カテゴリー別アーカイブ: 経済ニュース

世界各地、日本など経済関連のニュース・情報です。

「ひどいスタートを切った」復興への第一歩(小峰隆夫のワンクラス上の日本経済論)

 大震災への対応は、緊急事態への対応を図る「フェーズ1」から、復興への歩みである「フェーズ2」へと向かいつつある。その第1弾とも言うべきものが、5月2日に成立した2011年度第1次補正予算である。ではこの補正予算に象徴されるフェーズ2への歩みはどう評価されるか。「ひどいスタートを切ったものだ」というのが私の評価である。 フェーズ1からフェーズ2へ  私はかねてから、フェーズ1とフェーズ2を分けて考えた方が良いと考えてきた。それは、緊急事態であるフェーズ1と復興への道を辿るべきフェーズ2では、基本的な経済パフォーマンス、政策スタンスが大きく異なるからだ。この違いを整理したのが表1である。 表1 フェーズ1からフェーズ2へ   フェーズ1 フェーズ2 成長率 大幅に低下 むしろ高めに 政策目的 極めて明確(人命救助、被災者生活支援、原発安定化など) 多様な議論が出る(経済の復興、地域の再生、エネルギー政策の見直しなど) 政策手段と効果 コストを意識せず政策手段を投入、効果も明瞭、トレードオフ関係はない 財源問題、土地利用、災害補償などコスト負担の問題が出る。

「ひどいスタートを切った」復興への第一歩(小峰隆夫のワンクラス上の日本経済論)

 大震災への対応は、緊急事態への対応を図る「フェーズ1」から、復興への歩みである「フェーズ2」へと向かいつつある。その第1弾とも言うべきものが、5月2日に成立した2011年度第1次補正予算である。ではこの補正予算に象徴されるフェーズ2への歩みはどう評価されるか。「ひどいスタートを切ったものだ」というのが私の評価である。 フェーズ1からフェーズ2へ  私はかねてから、フェーズ1とフェーズ2を分けて考えた方が良いと考えてきた。それは、緊急事態であるフェーズ1と復興への道を辿るべきフェーズ2では、基本的な経済パフォーマンス、政策スタンスが大きく異なるからだ。この違いを整理したのが表1である。 表1 フェーズ1からフェーズ2へ   フェーズ1 フェーズ2 成長率 大幅に低下 むしろ高めに 政策目的 極めて明確(人命救助、被災者生活支援、原発安定化など) 多様な議論が出る(経済の復興、地域の再生、エネルギー政策の見直しなど) 政策手段と効果 コストを意識せず政策手段を投入、効果も明瞭、トレードオフ関係はない 財源問題、土地利用、災害補償などコスト負担の問題が出る。

自宅待機中の給料は? 原発事故の賠償は?(復興への道)

 大地震、津波、そしてその後の原子力発電所の事故で、地震や津波の被災地だけでなく、広範囲な国民生活と農業、漁業を含む経済活動が大きな影響を受けている。こうした経済活動への影響は、法律的にどう取り扱われるか。企業間の契約関係や企業と従業員の法律問題を円滑に解決することも、「復興」に向けて私たちが取り組まなければならない大きな課題の一つである。 天災で損する人と損しない人  震災後、弁護士会の電話相談には、電話が殺到し、仙台弁護士会では、4月末までに、3600件を超える相談があり、日弁連などが連休前半の3日間に95箇所の避難所で行った相談には、1000件を超える相談があったという。地震と津波によって工場が全壊して、約束していた日までに製品を納入できなければどうなるか、あるいは、取引先から預かっていた品物が流出してしまったがどうなるのか、など問題は多岐にわたる。

自宅待機中の給料は? 原発事故の賠償は?(復興への道)

 大地震、津波、そしてその後の原子力発電所の事故で、地震や津波の被災地だけでなく、広範囲な国民生活と農業、漁業を含む経済活動が大きな影響を受けている。こうした経済活動への影響は、法律的にどう取り扱われるか。企業間の契約関係や企業と従業員の法律問題を円滑に解決することも、「復興」に向けて私たちが取り組まなければならない大きな課題の一つである。 天災で損する人と損しない人  震災後、弁護士会の電話相談には、電話が殺到し、仙台弁護士会では、4月末までに、3600件を超える相談があり、日弁連などが連休前半の3日間に95箇所の避難所で行った相談には、1000件を超える相談があったという。地震と津波によって工場が全壊して、約束していた日までに製品を納入できなければどうなるか、あるいは、取引先から預かっていた品物が流出してしまったがどうなるのか、など問題は多岐にわたる。

危機の人災化を防げるのはリーダーだけ(田村耕太郎の「経世済民見聞録」)

常に状況認識をあたらにせよ  この連載で指摘し続けているように「危機は進行する過程で必ず人災化する」。最初からそのように想定するのが世界の危機管理の常識である。米国の専門家は「福島の原発事故は人災化の典型例ではないか」と言う。ハーバード大学でも多くの専門家が「原発事故への対応をはじめとする政府の危機管理全般について、“人災化過程”を研究したい」と強い関心を寄せている。この件については次回以降で書いていきたい。  結論から言えば、危機の人災化を防ぐことができるのはリーダーシップだけである。「ハーバード流危機管理の要諦」と題した一連のコラムの冒頭で「最も愚かなリーダーが指揮を執ることを想定して危機管理を構築するのが最先端の危機管理の哲学である」と紹介した。