カテゴリー別アーカイブ: 経済ニュース

世界各地、日本など経済関連のニュース・情報です。

「徳政令」で試される政治主導(時事深層)

震災復興を妨げる二重ローン問題が深刻化している。経済界や金融界からは、既存債務の一部減免を求める声も。税金を投入する以上、復興を勢いづかせる仕組みが不可欠だ。  「このままでは企業経営者の気持ちが、どんどん廃業へと傾いていく」。石巻商工会議所(宮城県石巻市)の浅野亨・会頭は危機感をあらわにする。  石巻では津波による瓦礫の撤去作業が本格化し、表向きは復興へと動き出している。しかし、地域の産業と雇用を守ってきた中小・零細企業の経営者心理はむしろ悪化しているのだ。  宮城県商工会連合会によると、4月20日時点で廃業する方針と答えた県内企業は600社あったが、「今月の調査ではさらに増えた」と明かす。

東電のKDDI株 住商が触手(時事深層)

原発巨額賠償のため、東電は6000億円の資産売却を急ぐ。目玉のKDDI株売却先に住友商事が浮上している。だがKDDIにとっては素直に喜べない株主だ。  「債務超過に陥る具体的な時期は分からないが、今のスキームで賠償金の仮払いを始めると大変厳しい状況になる」。東京電力は5月20日、1兆2473億円の最終赤字を計上する2011年3月期連結決算を発表。記者会見で清水正孝社長は危機感を隠さなかった。  数兆円とも言われる損害賠償や原子力発電所の廃炉費、原発停止で増える火力発電の燃料費。債務超過が現実問題として迫る東電は、一刻も早く政府の公的支援スキームを引き出したいところ。その代償として求められる資産売却には積極的にならざるを得ない。

自治体間で広がる災害廃棄物処理格差(復興への道)

 東日本大震災に対する政府の対応の遅れが何かと批判されている。被災者の救助や捜索が一段階し、道路・エネルギー・上下水道などのインフラが回復し、復旧から復興の段階に移って最初に問題になるのが災害廃棄物の処理である。倒壊家屋のガレキや被災自動車が散乱したままでは復興事業を始められないが、被災地の廃棄物処理は進んでいるのだろうか。 ヘドロ、土砂、放射性廃棄物を含めると1億トン超  環境省は東北3県の災害廃棄物発生量の推計をとりまとめて4月初めに発表したが、それによると宮城県約1600万トン、岩手県約600万トン、福島県約290万トン、3県合計で2490万トンとなっている。これは阪神・淡路大震災の1450万トンの1.7倍である。

「ここで解散すれば復興がまた遅れる。政策が政局に翻弄されてしまう」(後藤新平と震災復興の4カ月 その可能性と限界)

 深夜、南相馬市の宿で、この原稿を書いている。市内の旅館やホテルは復旧関係者でほぼ満杯だ。なかなか空きがなくて、一泊3500円、トイレと風呂は共同、無線LANありという研修施設のような宿がやっととれた。福島第一原発から24キロのところにある。  昼に訪れた市役所で、男が猛然と窓口の女性職員に食ってかかっていた。金ラメ入りのジャージに蛇革の靴を履いた男が、ホールじゅうに響き渡る大声で、「さっさと手続きをしろ!」と怒鳴った。「義捐金」の受取りで、横車を押していた。  南相馬市は原発から30キロ圏内の規制された各世帯に日本赤十字と県からの義捐金合わせて40万円を配分している。義捐金を受取るには、当然、市民である確認が必要だ。

「在庫を極力持たない日本企業」は幻想(「ザ・ゴール」式で目指す 真のモノ作り再興)

 東日本大震災によって生産停止の連鎖が日本全国や海外にも広がり、日本のモノ作りの効率化は行き過ぎだったと再考を促す声が高まっている。だが、それは本当に正しい指摘なのか──。  本コラムでは、ビジネス小説『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)の著者として知られるイスラエルの物理学者、エリヤフ・ゴールドラット博士が考案した改革手法の理論「TOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)」とその具体的な手法を紹介しながら、実は効率化が進んでいなかった日本のモノ作りの実態を明らかにし、処方箋を提示していく。  2回目の今回は、日本企業が「ジャストインタイム」という言葉に代表される効率的な部材調達・製品生産によって在庫を極小化できていたのかどうかについて検証する。