3月11日に起きたことは、地震と津波という自然災害と、原子力発電所の事故とに分けて考える必要があります。
もし、起きたことが地震と津波までであればどうだったか。それだけでも大変悲惨な出来事ではありますが、おそらく日本は3年以内に復旧したでしょう。底力を、世界に見せつけたに違いありません。GDP(国内総生産)は、今年はもしかしたらプラスになるかもしれないという声も出始めているほどです。来年には、復興需要も含め、リバウンドをしていたと思います。
ところが、原発の事故が、自然災害とは次元の違う話として、世界を凍りつかせています。
これにどう対応していくのか。
これが、将来の、世界における日本のあり方を大きく左右することになるでしょう。
株:NYダウ続伸
14日の米株式市場は、5月小売売上高が前月比-0.2%となり、11ヶ月ぶりに前月比でマイナスになったものの、市場予想より小幅なマイナスにとどまり、景気減速への過度な懸念が薄れたことや、家電大手ベスト・バイが発表した決算内容が予想を上回ったことから、小売株などを中心に幅広い銘柄で買いが入り、続伸して引けた。ダウ工業株30種平均の終値は、前営業日比123.14ドル高の12,076.11ドルで引けた。
本日の東京市場では、米株式市場が上昇したことや、為替市場でも円高基調が一服しており、株式市場にとってプラス材料となりそうだ。シカゴ先物市場の日経平均先物は9,605円となっており、市場の予想レンジとしては9,500円−9,650円となっている。
為替:ユーロが上昇
14日の外国為替市場では、米国の経済指標が市場予想を上回り、世界景気の先行きに対する過度の懸念が薄れ、株式市場や商品市場が上昇する中で、リスク回避の動きが後退し、ユーロや資源国通貨が買われる展開となった。NY終値ベースで、ドル円は80円台半ば、ユーロドルは1.44ドル台半ばとなっている。
本日は、英4月失業率(予想:4.6%)、ユーロ圏4月鉱工業生産(予想:前月比-0.2%)、5月米消費者物価指数(予想:前月比+0.1%)、6月NY州地区連銀製造業景況指数などの経済指標の発表が予定されている。本日のドル円の市場の予想レンジとしては80.00−81.20円となっている。
商品:NY原油急反発
14日のNY原油先物取引は、英国と米国の経済指標が市場予想より良い内容となり、世界景気の減速懸念が後退したことなどから買い戻しが入り、急反発して引けた。中心限月の7月限の終値は、前営業日比2.07ドル高の1バレル99.37ドルで引けた。
NY金先物取引でも、中国が発表した5月消費者物価指数が前年同月比+5.5%となり、中国のインフレに対する懸念が強まったことや、原油相場の急反発などを材料に買いが優勢となり、反発して引けた。中心限月の8月限の終値は、前営業日比8.80ドル高の1オンス1,524.40ドルで引けた。
世界景気は米国と中国が牽引役となり、回復局面に入った。しかし、今回の回復過程は、各国ごとに受ける恩恵にばらつきが生じそうだ。
新興国市場が拡大して価格、品質など「需要の質」が変わり、同時に新興国企業が製造業を中心に実力をつけ、先進国企業が君臨していた分野をも侵食する勢いだからだ。
最も危惧されるのは東日本震災で傷つき、「出遅れ景気」の中であえぐ日本企業。日本電産の永守重信社長は、日本企業には「血みどろのシェア争い」を戦う覚悟が必要と説く。
(聞き手は、日経ビジネス編集委員 田村 賢司)
日本電産の永守重信社長(写真:小倉政嗣、以下同じ)
これからの世界経済は「先進国vs新興国」という構図になるのだろう。
財務省が、個人向け国債の利回りを実質的に引き上げた。だが、社債には見劣りし、償還による資金流出リスクもある。個人マネーの受け皿となるには、まだ制度の見直しが必要だ。
通信業界の自由化を巡って、しばしば火花を散らしてきたソフトバンクと政府が、今度は個人マネーの争奪で直接対決することになった──。
財務省は6月3日に募集を始めた7月発行の個人向け国債(変動金利10年物)から、購入者に支払う年間利回りの設定方法を変更した。これまでの「基準金利-0.8%」から、「基準金利×0.66」とした。この結果、今回募集分の表面金利は0.77%となり、購入者は従来方式(0.37%)の倍以上の利回りを得ることができるようになった。
前回のコラムでは、日本の電力供給システムについて、長期的視点に立った見直しが必要だと述べた。そこで問題となったのは、「集中」と「統合」によって電力の安定供給を目指してきた垂直統合型システムの、思わぬ「脆弱さ」だ。この「脆弱さ」を克服するためには「強さ」の再定義が不可欠である。平時における安定性や効率性だけが「強さ」なのではない。非常時における耐性をも含んだかたちで「強さ」を考えなくてはならないのである。
なぜ輸出産業の町が衰退するのか
実は同じことは日本の経済政策全体についても当てはまる。これまで日本は輸出主導によって経済成長を達成することを経済政策の軸に置いてきた。この点では小泉政権も管政権も変わらない。