財務省が、個人向け国債の利回りを実質的に引き上げた。だが、社債には見劣りし、償還による資金流出リスクもある。個人マネーの受け皿となるには、まだ制度の見直しが必要だ。
通信業界の自由化を巡って、しばしば火花を散らしてきたソフトバンクと政府が、今度は個人マネーの争奪で直接対決することになった──。
財務省は6月3日に募集を始めた7月発行の個人向け国債(変動金利10年物)から、購入者に支払う年間利回りの設定方法を変更した。これまでの「基準金利-0.8%」から、「基準金利×0.66」とした。この結果、今回募集分の表面金利は0.77%となり、購入者は従来方式(0.37%)の倍以上の利回りを得ることができるようになった。
世界景気は米国と中国が牽引役となり、回復局面に入った。しかし、今回の回復過程は、各国ごとに受ける恩恵にばらつきが生じそうだ。
新興国市場が拡大して価格、品質など「需要の質」が変わり、同時に新興国企業が製造業を中心に実力をつけ、先進国企業が君臨していた分野をも侵食する勢いだからだ。
最も危惧されるのは東日本震災で傷つき、「出遅れ景気」の中であえぐ日本企業。日本電産の永守重信社長は、日本企業には「血みどろのシェア争い」を戦う覚悟が必要と説く。
(聞き手は、日経ビジネス編集委員 田村 賢司)
日本電産の永守重信社長(写真:小倉政嗣、以下同じ)
これからの世界経済は「先進国vs新興国」という構図になるのだろう。
東日本大震災でお亡くなりになった皆様に心よりお悔やみ申し上げます。また、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
現地では避難所暮らしが長期化し、経済復興のビジョンも立てづらく、気力も限界に差し掛かりつつあると聞いています。
将来の展望が描けないと、頑張るための気力が湧いてこないのは当然です。
そこで、私は復興ビジョンを描くことで現地を元気づけたいと思います。路傍から「元気出してね」とか「応援しているから頑張れ」などとは言いません。そんなこと言われても不愉快なだけでしょうし、復興はあくまで地元が行なうものだからです。
ただ、現地ではできないことを手助けすることは必要だと思いますし、それには2つの異なった役割があると思っています。
MBO(経営陣が参加する買収)に踏み切る企業が増えている。実施企業はこの5年で421社に上る(M&A助言のレコフ調べ、2006〜2010年度)。CD・DVDレンタル店「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、引っ越し業のアートコーポレーション、ベビー用品大手のコンビなど、その業種は様々だ。
400以上もの企業がMBOに踏み切るからには、それなりのメリットがあるはず。一般的な説明では、経営陣が自社株を握ることで、「思いのままに会社を運営できる」「業績を上げれば株式の売却益が懐に転がり込んでくる」など、“いいことづくし”に思えてくる。だがしかし、それはMBOの一面にすぎない。
ダメージを受けた企業、事業をどう立て直すのか?売り上げ、利益などの数字、課題からいったん離れ、本質的な「機能」から立ち戻って分析することだ。今必要な再建の考え方と分析方法を紹介する。
今、ビジネス・リソースを見直すためにはどうすればいいか。
むやみにリソースを減らそうとすれば、新たな問題が生じる。顧客や関係者の要求を満たすことが困難になったり、従業員や株主の希望を叶えることが厳しくなったりする。結局、大きくリソースを減らすことができないまま、仕方なくぎりぎりの状態で運営していくことになる。こうせずにリソースを見直すには方法がある。
ヒントは、ファンクショナル・アプローチにある。