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ラーメン道 味噌ラーメンの新境地 新宿編2 

  いよいよ夏本番、連日猛暑日が続きますが、ラーメン界は西新宿が熱い。新宿大ガード下を抜け、小滝橋通りに入ると、そこには、生きのいい新興店が競うように軒を連ねる、ラーメン激戦地が広がります。勢いのよいものに触れることは、いい刺激になるし、運気や力をもらえます。
  

  今回紹介するのは、「味噌屋八郎商店」。東京でラーメンといえば、やはり醤油ラーメンが主流で、私もそれほど多くの店を食べ歩いているわけではないですが、味噌ラーメンといえば、高田馬場の「えぞ菊」や、同じく高田馬場にある札幌・豊平の超有名店「純連(すみれ)」の系列店、ちょっと変わりダネでは、唐辛子と山椒をミックスした辛くてしびれるラーメンで知られる神田の「鬼金棒(きかんぼう)」などが目を引きます。札幌ラーメンの「味源」も都内各地に支店があり、かつて割とよく行ったのですが、昔と比べ味が変わったような気がして、最近は足が遠のいています。


  入口の「うまいぜベイビー」ののぼりが目を引く、味噌屋八郎商店は、先日紹介した魚介系ラーメンの横綱格「麺屋武蔵」より1ブロック北側に進んだところにあり、「ラーメン二郎」の隣にあります。とんこつラーメンで知られる、神奈川・なんつッ亭の系列店で、こだわりの味噌と、ピーナッツ・バター、そして特製のマー油を使った味噌ラーメンがラーメンが売りで、テレビ朝日の「お願いランキング」で、カリスマシェフの川越達也氏をして、「この味は、料理人としてあこがれた」と言わしめた味です。
  新興ラーメン店に共通しているのは、店員の方がはつらつとしていることです。味噌屋八郎商店の社長は、ラーメン界の風雲児としてTBSの「情熱大陸」で取り上げられましたが、そういうところに勢いの違いが出ていますね。
  荻窪・北口商店街の「丸福」のように老舗のいい雰囲気の店もありますが、のれんにあぐらをかいている店も少なくありません。閉店した青梅街道沿いの「丸福」のように悪い意味での職人気質が評判を悪くした例もあり、新興店の姿勢を大いに学ぶべきでしょうね。


  午後2時前に行ったのですが、店内はサラリーマンの方がほとんどでした。東京では、魚介系ラーメンとともに、つけ麺がはやっています。味噌屋八郎商店でもつけ麺をやっています。でも、私が見る限り、ほとんどの人が気温35度近い猛暑にも関わらず、味噌ラーメン(780円)、しかも無料の大盛りサービスを注文していました。それほど魅力のある味噌ラーメンなのです。
  味は、札幌・純連に近い味です。ただ、やはり、味噌のブレンドやピーナッツ・バターの隠し味が効いていて、コクのあり、重厚ながら、後口はさっぱりした感じです。それに比べると純連はやや重くて野暮ったい感じがあります。
  食べ進めると、特製のマー油がスープが徐々になじみ、最初の一口とは、また違った味が楽しめ、最後まで楽しませてくれます。炒めたもやしがトッピングされおり、これもいい感じのアクセントになっています。


  麺屋武蔵の回でも触れましたが、西新宿はアクセスが良く、家賃も手ごろなので、オフィスが多く、20~40代のサラリーマンを多く見かけます。
  小滝橋通りの飲食店は、がっつり食べる系の店が多いですね。大手牛丼チェーン店をはじめ、ラーメン二郎がそうですし、「伝説のすた丼屋」とか、見るからにボリューム満点のとんかつの写真を掲げるお店とか、胃袋を満たせる店がずらりと並んでいます。街全体に活気があり、若さとパワーが感じられます。
  そういう土壌があるからこそ、勢いのあるラーメン店が次々と誕生するのでしょう。今後も、いろんな店をチェックしたいと思います。

ラーメン道 もう一つの原点 荻窪編1



  ラーメンを語る上で、やはり荻窪は避けて通れないと思います。ラーメン・ブームの火付け役となったのが、荻窪にある数々のラーメン店ですし、味も、東京ラーメンの原点というべき、ベーシックなものが多く、環七通りや新宿など激戦地でしのぎを削るラーメン店にも影響を与えているのではないでしょうか。私自身にとっても、ラーメンに関心を持つきっかけとなったのが荻窪で、かつて近くに住んでいたこともあり、思い入れは格別です。


  荻窪駅北口を出て、最近整備されたバス・ロータリーを左手に線路沿いに進むと、こじんまりとした商店街があり、その一角に丸福(黄色看板)があります。最近は、魚介系スープの店が東京ラーメンの主流ですが、丸福は豚骨、鶏ガラベースのスープで、こってりかと思いきや、店名通り、丸っこい、あっさりした味が売りです。
  かつて、丸福(黄色)から100メートルもない青梅街道沿いにも同じ店名の白色看板の丸福がありましたが、今から8年ほど前でしょうか、2003年ごろに閉店してしまいました。
  丸福は、荻窪の白色看板と、黄色看板のほかに、西荻窪にも黄色看板があります。ネット情報によると、白色が元祖で3店とも親戚同士のようなのですが、白色と黄色は仲が悪かったそうで、黄色は、荻窪が本店、西荻窪が支店、逆に西荻窪が本店で、荻窪が支店など、さまざまな説があります(私は前者の説)。
  ラーメン好きの間でも、丸福の味には賛否があります。荻窪・黄色看板ではまさに客の目の前でラーメンづくりが繰り広げられるのですが、しっかりと化学調味料を入れてくれます。
  このため、白色看板をひいきにするファンが多く、黄色を邪道とする向きがありますが、私はあまり、そういうことにはこだわらない派です。
  全体の味が調和していればそれはそれでいい。これは煮干し系にもいえることで、「1杯に煮干しを何十匹を使った」などと喧伝する店がありますが、たった1匹だろうが、100匹使おうが、煮干しの味をうまく引き出したラーメンが優れていると思います。


  上の画像は、丸福・白色看板閉店について、伝える当時の週刊誌(文春)の記事です。記事によると、荻窪・丸福は白も黄色も最盛期は、長い行列ができ、30分待ちとかもあったのですが、閉店間際にはかなり経営状態が悪化していたことがうかがえます。
  

  白色看板があった場所は現在、「La Petale」というカフェが入居しています。白色看板は人気はあったのですが、店の主人がぶっきらぼうで、奥さん(と思われる従業員も)子連れが来ると露骨にいやな顔をして追い返すということもあって、影の部分もありました。
  一方の黄色看板は、化学調味料が物議を醸すのですが、ご主人と奥さんの人柄が温厚で、老舗のいい雰囲気がにじみ出ています。私は今でも月一回くらいのペースで通うのですが、最近は常連客が多いですね。かといって、一見さんが入りにくい雰囲気でもなく、若い人もちらほらと見られます。


  いろいろと野暮な話を展開してしまいましたが、丸福でぜひ食べてほしいのは、玉子そば(780円)です。よくラーメンの味を表現するとき、「スープが麺によくからむ」というフレーズが使われますが、まさにその表現がぴったりです。細めの麺に、スープがよくマッチします。煮玉子は、おでんの玉子に近いのですが、ラーメンスープで煮こまれているので、独特の味がします。
  そして、私が最も強調したいのが、もやしがおいしいのです。もやしというと、ラーメンの脇役のイメージですが、このラーメンは何気なくのっているもやしの味が引き立ちます。もやし自体は、普通のもやしですが、出来上がりのまえに、さっと湯通しされたものが添えられており、「もやしってこんなにおいしいんだ」と思わせます。意識しないともやしを素通りしてしまうことがあるので、ぜひ味わってほしいです。
  丸福の中華そばは、非常にやさしく、店名の通り、丸くて幸福な味です。しいてたとえると、日清のチキンラーメンをラーメン店仕立てにした感じで、とってもベーシックな味です。


  東京でラーメン専門店が増えたのはこの10年くらいのことでしょうか。それまでは、町の小さな中華料理屋さんで出されるというイメージが強かったように思います。荻窪は、古くからラーメン専門でやる店が多かった。そうしたことから「ラーメンの街」が定着したのでしょう。


  青梅街道にはかつての白色丸福から3軒ほど離れた場所に、魚介系の大御所「春木屋」があり、ここは今でも名店中の名店と評価されています。私は新宿の麺屋武蔵の味を知ってしまった今は、春木屋はややかすんで見えるような気がしますが、東京ラーメンを知りたい人には、ぜひ行ってほしいと思います。


  北口の教会通り商店街を3~4分歩くと、「二葉」があります。ここも魚介系ですが、煮干しが立っており、春木屋とはまたちょっと違った味付けです。地の利が悪いのか、若者向けに昔とやや味が変わっていますが、ここも、原点に返れる店です。
  かつては、荻窪というと若者の街で、荻窪に住んでいるというと女性から「ルミネがあっていいよね」とうらやましがられたものですが、中央線沿線だと若者に人気なのは、ショップも多い高円寺あたりでしょうか。下北沢とか笹塚、中目黒、三軒茶屋、自由が丘、学芸大学なんかも人気エリアで、荻窪はやや枯れた感じがしますね。
  荻窪のラーメン店に行列ができる光景も、土、日、祝日でもあまり見かけなくなりましたが、原点の味だけは守ってほしいし、忘れたくないと思います。


ラーメン道 新興勢力の実力に脱帽 新宿編1

  かねて行きたかったのですが、延び延びになっていた、西新宿の「麺屋武蔵」へ行ってきました。ラーメン通の方からすると、「何をいまさら」という感じでしょうけども、新興勢力のパワーを実感させられました。
  麺屋武蔵は新宿大ガードの西側、小滝橋通り沿いにあります。私自身は、あまり西新宿には行かないんですよね。一時期、友人とエスニック料理にはまり、ベトナム料理やタイ料理、韓国料理を求めて、歌舞伎町から新大久保にかけての西武新宿線より西寄りの地域は、食べ歩きをしたことがあります。買い物は、だいたい伊勢丹とか高島屋とか、東新宿、南新宿で、新宿の西側の地域は、ヨドバシカメラ、ビックカメラを訪れるくらいでした。
  もともと、「荻窪ラーメン戦争」(古いなぁ)のころに、ラーメンに興味を持つようになったので、私の中では、荻窪の「春木屋」を頂点に「丸福(白)」「二葉」「丸信」といったところを中心にラーメン界が展開していたので、正直、時代の流れについていっておらず、新興勢力には無関心でした。味覚って意外と保守的ですしね。
  一カ月ほど前に味噌ラーメンを求めて、西新宿の「味噌屋八郎商店」を訪れたのがきっかけで、このエリアのラーメン店のポテンシャルを認識しました。


  西新宿は新しいオフィスビルなんかが次々と建っている影響などもあるのでしょうね。小滝橋通り界隈は飲食店がかなり集積し、活気が感じられます。私はあまり好みではないですが、飛ぶ鳥を落とす勢いのラーメン二郎もあります。


  古びたラーメン店もいいですが、新しいラーメン店も、整斉とした感じでいいですよね。麺屋武蔵は、店内に入ると、ジャズがかかっており、パブみたいな感じでした。店員のみなさんもきびきびしていて、時折、店員さんたちの掛け声が店内に響き、気合が入ります。古いラーメン店にはあまりない光景です。


  気温34度の暑い日で、つけ麺にひかれましたが、「武蔵らーめん」(1000円)にしました。魚介系ベースのラーメンでしたが、とてもインパクトのある味でした。かなり広いファン層を得られると思います。
  東池袋・大勝軒の影響だと思いますが、魚介系スープを売りにする店がとても多いですね。何かのランキングで1位だった、門前仲町の「こうかいぼう」もそうでした。
  麺屋武蔵のスープはその中でもずば抜けていると思います。メリハリが利いていて、記憶に残りやすい味だと思いました。
  もし、東京でラーメンを食べたことがない友人から「どこかいい店はない?」と聞かれたら、これからは間違いなく一番にこの店を勧めると思います。同じく魚介系の春木屋も好きですが、値段が高いのと、麺屋武蔵のラーメンを食べると、正直、やや見劣りする感じがします。
  私の中では新旧横綱交代、政権交代くらいのインパクトがありました。おそらく、これから新しい味を追及する大志を持った人は、西新宿で開店するだろうし、集積と相乗効果でさらにレベルが高まるのではないでしょうか。

  ラーメン店も時代の流れに合わせ、常に新しい発想を取り入れ、進化しているのだということを実感しました。私も先入観を捨て、いろんな店を訪ね歩きたいと思います。
  私にとってブレーク・スルーのきっかけとなった味噌屋八郎商店。近いうちに取り上げて紹介したいと思います。
  過去2回浅草のラーメン店を取り上げましたが、よく知られるラーメン店は、新宿、池袋より西に多いんですよね。環七通りなどはラーメン激戦地で、ラーメン銀座ですが、これからは小滝橋通りがホット・スポットになるかもしれません。

ラーメン道 手打ち麺に感動! 浅草編2

  先日のつし馬に続く、浅草ラーメン編第2弾。日曜日に以前から気になっていたラーメン店「馬賊」に行ってきました。お目当ては坦々麺です。
  坦々麺は中国・四川の代表的な庶民の味で、本場では汁がないのが一般的のようですが、私は日本風にアレンジしたゴマだれたっぷりの坦々麺が好きです。陳建一シェフの赤坂・四川飯店の坦々麺が最もベーシックで、何度食べても飽きない味だと思います。
  四川の味を研究し、素材も厳選して、さらに日本風坦々麺を洗練したのは、名古屋の「ダンダン亭」で、ここの味が私は日本一おいしいと思っています。
  ダンダン亭、四川飯店に並ぶ、お気に入りの店を求め、期待を胸に浅草を再訪しました。


  この日もまたまた、大江戸線蔵前から現地入り。暑いのでなるべく歩きたくないのですが、馬賊は雷門の南側、田原町寄りにあるので、蔵前で地下鉄を降りるのがベストなのです。


  蔵前から歩いて6~7分。右手に駒形橋を望む、江戸通りと浅草通りの交差点から一本西寄りの通りを北(雷門方向)に入ると、馬賊がありました。


  店は通りに面して、厨房が見えるショーウインドーのようになっており、店のご主人が麺をこねている最中でした。店に足を踏み入れると、パン、パンという麺を打ちつける音が響き、テンションが上がります。店内はどこにでもある、ちょっとひなびた中華料理店という感じですが、日曜日ということもあって家族連れでにぎわっていました。早速、坦々麺(800円)を注文しました。


  混んでいたので、待たされるかと思いましたが、それほどでもなく、10分もかからないで、坦々麺が出てきました。麺はやはり目の前で手打ちしているだけあって、見るからに弾力とコシがある感じ。
  まずはスープをすすってみると、四川飯店とは違い、透明感があり、さっぱりした感じでした。おそらく、ラーメンのスープをベースにしているのでしょう。ダシがしっかり効いており、厚みがある上に、香ばしいゴマの風味が広がり、坦々麺らしいピリ辛も感じられました。そして麺。これは見た目通りの食感で安心できる味で、スープとの相性もばっちりでした。
  坦々麺が全国に広がってもう5、6年くらいたっているでしょうか。普通のラーメンにひき肉をのせ、赤唐辛子で辛くするという安易なつくりの坦々麺が多く、馬賊の坦々麺も見た目はそのような感じがしたのですが、実際に食べてみると、非常にレベルの高いものでした。
  とにかく打ちたての麺がおいしく、スープとの相性もいいので、するすると食べられ、1週間に1回ぐらい食べてもいいような、気軽に楽しめる味でした。辛いものがちょっと苦手という方や、坦々麺を食べたことがない初心者向けとしてもいいかなと思いました。
  通にはやや物足りない感じがあるかもしれませんが、さっぱりとしていて私にとっては満足できる一品だったと思います。


  近くには玩具メーカーのバンダイの本社があり、ビルの前にはまめっちやアンパンマン、ドラえもんのオブジェが置かれ、子供たちがお父さんに写真を撮ってもらっていました。
  それと私にとってうれしいことに、周辺をあるいていると、8年ほど前、友人と訪れた鉄板焼き店で、米沢牛のステーキがとてもおいしかったのですが、店がどこにあったか忘れてしまい、それっきりになっていた店を再発見してしまいました。是非、そのうち行きたいと思っています。


  おそらく馬賊は坦々麺だけでなく、普通のラーメンもそこそこおいしいと思います。浅草が麺どころだということを教えてくれました。
  東京には、馬賊を始め、無数の中華料理店があります。最近では関西から餃子の王将が進出し、東京をはじめ首都圏で広がりつつあり、店の前に行列ができる光景も見られますが、さまざまな個性を持った、個人商店のパワーも負けていません。これからもたくさんのお店に出合いたいと思います。