巨大地震の経済的影響をどう考えるか(小峰隆夫のワンクラス上の日本経済論)
2011年3月11日に東日本沿岸地域を襲った巨大地震と大津波は、今後日本経済全体に大きな影響を及ぼすことになる。日本経済を襲った戦後最大級の経済的ショックである。その全容はこれから現れてくることになるのだが、ここでは、1995年の阪神・淡路大震災の経験なども踏まえて、影響の及ぶ経路や順番、必要となる対応などについて、現段階で考えられる範囲のことを述べてみたい。
なお、以下では人命、負傷など人間そのものへの被害については触れない。これは、「経済的に重要ではないから」ではなく、「経済的影響という次元を超えた大きな問題だから」である。
今回のような大災害の影響を考える時重要なことは、「フローとストック」「短期と長期」の区別である。