・・・。もっと気の利いた有意義な余暇の使い方もあるのではないかと思うのですが、この辺、時間の使い方が下手だなぁと痛感しますし、見直さないといけないですね。
とはいえ、昨年は東日本大震災の自粛ムードに完全にのみ込まれ、ゴールデンウイーク中に何をしたか、さっぱり思い出せません。おそらく、家に引きこもって読書をしたり、外出してもせいぜい映画館に行く程度だったのでしょう。事情が事情だったとはいえ、それも味気ないですね。それでも、何もしないよりは、何かに挑戦した方がいいと思います。
東京は大阪や名古屋なんかの市街地と比べると、公園施設が充実していて、諸外国と比較すれば見劣りはするものの、そこそこ緑を感じられます。それでも、近くに山があるわけではないし、公園だって所詮は人工的に整備された箱庭みたいなものですから、時々は郊外に出て自然の空気を吸わないと、息が詰まります。
特に秩父に思い入れがあるわけではないのですが、最近やたらと駅や電車内で、芝桜のポスターが目につくので、一度、行ってみようかな思い立ちました。秩父というと、長瀞の渓流下りくらいしかイメージになかったのですが、最近は芝桜が有名になりつつあるようで、休日中の道路交通情報なんかでも頻繁に秩父市街地の渋滞情報が流れます。
以前、友人と車で秩父で遊びに行った時、長瀞から秩父市街地へ向かう道で激しい渋滞に巻き込まれ、トイレに行けなくて苦労したという、苦い経験があり、今回は、電車でGO!
前日にネットで調べたら、午前10時半に池袋発の特急が空いていて、ネットで予約できたので、それで行くことにしました。しかし、ゴールデンウイークにもかかわらず、秩父行きの特急は1時間に1本しかないという・・・。私がネットで検索した時点で、早い時間帯の特急はすでに満席で、10時半の特急も残りわずかでした。
10時過ぎに池袋駅に着いたら、構内は大混雑で、当日券はすべて売り切れのようでした。連休中くらい特急を増発すればいいのにとつい思ってしまうのですが、車両を増やさなければならず、普段はガラガラの特急のために設備投資する余裕はないのでしょう。
民主党政権になって、「休日分散化」云々が議論になりましたけど、あれどうなったんでしょうね。割といい政策なのではないでしょうか。観光地もそうだし、都心の商業施設なんかも休日に人が殺到し、平日は閑散という、それで欲しいものが買えなかったり、食べたいものが食べられなかったりするわけですから、一斉に休日を取るのではなく、ばらした方が経済効果があるような気がします。いい政策だと思うのですが・・・。
ピークと、オフピークのギャップがあるから、世の中全体、ピーク寄りに備えて過剰投資になってしまうわけで、投資の効率化という面でも好ましいのではないでしょうか。
池袋から1時間20分ほどで、秩父に到着。西武秩父の駅には、地元の特産品を売るお店を集めた「仲見世通り」があり、心惹かれるものがあったのですが、まずは目的の芝桜の丘を目指しました。
駅から1.5キロほどの距離で、丘に向かう坂道がちょっと急なのですが、吹き抜ける風が東京のどんよりとした空気と違ってさわやかで、都心から離れた解放感があり、とても心地よいものでした。
20分足らず歩いて目的地に到着。山桜が見ごろを迎えているということもあって、花見客なんかもいて、結構人でごった返していたので、ちょっと興ざめだったのですが、丘にカーペットを広げたような、色鮮やかな芝桜は絶景でした。
背後に山々が連なり、「東京からちょっと離れただけで、こんなに自然が広がっているんだ」と、妙に感動してしまいました。やはり街なかで暮らしていると、どうしても、余裕をなくしてしまいますよね。時々は自然に近づいて心身の洗濯をした方がよさそうです。
公園の一角に地元の食材を生かした食べ物を売る屋台が立ち並んでいて、ちょっと食べ歩きすることにしました。
駅の観光案内所で、そば店マップが置いており、そばが有名だということで、そば好きの私としては、外せないということで、後で秩父の市街地のそば店に行こうと思っていたのですが、屋台でも何軒か、田舎そばの出店があって、ここではかけそば、市街地のそば店ではもりそばを食べることにしました。
屋台では、ご当地のB級グルメ「みそポテト」も売っていて、山菜そば(650円)とみそポテト(200円)を買いました。そばは屋台のものなので、どんなものかなと思っていたのですが、まさに素朴な「田舎そば」という感じで、とてもおいしかったです。秩父まで来たかいがありました。
みそポテトも、後で調べると、ジャガイモを上げた串刺しのてんぷらに甘いみそだれをかけるのが一般的なようでしたが、私が食べたのはサツマイモで、ちょっとしたおやつだったのですが、それはそれで、おいしかったです。むしろサツマイモの方がみそにマッチしているかもしれません。
日本中どこでもそうですが、各地にその地ならではの名物があって、楽しいですよね。こういうところは日本の底力を感じます。外国でも、ご当地グルメなんかはあるにはありますが、観光客が気軽に楽しめるようになっているのは、そんなにあるものではありません。こうやって地方がしぶとく、したたかに活路を見出すのはいいことですね。
こうやって地道にこつこつやっていれば、少しでも地域経済は活性化し、世界は少しは暮らしやすくなるんでしょうけど、金融ユダヤ人と頭の悪い欧米人は、そういう地道な努力をしないので、困ったものです。いくら素晴らしいビジネススクールで学ぼうとも、まちおこしの一つもできないのです。
芝桜の丘を下りて、そば店を目指したのですが、駅でもらった地図の店はどこも長い行列ができていました。そばを売り物にしている割には、中心街にあるそば店は地図で数える限り、十数店しかないので、連休で大勢の客が殺到すると、どうしてもそうなってしまいますね。休日の分散化はやはり必要ではないでしょうか。
そば店は断念し、西武秩父駅の仲見世通りにいけば、なにか秩父らしいものが食べられるだろうと思って行ったら、街中に店を構えている「武蔵屋」の支店があり、行列はそんなでもなかったので、いったんはそばを断念したものの「やはりそばしかないだろ」と思い直して並ぶことにしました。
先日、東京駅の八重洲口のつけ麺店「六厘舎」の行列で1時間近く並んだので、「さすがにそこまでは長くないだろう」とたかをくくっていましたが、30分強も待たされました。空席もあったのですが、料理を出したり、皿を下げたりで手一杯のようでした。都会の店と違って、混雑時の客さばきに慣れていないんでしょうね。客が多い割に店員さんが少ないという事情もあります。
とろろそば(890円)の大盛にしました。注文から出てくるまで、多少時間がかかったのですが、ようやく念願の“秩父そば”と対面しました。
芝桜の丘の屋台で食べたような、素朴なそばを期待していたのですが、結構、上品なそばでした。太目がいいなと思っていたのですが、細切りで、ひと冬越えて、収穫から時間がたっているでしょうから仕方がないのですが、そばの香りもちょっとインパクトに欠け、つゆの味に押されて、冷麦を食べているような感覚でした。屋台のそばが印象的だったので、ちょっと残念ですね。せっかく行列に並んだのですが、期待が外れました。
芝桜の丘と、そば店の行列だけで、時間が経ってしまい、そば店を出ると、すでに午後3時を過ぎていました。時間があればもう一か所、観光スポットを訪れてもいいかとも思ったのですが、帰りしなに池袋で寄りたい場所があり、時間的に厳しいので東京に戻ることにしました。
帰りの特急券はとっておらず、18時台まで満席とのこと。さっき来た経路を各駅停車で戻るのも何となくむなしいので、秩父鉄道で寄居まで行き、東武東上線で池袋に出ることにしました。
秩父鉄道も通勤ラッシュ並みの混雑だったのですが、車窓からは、渓谷縫うように川が流れる風景もところどころで見られ、わずかですが、非日常の景色を楽しむことができました。
秩父を訪れたのも随分久しぶりですが、東京からそんなに離れていない場所にいい気分転換ができる場所があるんだなと実感しました。秋の紅葉シーズンにまた来ようかなと思っています。