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ラーメン道 くせになる味 日本橋編1

  立秋を過ぎましたが、東京は連日、日中の最高気温が35度前後と、厳しい残暑が続いています。7月末に天候不順で「今年は冷夏か」と思ったのもなんのそのパワー全開の夏でした。
  猛暑は、辛い物を食べて乗り切ろうという、ありきたりな企画ですが、担々麺好きの私としては、今こそ、知らないお店を訪れる好機ととらえ、食べログを検索してみると、「くせになる味」という口コミのコメントが目に止まり、日本橋・馬喰町の「虎穴(フーシュエ)」というお店に行ってきました。


  日本橋といっても広く、山手線の東京-神田以東の隅田川に囲まれたエリアで、馬喰町は東側の繊維問屋などが入る、中小の雑居ビルが密集する、商業エリアです。
  JR総武線・馬喰町、都営新宿線・馬喰横山、都営浅草線・東日本橋の3駅が最寄駅です。JR馬喰町駅はかつて、日本で一番深い地下にある駅(地下約30メートル)として有名でしたね。今では、かなり深いところに地下鉄の新線が走っていたり、青函トンネルがあるので、驚くほど地下深くにあるというわけではないようですが。
  虎穴は、雑居ビルを改装しており、「中華料理店」ではなく、「チャイニーズレストラン」と銘打っているだけあって、店の外観はカフェのような感じで、内装もシックで落ち着いた感じでした。
  午後1時過ぎに訪れると、5人ほどが店外にならんでいましたが、すぐに入店でき、人気メニューの担々麺(800円)、おにぎり(50円)を注文しました。
  担々麺を頼むときはぜひ、ご飯ものを注文してほしいと思います。辛いスープがご飯の甘さで中和され、絶妙なバランスです。私はキムチ・チゲやトム・ヤム・クンに直接、ご飯を入れて食べるのが好きです。
  やや脇道にそれましたが、虎穴の店員はフロア担当が2人、奥の厨房に3人いました。新興ラーメン店同様、若い人がつくる店で、対応は食べログの口コミ通り、丁寧でした。
  ただ、お昼時で混雑していたとはいえ、注文から料理が出るまで15分以上かかり、その一方でおにぎりの方は注文直後に出されるという、やや顧客への気配り、心遣いを欠いていたと思います。
  慇懃無礼とまではいかないとしても、形だけはうまくできているものの、仏作って魂入れずというか、細やかさが足りず、厨房とフロアのチームワークも、うまくいっているようには見えませんでした。


  お腹がすいていると、いらいらしがちなので、いろいろと難点を挙げてしまいましたが、待ちに待った担々麺が出てきました。外見は赤いスープにひき肉、チンゲンサイがのった定番の担々麺でした。
  ところがです。スープを口にすると、「これがくせになる味なんだな」と納得する味でした。普通というか、四川飯店系統の担々麺は、やや酸味をきかせたラーメンを、ゴマベースの辛みスープの層で覆う2層構造で、その上にトッピングがのるというスタイルですが、虎穴のは、ゴマ風味の辛みスープ1層のみで、しかもそれがとても濃厚かつ、深みのある辛さでした。
  2層スープの担々麺は味にアクセントがつき、食べていて飽きないのですが、この1層スープも決して悪くない、というか大好きな味でした。麺も私はどちらかというと細めの麺が好きなのですが、虎穴の麺は中太で、スープとマッチしていました。おにぎりとの組み合わせもいいですね。担々麺が止まらなくなります。
  長時間待たされましたが、待ったかいがあったと思います。わずか5分ほどで間食してしまいました。


  この辺のサラリーマンやOLの皆さんは、昼食時に虎穴に行けてうらやましいなぁと思いながら、周辺のビル街を散策、暑い中でしたが、ほしい本があったので、ダイエットもかねて、神田・神保町まで歩くことにしました。


  大手町方向に東へ向かって歩くと東京工業品取引所がありました。今は資源や貴金属、レアメタルが高騰しているので、盛況なんでしょうね。多分。一応、口座はあるので、研究してCX取引もやってみようかな。
  北寄りのルートでしたが、日本橋の南側には、茅場町があり、私たちとかかわりの深い東京証券取引所や証券会社が立ち並びます。日本橋というのは、江戸時代から商業の街なんだなということをあらためて感じました。


  さらに進むと入口に大きなのれんがかかる、日本橋・三越があります。百貨店業界も構造不況ですが、ここだけは、これからもずっと変わらないのでしょうね。


  やや北寄りを歩くと、日銀本店が。独特の威圧感と存在感があり、さすが中央銀行という感じです。日本経済の歴史とともに、存在してきたんだなという特別な思いにかられます。
  でも、最近の円高をめぐる動き、金融緩和を見る限り、結局はアメリカ様のATMなんですよね。米国債や得体のしれないETFを買うんじゃなくて、金や価値のある実物資産を買いませんか? 日本経済の砦なんですから、私たちを困窮に陥れる前に、何とかしてほしいものです。白川総裁様。

ラーメン道 あったらいいな 多摩地区編2

  金融市場が緊迫していたので、しばらくシリアスな記事ばかりでしたが、久しぶりにラーメン店訪問記再開です。今回は身近にあったらいいなと思える、飽きのこない味が魅力的なお店です。


  今回、訪れたのは、7月25日に紹介した府中の「麺創研 かなで改」に続き、京王線沿線の調布にある「たけちゃんにぼしらーめん」です。
  情報誌やネットを検索すると、京王線沿線は煮干しスープで勝負するラーメン店が多く、煮干し好きの私としても、非常に闘志をかき立てられます。たけちゃんにぼしらーめんは店名からして、いかにもという感じで、かねて行ってみたいと思っていました。


  新宿から準特急で15分。駅北口から1分くらいの距離で、アクセスは悪くありません。午後1時半すぎに訪れたのですが、客は4割程度と空いていました。店内は広く、食べログによると、カウンター16席、テーブル6席の計22席ですが、一席一席のスペースが広く、ゆったりとしています。
  私が訪れた時は、店の看板のイラストのおじさん(ご主人)と、若い店員さん2人がいました。ご主人はイラストと比べると、こわもてで、ホームページによると、2006年にブログが炎上したという、ちょっとやんちゃなエピソードをお持ちのようです。


  煮干しの香りが漂う中、どんなラーメンが出てくるのか、期待が高まります。注文して5分弱で、スペシャルらーめん(990円)が出てきました。
  れんげでスープを軽くすくい、口に運ぶと、やさしい味がしました。煮干しラーメンを売りにする店は、とんがった味を打ち出してくるケースが多いのですが、どちらかというと煮干し風味の醤油ラーメンという感じで、永福町・大勝軒に近い味だと思います。あちらは井の頭線ですが、同じ京王線同士、影響し合うものがあるのでしょうか?
  この系統の味はオーソドックスで飽きがこないですし、定期的に食べたくなります。家の近所にあればいいなと思う味ですね。ラーメンにそれほど詳しくない人でも、満足感を得られるのではないでしょうか。煮干しの味を際立たせる、府中のかなで改とは、方向性が違いますね。どちらもアリだと思います。
  食べやすいので、一気に箸が進みます。煮玉子は、今はやりの黄身が半熟のものでした。スープの味からすると固ゆでにした方がインパクトがあるような気がしました。そう考えると、荻窪・丸福の固ゆでの煮玉子は絶品だなとあらためて感じます。
  具材はこのほか、ナルト、シナチク、ノリ、チャーシュー、きざみネギとこちらもオーソドックスでした。個人的にはもやしをのせてほしかった。このスープに合うと思うんですよね。
  私はおいしいラーメンの条件の一つとして、もやしがおいしいという点を重視します。高級食材でもないし、一気に食べると、通り過ごしてしまいがちですが、味や食感にアクセントがつき、ラーメンが引き立ちます。
  とはいえ、総合的には、とてもいいラーメンだったと思います。納得のいくものでした。


  調布といえば、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者水木しげるさんが住む街。昨年のNHKの連続ドラマ「ゲゲゲの女房」で再び注目されたこともあって、ゆかりのものが目につきました。
  私はドラマ好きですが、キャストが松下奈緒さんと向井理さんという、きれいどころでまとめてきたので、リアリティーが感じられず、ゲゲゲの女房はほとんど見ませんでした。周りを見渡しても人によって好き嫌いが分かれるようで、私は後者でした。
  

  調布は深大寺でも有名ですね。私はラーメン好きですが、そば好きでもあるので、ぜひ、深大寺を訪れたいと思います。
  東京ラーメンは中華そばと、日本そばを融合させた味なので、ラーメンと日本そばは非常に親和性があります。ラーメン店と合わせて、おいしいそば店も紹介していければと思います。

ラーメン道 担々麺の“聖地” 赤坂四川飯店

  今年の夏は、暑いんだか、涼しいんだかよくわかりませんが、猛暑でも、いや猛暑だからこそ食べたくなるのが担々麺です。
  担々麺は四川料理がルーツで、汁がなく、麺と辛い肉みそを混ぜて食べるのが、本来のスタイルですが、やや酸味のあるスープに、赤唐辛子とたっぷりのゴマを利かせたたれと、ひき肉をのせる日本風にアレンジした担々麺は、麺料理のジャンルの一つとしてしっかり確立されています。
  日本風の担々麺を初めて作ったのが、料理の鉄人・陳建一氏の父、建民氏で、赤坂四川飯店は、まさにその原点で、担々麺の聖地といえるでしょう。


  実は、私は赤坂四川飯店の系列店は、各地で何度も訪れたことがあるのですが、本店は初めてです。最寄駅は日本の政治の中枢である、永田町ということで、ちょっとドキドキでした。やはり場所柄、あちこちに警察官が立って警備しており、緊張感があります。
  赤坂四川飯店に向かう途中には、かつて“利権政治の象徴”とも言われ、自民党・経世会の有力支持団体が入る砂防会館があります。その前に政治家のものと思われる黒塗りのトヨタ・センチュリーが1台止まっていました。何の密談でしょうかね? ちょっと気になります。


  赤坂四川飯店は全国旅館会館という、おそらく同業者組合か保険組合が運営するビルの6階に入っています。近くには3月に閉館し、一時、東日本大震災の被災者を受け入れたグランドプリンスホテル赤坂、赤プリがあります。
  赤プリは政治家のパーティーや、有名人の結婚式など派手なイメージで知られ、超一等地に立地していると思うのですが、お金が飛び交わなくなり、厳しい状況に追い込まれたのでしょう。砂防会館に赤プリ、時代の移り変わりを感じさせます。
  赤坂四川飯店もセレブな層をターゲットにしているのでしょうね。でも、周辺の衰退ぶりとは裏腹に、午後1時半を回り、ご飯どきは過ぎていましたが、ビジネスマンやちょっとお上品な主婦層などでにぎわっていました。


  中華料理店はたいていそうですが、注文してすぐに出てくるのがいいですね。5分もたたないうちに、お目当ての担々麺と対面できました。
  レンゲで、ラーメンスープの層と、ごまだれの層を4:1ですくって一口。「そうそうこれこれ」。いつもの安心感のある味が広がりました。赤坂四川飯店の担々麺は決して期待を裏切りません。原点の味でした。
  麺もさすがに自家製麺なんでしょうかね。カレーライスと一緒で、基本的にはスープが主張する料理なので、あまり意識はしないですが、スープの辛さや、具のひき肉、青梗菜ととてもマッチしています。
  担々麺を食べる時に欠かせないのがご飯です。辛みとほどよい酸味のきいたスープとよく合い、ご飯が進みます。
  私は、トムヤムクンや、キムチチゲに、ご飯をスープに入れて食べます。辛いスープとご飯の甘みのバランスが絶妙だからです。一時期はまってしまい、3日おきにタイ料理屋と韓国料理やに通っていたことがあります。さすがに担々麺のスープにはご飯を投入することはしませんが、同じような感覚ですね。
  一つだけ物足りなかった点を挙げると、ほかの系列店では、ゴマダレの層が厚めだったと思うのですが、本店はやや薄く、辛さもやや抑えられていたかなと思います。 

  今は担々麺もすっかり定番メニューになって、数々の店が、自慢の味を競うようになり、レベルも高まっていると思います。私の中では、以前にも紹介した通り、名古屋の「ダンダン亭」が抜群においしいと思います。先日、訪れた浅草「馬賊」もなかなかよかったです。
  でも、初めて担々麺を食べた時の感動は、どこのお店に行っても味わえない。私にとって、忘れられない味が、赤坂四川飯店(の系列店)の担々麺です。
  これは荻窪「丸福」の玉子そばや、早稲田「メルシー」の煮干しのたっぷり効いたラーメンにもいえることです。ラーメン好きの皆さんにもそれぞれの思い入れのある店があると思いますし、それぞれがラーメンを語る上で原点となる店を持っていることと思います。


  いろんな店を訪れるようになって、いままで知っているお店よりもさらにおいしいものを見つけることも多いですが、それでもやっぱり、原点に回帰してしまうんですよね。
  永田町という場所柄、ちょっと敷居が高い感じがするので、そうそうは通えない(通わない)と思いますが、懐かしくなったら、また、訪れようと思います。

ラーメン道 煮干しラーメンの新名所 多摩地区編1

  最近、ラーメン情報誌などでちょこちょこと取り上げられているのが、府中、調布方面の煮干しラーメン店です。この地区に煮干しラーメン店が集まっているのは、屋台やなんかで煮干しラーメンが売られていたのがそもそもの発祥で、その後、独立開業したラーメン店がお互い影響し合ったためと思われます。


  私の中で府中は、八王子の手前の遠隔地という感覚があり、正直、足を向けにくかったのですが、新宿から京王線の準特急で20分強と、スムーズなアクセスでした。多摩地区へ向かう私鉄というと、かつての小田急線のようないつもノロノロ運転というイメージでしたが、新宿から府中まで停車駅は明大前、調布と2駅しかなく、しかもスピーディーで、意外と身近に行ける場所なんだなという印象を持ちました。


  今回訪れた、「麺創研 かなで改」は、府中駅南口から徒歩1分もかからない、ちょっといい感じの飲食店が集まる小道沿いにあります。
  日曜日の昼下がり、店の前にはカップルが2人順番待ちをしていました。店内はカウンターが7席とコンパクトで、他の新興ラーメン店同様、清潔感と開放感があふれ、有線放送のカントリー風の音楽がBGMで流れる中、若い店員の方が3人で切り盛りしていました。
  煮干しの香ばしい香りが漂い、「早く食べたい」。待ち遠しい気持ちでいっぱいになります。


  味玉とチャーシューが多めの「かなで煮干しラーメン」(980円)を注文しました。席数が少ないこともあってか、注文してすぐに麺をゆで始め、4~5分で出来上がりました。
  パッと見た第一印象は、黄金色のスープがまぶしく、高級中華料理店で出てくるような、とても上品なラーメンという感じでした。
  スープを一口すすると、懐かしい感じがしました。昔の荻窪・二葉の味に近いでしょうか。「煮干しラーメン」と銘打っているだけあって、独特の苦みとほんのりと酸味のある煮干しの味が立っていました。
  東京で主流の魚介系スープのラーメン店は、だいたいは煮干しベースですが、煮干しの味を際立たせるかどうかでずいぶん変わってきます。そこが二葉や東池袋・大勝軒系のお店、麺屋武蔵などとの大きな違いです。その辺二葉などはあっさりとした仕立てになっています。
  かなで改で特筆すべきなのは、チャーシューを国産豚と名古屋コーチンの2種類使用していることです。鶏肉のチャーシューというのはとても珍しく、新機軸ではないでしょうか。どちらのチャーシューも厳選された素材を使っただけあって、満足のいくものでした。
  味玉は、黄身が半熟でした。荻窪・丸福のような、おでんの煮玉子のような感じを期待していたので、やや肩透かしでしたが、煮干しスープにはこちらの方が合うのかもしれません。
  魚介系ラーメンの店では、薬味にゆずの皮や三つ葉をいれるところが多いですが、かなで改でも、取り入れれば、味にアクセントが加わっていいのではないかなと思いました。
  スープを飲み干し、満足感を得て店を出たら、ちょうど、私より一歩先に入店したカップルも店の外にいて、体格の良い30代前半くらいの男性がひとこと「くそまずかった」とぼそり。
  そうなんですよね。煮干しラーメンは好き嫌いが結構、分かれるので、嫌いな人にはあの味はちょっと受け入れにくいかもしれません。かなで改は、クセが少ない方だとは思いますが、やはり、独特な味付けになっているので、普通のラーメンを期待すると、思惑が外れることになります。
  大阪の「玉五郎」というお店にも、煮干しラーメンがあるのですが、うまく味を調えています。ただ、本格的な煮干し好きからすると逆に物足りなくなってしまう面もあるのですが・・・。


  かなで改の通りを挟んではす向かいに辛味噌ラーメン専門の「紅」という店があり、店の前には4、5人の列ができていました。かなで改の系列店のようです。
  店の看板を見る限り、がっつり系の店のようですが、かなで改のラーメンへのこだわりを考えると、味は期待できそうで、辛い物好きでもあるので、多摩地区の煮干しラーメン店めぐりが一段落したら、ぜひ訪れたいと思っています。


  府中駅に着く途中に高架を走る車窓から東京競馬場が望めました。駅前は再開発の新しいビルと古い商店が混在する、ちょっと興味をそそられる街並みです。
  府中というと、東芝府中や、3億円事件しか知りませんでしたが、実際に足を運んでみると、いろんな顔が見えてきました。
  一見、何の変哲もない首都圏の私鉄沿線の駅の一つですが、おいしいラーメン店が一軒あるだけで、街の魅力が随分変わってくるような気がします。ラーメンに限らず、頑張っている店が一つでもあれば、それが地域の活力につながるのだと思います。牛丼やハンバーガー、ファミレスのチェーン店ばかりではつまらないじゃないですか。
  23区のラーメン店でいろいろ訪問したいところがあるのですが、府中にも目を引くラーメン店が何軒かあり、悩ましい日々がしばらく続くことになりそうです。

笑顔になるハンバーグ

  ご覧になった方も少なくないと思いますが、7月16日放送のテレビ朝日「お願い!ランキング GOLD 3時間SP」で、ファミレスナンバー1対決をやっていました。すかいらーくグループの「ガスト」「ジョナサン」「夢庵」「バーミヤン」がそれぞれの人気メニューを持ち寄り、辛口で食通の審査員に判定してもらうのですが、厳選した材料を使用し、製造工程の特別な工夫や、開発の際の苦労話を紹介するなど、なかなか、興味深いものでした。
  その中で、私が最もおいしそうだなと思ったのは、ガストのチーズINハンバーグ(523円)です。普通は、ハンバーグにチーズをのっけるというのが多いと思うのですが、ハンバーグの中にチーズを入れるという、斬新なアイデアであることと、このハンバーグを口にした瞬間、4人の審査員全員から幸せそうな笑みがこぼれ、満点を獲得するシーンが印象的で、「どんなにおいしいハンバーグなんだろう」と好奇心が湧きました。
  気になって仕方がないので、早速、昨日、新橋のガストに行ってきました。私の中で、ファミレスというと中途半端な価格の割に、味もボリュームもいまいちという印象があり、ファミレスなんて多分、10年以上行った記憶がありませんでした。久しぶりのファミレスで、ドキドキ体験でした。
  新橋という土地柄に加え、ビジネスホテルの2階にあるので、それなりの年齢の人が多いのかと思ったら、そうではなく、結構、店内は若い人が多かったですね。「新橋のどこにこんな若者がいたんだろう」というくらい若者でにぎわっていました。
  見ると、みんなドリンク・バーを利用するんですね。午後8時過ぎに入店したので、食事をとる人が多いのかと思いきや、半数以上が、ドリンク・バーやデザートを注文していた感じでした。


  ファミレスって、腰の低い店員さんと丁寧な対応が売りだと思っていましたが、店が混んでいたせいか、呼び出しボタンを押しても店員が来ず、3回目を押して、2~3分たってから、ようやく店員の方が注文を取ってくれました。
  しかも、チーズINハンバーグがやって来たのは注文から20分後と、正直、待たされて期待感がやや薄れてしまいました。
  それでも待ちに待ったチーズINハンバーグ、ナイフを入れると、テレビの映像とは若干違いましたが、中からとろーりとろけるチーズが飛び出し、一口食してみると、肉汁にとけたチーズがからみ合い、なかなかの味わいでした。
  事前の予備知識通り、普通のチーズのせハンバーグとは、全然違う、新たなハンバーグのスタイルだと思いました。ガストで売り上げトップというのも分かる気がします。
  ただ、大きさがやや小さく、もうひと回り大きければ、満足感がさらに高まったような気がします。それと、ベースとなるハンバーグはそれなりにおいしいのですが、審査員があそこまで持ち上げるほどのものかなぁというのが率直な感想です。
  私が今まで食べたハンバーグで一番おいしかったのは、店名などは忘れてしまいましたが、友人に連れて行ってもらった、広島の地元の和牛を使った手作りハンバーグです。和牛のおいしさがひき肉に凝縮され、しかもボリューム満点で、本当においしかった。
  このハンバーグに同じようにチーズを入れたら、どんな味になるのだろうと想像すると、ガストのハンバーグはやや力不足な感じでした。
  番組ではファミレス対決の最終戦で、ガストと夢庵が対決し、ガストはチーズの入っていない「ビーフ100%プレミアムハンバーグ」で勝負をかけるのですが、結果は惨敗でした。要は、ハンバーグとチーズのバランスがよかったから好評価につながったのであって、ハンバーグそのもので勝負すると、「どうかなぁ」と首をひねってしまうのではないでしょうか。
  審査員の方は、値段とかも考慮して、点数を出しているのでしょうか? コスト・パフォーマンスはまずまずだし、おいしくしようと並々ならぬ企業努力をしているとは思いますが、やはり、「そこまで評価が高いものなのかなぁ」という感は否めませんでした。
  この番組の新宿ラーメン店のランキングで、麺屋武蔵が一番になったのは、十分納得のいくものでしたが、大手チェーン店を評価するとなると、やはり遠慮があるのでしょうか?
  ハンバーグといえば、「ぴっくりドンキー」ですよね。びっくりドンキーも十数年前に一度行ったきりです。ハンバーグは好きな食べ物なので、ちょっとチャレンジしてみたいですし、ファミレス以外でも、町の洋食屋さんでいい店があれば開拓したいと思います。
  ちょっと辛口の感想になってしまいましたが、今回のファミレス対決を見て、大企業でも、一生懸命おいしいものを開発し、お客さんの笑顔を見たいという情熱があるんだなという感想を持ちました。こういうところも日本人ですよね。細部までこだわり、妥協を許さないという精神が垣間見られました。
  余談ながら、すかいらーくって、何年か前に創業家一族と、投資ファンドと組んだ経営陣が対立して、創業家が追い出されるというお家騒動があり、どこかの週刊誌で創業家の一人が内情を激白し、金儲け路線に走る姿勢を批判した記事を見て、あまりいい印象を持っていませんでしたが、番組を見る限り、真摯な姿勢で、おいしいメニューを作ろうとしているんだなと思いました。
  特に、和食ファミレスの夢庵はカレーうどんとか、新食感の鶏の竜田揚げとか、テレビの向こうから、おいしい香りがただよってくるようなメニューを繰り出していて、行ってみたいなと思いました。ジョナサンのビーフシチューオムライスやバーミヤンのギョーザも魅力的ですね。今まで全然関心がなかったファミレスの魅力が発見できればいいなと思います。